日本のメガバンクは冴えない株価も業績は悪くない
日本のメガバンクの株価推移は冴えない状況が続いています。低金利で業績低迷、人員削減、就活での人気凋落とネガティブニュースばかり報じられていることによります。しかし、業績を確認してみると、そこまで株価が下がるほどの状況ではないことが分かります。下記は三井住友フィナンシャルグループ(東証1部<8316>)の本業の儲けに相当する「業務純益(一般企業の営業利益に相当)」の部門別推移です。
2017年3月期は主要子会社以外のその他部門が足を引っ張ったものの、主力である「三井住友銀行(SMBC)」部門が順調に推移していることがわかります。2017年3月期といえば、2016年1月より始まった日銀のマイナス金利政策をモロに受けた決算期であったはずです。
好景気時は大きな融資案件が増えるため低金利でも業績は拡大
「三井住友銀行単体」で見ると、本業の儲けにあたる「業務純益」は、マイナス金利にも関わらず2017年3月期に過去11年で最高となりました。「純利益ベース」で見ると、銀行単体では過去最高の6,818億円ともなりました。グループの中核である銀行本体に関しては、ここ5年、非常に高水準の純利益が続いており、マイナス金利でも衰えるどころか、再編・合併後の過去最高益を更新しているのです。低金利によって利鞘は落ちてきているのですが、好景気によって貸付は伸びています。たとえば、ちょうど武田薬品工業による日本最大の買収案件(7兆円)が持ち上がっていますが、江戸時代より薬で有名な大阪・道修町に本社を構え(小野薬品工業も同じ道修町)、一階には住友銀行(古くは大阪地盤、すぐ近くに本社)からのメインバンクである三井住友銀行の支店が入っています。恐らくかなりの融資額が舞い込むはずです。
また、足下では商品市況の回復で、世界規模で見ると、1兆円を超える大型の資源開発案件も復活しだしている模様で、こうした設備投資は経済を押し上げ、また銀行にとっても大型の融資獲得はプラスです。
好景気ではこのような案件が豊富になるため、低金利でも業績は伸びるのです。このような観点から考えていけば株価が大きく調整した日本のメガバンクの株は「買い」と言えると思います。ちなみに、前述の三井住友フィナンシャルグループ(東証1部<8316>)の株価指標を見ると、予想PERで8.5倍前後、実績PBRで0.66倍、予想配当利回りは3.5%となっており、株価指標で見ても割安感があります。
参考:日本株通信
※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。