「安心できないから保険に入る」は正しいか

安心も大事だけど、お金も大事。バランスよく考えるには?

安心も大事だけど、お金も大事。バランスよく考えるには?

たとえば、独身者であれば「多額の死亡保障は不要だとしても、葬儀代くらいは用意しつつ、入院保障などは十分確保しましょう。できれば長期の資産形成に役立つ保険も検討したいですね」といった案内がなされるでしょう。

筆者も保険営業の仕事をしていた頃、似たような提案をしていました。年齢などによって必要な保障は変わるので、お客様の目的や要望に応じた保険をお勧めしようと考えていたのです。

しかし、近年は、認識を変えたほうがいいと思うようになりました。なぜなら、保険や共済から加入者に各種給付金として還元されるお金は、運営側の経費を引いた残りのお金なので、加入者全体の収支は原則マイナスになるからです。

青年期から老後まで長期に渡って死亡・医療・介護など広範囲に保険や共済を利用すると、“お金が失われやすい仕組み”に使うお金が増え続けるわけです。したがって、極力限定的な利用にとどめることが望ましいはずなのです。

とても簡単な理屈です。とはいえ「本当に保険や共済の利用を控えることにしていいのか? いざという時大丈夫なのか?」と不安になる人もいるでしょう。論理的には納得できても、「安心感」という点で落ち着かなくなる人もいると思います。

だからこそ、“お金が失われやすい仕組み”であることを繰り返し語る必要を感じるのです。不安や落ち着かない気持ちを抱えた状態では“気が収まること”が優先されやすいからです。

「入院時に貯蓄を取り崩すのは心細いので、医療保険などに加入しておくと安心」といった論法などが、その典型だと思います。お金の問題であるにもかかわらず、心理面が重視され、経済合理性は不問にされたまま「保険に入れば安心」と短絡的な結論が出されています。

家族構成やライフスタイルは、実は関係ない?