副業は、なぜ「バレる」のか?
副業がバレることへの漠然とした不安は、実際の制度の仕組みを知れば解消できます。
副業をお考えの方や副業中の方の中には、「うちは副業禁止だから、会社にバレるのでは、バレたらどうしよう……」と不安を持つ方が多くいます。具体的にどのようなケースで副業がバレるのかということを見ていきましょう。
「確定申告・住民税」でバレる可能性は低い
よく言われるのが「税額でバレるのでは?」ということです。毎年の住民税の給与天引き額は、以下のように決まります。
- 会社は、社員が居住する市区町村に給与額を知らせる
- 市区町村は、その金額をもとに税額を計算して会社に通知する
- 会社は、社員の給与から天引きする
- 社員は、副業分の確定申告をする
- 税務署は、市区町村に確定申告データを転送する
- 市区町村は、会社から通知された給与と確定申告データを合算して税額を計算し、会社に通知する
- 会社は、社員の給与から天引きする
しかし、このためには、
- 担当者が各自の給料額を把握し、
- さらに市区町村の計算結果の数字と照合する
住民税の金額などを計算してズレがないかなど、本気で調査すれば分かる可能性はありますが、経理担当は社員の税額確認に手一杯な時期であり、「そこまで見ていられない!」というのが本音でしょう。
最近は、個人の所得欄には目隠しシールが貼られていることも多く、そもそも所得金額などを把握できないことも多くなっています。
さらに、副業収入を「給料」ではなく、「事業所得」や「雑所得」のかたちで得ていれば、確定申告の段階で住民税を「給与天引き」でなく「自分で納付」を選択することもできます。
確定申告書にある、住民税の天引きの欄で、「自分で納付」を選択すれば、給与に係る住民税以外は個人納付になります。
結論として、住民税の通知から会社にバレる可能性は少ないでしょう。
所得税は住民税以上に気にする必要はない
所得税については、副業で確定申告をして納税や税金の還付があったとしても、その情報が会社にいくことはないため、住民税以上に気にする必要はありません。税金は徴収の仕組みが分かりにくいので不安を持ちやすいですが、「副業バレ」を避けるにあたって、そこまで気にする点ではありません。
副業は、もっと”アナログ”な理由でバレる
それでは副業がバレるのは、どのような場合でしょうか。
実際のところ、副業はもっともっと”アナログ”な理由でバレています。
「同僚に『副業を始めた』と話したら、上司に伝わっていた」
「SNSに副業をにおわせる書き込みをしたら、人事が見ていた」
「会社の近くの店でバイトをしたら、会社の人が来てしまった」……
税金の資料を気にするより、こうした自分の行動に気をつける必要があります。
「副業バレ」したくないなら、「会社関係の人に言わない」「SNSは完全に使い分ける」「会社の近くで働かない」といった、「基本対策」が一番大切です。
「副業バレ」は、懲戒・減給・解雇などの対象になる?
それでは副業が会社にバレたらどうなるのでしょうか?知っておくべきは、「就業規則に副業禁止とあっても、本来的に会社は副業を禁じることはできない」ということです。
終業後の空いた時間や休日をどうに過ごすかは個人の自由であり、会社が社員の余暇の過ごし方を制限することはできません。よって、就業に全く影響ない副業によって、懲戒・減給・解雇などの対応をすることは許されません。
ただし、「就業に影響がある副業」の場合、話は別です。
- 同業種の副業をして、本業の会社の売上・利益などに影響を及ぼす
- 本業の地位を使って、副業で利益を得る
また、本業と関係なくても、
・休みなく働いて本業の仕事中に居眠りしてしまった
など、本業に支障が出るほどの副業も何らかの規制対象となるでしょう。
就業時間外の過ごし方は自由とはいえ、会社の利益を侵害するような副業はやってはいけない、ということです。