子育てマンション

新築分譲で東京都初認定の子育て支援マンションとは?

子育てするなら、子どもに優しい住まいがよいですよね?でも、具体的にどんな住まいがよいのでしょう?そこで、東京都の「子育て支援住宅認定制度」の認定を受けた「イニシア西新井」を見学してきました。子育てしやすいとは、どんな住まいなのでしょう?

山本 久美子

執筆者:山本 久美子

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東京都が認定する子育てしやすい住宅とは?

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東京都では、子育てに配慮した住宅を増やすために、子育てに配慮した住宅の技術的な情報を盛り込んだ「ガイドライン」などを提供してきましたが、これらの基準を満たす住宅を認定する「東京都子育て支援住宅認定制度」もスタートさせています。

認定されるには、安全性や家事のしやすさなどに配慮された住宅というだけでなく、子育てを支援する施設やサービスなど、子育てしやすい環境づくりのための取り組みも行われる必要もあります。

具体的にどういった条件を満たせばよいのでしょうか?

分譲の新築マンションでは初の「子育て支援住宅認定制度」の認定を受けた、コスモスイニシアの「イニシア西新井(東京都足立区島根・総戸数81戸)」で、詳しく見ていきましょう。

子育てに適した立地環境やコミュニティ形成などの仕掛けも条件に

そもそもイニシア西新井が、東京都の子育て支援住宅の認定を取得しようと思ったのは、立地が子育てに適していたからだといいます。当然、子育て中のファミリー層が住むことを意識してマンションを作り込んでいくわけですが、細かい工夫点をひとつひとつ説明していくより、「東京都の子育て支援住宅に認定されました」と説明するほうが分かりやすいということで、認定の取得に踏み切ったのだそうです。

子育て支援住宅の認定を受けるには、新築マンションであれば、次の画像のような認定基準があります。認定基準には必須項目(主に安全性に関わる項目)と事業主が選択できる選択項目(主に住みやすさに関わる項目)があり、すべての必須項目と一定以上の選択項目の条件を満たす必要があります。
 

認定基準の概要

東京都子育て支援住宅の認定基準の概要(新築の場合)(東京都のホームページより)

イニシア西新井の場合で立地に関する条件を見ていきましょう。島根中堀公園や島根西公園、体験型複合施設のギャラクシティといった子どもの遊び場所、保育園や小学校、小児科のクリニックといった保育・教育、医療施設、東武伊勢崎線西新井駅近くにイオン西新井店などの生活利便施設が、すべてマンションから徒歩圏にあります。

マンション敷地内には、子育て支援に関する施設も備えています。具体的には、マンションエントランス付近に、植栽と遊歩道を整備してベンチも設置しています(写真左)。ほかにも、中庭に植栽とベンチ、屋上に芝生を敷いた共用テラス(写真右)を2カ所設置し、居住者同士が集まってコミュニティの形成を促す場所として提供しています。

遊歩道や芝生テラス

「イニシア西新井」の遊歩道と屋上テラス。見学当日は雨が降っていたのが残念


また、足立区では保育ママを推奨していることから、1階の住戸やエントランス・駐輪場の上の住戸など、下階に人が住まない住戸に限定して、保育ママの開業を可能にしています。
 

住戸内や共用部も子育てに配慮。一般的なマンションに少ない仕様や設備も

もちろん、マンションの共用部や住戸内にもさまざまな条件があります。

共用部の条件を見ると、バリアフリー、オートロック、防犯カメラ、宅配ボックス、防犯性に配慮したエレベーターなど、今どきの新築マンションであればかなりカバーできる条件となっています。

イニシア西新井の共用部を見学して面白いと思ったのは、認定基準というわけではありませんが、広いエントランスにアウトドア用品が収納されていることです。ボックス型のベンチは通常は椅子として使いますが、バーベキューをするときなどのほか、万一のときの防災備品としても活用できるアウトドア用品が取り出せます。壁も同様に、パネルを引き上げると中にアウトドア用品が収納されているのですが、指摘されるまでは壁のデザインだと思っていました。

エントランス

マンションのエントランス(「mu.su.bi.ホール」)。アウトドア用品がボックス型のベンチと壁の中に収納(鍵付き)されている。なお、折り畳み式の椅子は、見学者への説明会用に置かれたもので、通常は置かれていない


一方、新築の場合の住戸内については、次の画像のような認定基準があります。

住戸内の基準

東京都子育て支援住宅認定制度の「専用住戸内の整備基準の概要(新築の場合)」(東京都のホームページより)

イニシア西新井の専用住戸を見ると、一般的なマンションではあまり見られないものもありました。例えば、壁の角になる部分の面取り(角が尖らないように削っている)。ぶつかったときにケガをしないようにという配慮です。ここまで手をかけるマンションはあまりなかったと思います。

さらに、ケガを防ぐために、玄関や室内の扉にも、開閉時に子どもが指をはさまないような次のような工夫を施してあります。
・引き戸には、5センチメートルほどの「引き残し」を設ける
・開き戸には、急激に戸が閉まらないように「ドアクローザー」を付ける
・折れ戸は、折れる部分の幅を指より広くする

面取りと引き残し

「イニシア西新井」の認定基準対応の例(左)壁の面取り、(右)引き戸の引き残し

ケガよりもっと怖いのが、子どもが浴槽に落ちて溺れたり、バルコニーから落下したりすること。生死に関わるこうした事故を未然に防ぐためには、次のようなことが重要です。
・浴室のドアの鍵は子どもの手が届かない高さにする(イニシア西新井の場合は床上140センチメートル)とともに、外からも鍵をかけることができる「チャイルドロック」を付ける
・バルコニーの手すりを110センチメートル以上にし、足がかりとなる室外機から手すりまでの距離を離す(イニシア西新井の場合は手すりから室外機まで60センチメートル以上)

チャイルドロックほか

「イニシア西新井」の浴室・洗面所の工夫。(左)子どもの目の高さで見える鏡(チャイルドミラー)、(中)浴室ドアのチャイルドロック、(右)浴室から出て急激に体温が下がらないように、暖房機を設置できる専用コンセント

ほかにも、感電防止のためにプラグの刃を2本同時に穴に差し込まないとシャッターが開かない「シャッター付きコンセント」を採用したり、火を使うキッチンへの侵入を防ぐ「チャイルドフェンス」が取り付けられるように壁に下地を設けたりと、安全性を高めるさまざまな工夫がされています。

玄関にベビーカーを置く場所があったり、子どもの届く高さに大きめの照明スイッチを取り付けたり、人の出入りを感知して自動的に点灯する照明を玄関に設置したりといった暮らしやすさの工夫もいろいろあります。住戸内の細かい工夫は、次の画像で確認してください。
 

イニシア西新井認定箇所

「イニシア西新井」室内認定対応箇所(提供:コスモスイニシア)

 

子育てに配慮したマンションであるという住み手の共有意識も大切

住まいが子育てに配慮されていることも大切ですが、加えて、住む人の意識も大切です。子育て中ではない世帯が入居を希望した場合に、子育てに配慮したマンションであることを説明したり、入居後にウェルカムパーティーを開いてコミュニティ形成を促したりといったことも、認定基準になっています。

イニシア西新井は防災も重視しているので、アウトドアグッズの活用や防災イベントなども行う予定にしています。分譲マンションの場合は、長く住むつもりでいる世帯が多いので、良好なコミュニティは円滑な管理にもつながっていきます。

もちろん、住まいに頼るのではなく、コンセントにカバーをかけたりぶつかる場所にタオルを巻いたりといった、自分たちでできる工夫をするという選択肢もあるでしょう。いずれにせよ、注意して子どもを見守ることは怠れません。

ただ、どういった観点で子どもを危険から守ればいいのか、どういった工夫をすれば暮らしやすくなるかについては、こうした認定制度の条件などを知っておくことで、適切に判断できると思います。

あなたの住まいは、子育てしやすいですか?

【関連サイト】
「イニシア西新井」公式ホームページ
https://www.cigr.co.jp/pj/shinchiku/A10073/
東京都ホームページ「東京都子育て支援住宅認定制度」
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/child-care-seido.html

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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