歯・口の病気

知覚過敏や虫歯は?歯のホワイトニング前5つの注意点

【歯科医が解説】毎年なぜか春から夏にかけて、希望患者さんが増える歯のホワイトニング。暖かくなってくると、夏までに白い歯を、と思われるのかもしれませんが、虫歯や歯周病治療が完了していない場合や、知覚過敏がひどい場合は、すぐに施術ができないことも少なくありません。ホワイトニングを検討している人が事前にチェックしておくべき5つのポイントを解説します。

丸山 和弘

執筆者:丸山 和弘

歯科医 / 歯の健康ガイド

ホワイトニングに使う「過酸化水素」について正しく理解を

輝く白い歯

ホワイトニングのタイミングも大切。ホームホワイトニングのプレートを先に作ると治療後に合わなくなること……

現在、歯科クリニックなどで行われている歯のホワイトニングの種類は主に2つあります。オフィスホワイトニングとホームホワイトニングです。

■オフィスホワイトニング
クリニックなどで、ホワトニング材を歯の表面に塗り、光を照射するなどして、15分~1時間程度かけて行うホワイトニングです。

■ホームホワイトニング
クリニックなどで最初に歯の型取りを行い、それぞれの個人の歯にぴったりフィットする専用のカスタムトレーを作成します。家に帰ってからカスタムトレーに専用薬剤を塗り、歯にはめ込んで、数時間のホワイトニングを数週間程度行う方法です。

いずれの場合も、ホワイトニングするための働きの成分となっているのが「過酸化水素」です。さらにもちろんこれだけでは刺激が強すぎて使用できません。そのほかのそれぞれのホワイトニングに合わせた薬剤の配合となっています。

過酸化水素が不安定な分子であるフリーラジカルなどを作り出し、着色などの色の成分である有機物を分解します。さらに主に歯のエナメル質の表面の乱反射を増やす効果で白くて明るい歯に見えるようになります。このため過酸化水素のホワイトニング特性を理解したチェックが必要になります。

ホワイトニングを行う前のチェックポイント5つ

 1.被せものと詰めものの確認
過酸化水素の反応で歯が白くすることができるのは天然歯のみです。人工物である詰めものや、被せもの、金属などは素材そのものの色は変化しません。例えば、歯と歯の間に樹脂の詰めものがある場合、ホワイトニング後に歯が白くなっても歯と歯の間の樹脂が少し暗く見えることもあります。

色が気になる部分が詰めものなのか、自分の歯なのかを確認しておきましょう。樹脂の色のみが気になる場合には、ホワイトニングを行うよりも詰めもののみを詰め直しするほうが良かったり、あまりに劣化が激しく詰め替えたほうが良い場合には、施術する前に相談してみましょう。

2.虫歯のチェック
過酸化水素は、エナメル質表面では刺激を感じることはありませんが、虫歯がある場合には、穴の内部の象牙質が露出していることが多く、虫歯によって溶かされた穴に過酸化水素が入り込むと反応が起こり歯の神経が刺激され、痛みになることがあるので注意が必要です。

基本的には、虫歯がある場合には先に治療するか、仮の詰めものや保護剤などで、虫歯の穴の中にホワイトニング剤が入り込まないようにすることが必要です。

3.歯周病の進行度
歯に沿って歯ぐき部分を指で押した時、歯の周囲から白い膿がにじんで来る状態はすでに歯周病が進行しています。この歯周ポケットに過酸化水素が入り込むと知覚過敏が起こりやすくなったり、痛みが出たりすることがあるため、まずは歯周病の治療を先に行うことが大切です。

せっかく歯が真っ白になっても、歯ぐきが膿の出る真っ赤な状態では、審美的なバランスも悪く、不健康さが目立ちます。

4.神経の有無
大きな虫歯などではなく知覚過敏を主症状で歯の神経を抜いてある場合、一見自分の歯のように見えても、裏側に樹脂で詰めものをしてあることがあります。この場合神経を抜いたことによる内部からの色素の沈着が起こるため、歯のエナメル質が、周囲の歯よりも少し暗く見えたり、黒っぽく見えたりします。

歯のホワイトニングは神経のある歯によく反応するため、ホワイトニングで全体が白くなってもこの色の差が気になることがあったり、神経を抜いた歯だけが気になるのでそこだけ対応したい場合などは、外側からのホワイトニングよりも内部からホワイトニングを行う「ウォーキングブリーチ法」という方法が効果的です。詰めものが多い場合には、被せものが良いこともあります。

5.知覚過敏の状態の確認
水が敏感にしみたりする知覚過敏があったりするケースはホワイトニング後に一時的に知覚過敏がさらに強くなることがあります。これは、通常のホワイトニング後の違和感として最も一般的なのが「知覚過敏」だからです。

薬剤を強いものにしたり、施術の時間を長くすればするほど、ホワイトニング効果は高まりますが、知覚過敏が発生しやすくなります。普段からの知覚過敏が強い場合には、ホワイトニングの効果を若干犠牲にしても、知覚過敏が出にくい配慮が必要です。

ホワイトニングに必要な期間・ゆとりのある計画を

普段から定期的に歯科検診を受けるなどのデンタルチェックを行っている場合であれば、ホワイトニングは希望した時にすぐ開始できる可能性が高いでしょう。しかし、虫歯や歯周病を放置している場合、まず先にそれらの治療を行い、口内環境を健康な状態に戻してからでなくては、ホワイトニングは行えません。

軽度の虫歯や歯周病がであれば、治療期間は1~2ヶ月程度。さらにオフィスホワイトニングを希望する場合はさらに数週間が必要となるため、2~3ヶ月先の仕上がりをイメージしましょう。真夏に輝く白い歯に間に合わせたいならば、治療は4~5月に開始する必要があります。

さらに、ホワイトンニングも短時間に色の変化を出そうとすると、濃度を濃くしたりや装着時間を長くしたりする必要が出てきます。知覚過敏が現れたり、痛みが出やすくなったりするため、時間的なゆとりを考えておくことは大切です。
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