基本だからこそ大切!犬の散歩で心がけておきたいこと
犬と暮らすことを夢見る時、楽しみの1つは一緒に散歩をすることなのではないでしょうか? 犬とのふれあい教室を見ていても、子どもたちに人気なのは、犬を撫でることはもちろん、お手入れや散歩体験だったりします。それは大人であっても同じでしょう。犬に散歩はなぜ必要?
社会化、運動、アンチエイジング、病気予防…散歩にはいろいろな意味がある:(c)Doable/a.collectionRF/amanaimages
そもそも、なぜ犬には散歩が必要なのでしょうか? その答えは、人間がずっと部屋にこもりっぱなしで、人ともほとんど接触せず、これといった運動もしないままに育ち、生活を続けたらどうなるかを考えれば、一目瞭然ですね。
犬でも社会化や心身を健全に保つための適度な刺激と運動は必要であり、こと人間社会に組み込まれて生活する犬たちは、もはや自由に行動することはほとんどできませんので、代わりに飼い主がそれをコントロールしてあげなければなりません。
散歩は、アンチエイジングや病気予防、身体の機能回復、ストレス発散、問題行動の軽減などにも有効です。また、しつけやトレーニングの場ともなります。犬にとっては、とても重要な意味があるわけです。
散歩の回数や時間はどのくらい?
散歩の回数や時間を気にする飼い主さんが多くいらっしゃいますが、これには大きく2つの考え方があると言っていいと思います。1つは、ある程度の回数や時間を目安にするもの。もう1つは、運動量という観点においては、絶対的に人間より犬のほうが勝っているのであるから、犬が本気で満足するだけの運動に人間がつきあうのは無理がある。よって、何分何回というより、飼い主がどれだけ犬の散歩のために時間を割けるかである、というものです。
前者の例としては、高齢になると多くの犬が関節症をもっている日本の犬の現状を踏まえると、健康寿命を延ばすためには、関節症にならないため、またはもっていても症状を出さないために、若いうちから予防も兼ねて、平均的に少なくとも1日30分は散歩するのが望ましいという獣医師もいます。
これを数字どおりに考えるなら、1日1回の散歩であれば30分程度、1日2回の散歩であれば15分ずつ、最低でもそのくらいは散歩をしてあげたほうが健康のためにはいいということになるでしょう。
また、後者の例としては、普段仕事が忙しく、平日には散歩のためにあまり時間が取れないので、休日の度に犬が喜びそうな場所へ連れて行き、思い切り遊んだり、運動したり、楽しむようにしているという飼い主さんもいます。それはそれで1つの生活スタイルなのではないでしょうか。
どちらがいいというのではなく、飼い主さんの生活スタイルや状況にもよると思います。ただ、基本的に社会化や心身の健康のためには、可能な限り、外に連れ出してあげて欲しいとは思いますが。とは言っても、天気が悪く、外に出られない時もあることでしょう。そんな時には、室内で探し物ゲームや、ただ「スワレ」「フセ」「立って」を繰り返すだけでも軽い運動になります。
なお、問題行動の原因として、運動不足が考えられる場合もあるということを一言付け加えておきましょう。
気をつけたい散歩中のマナー、リードの扱い
犬にとって散歩は必要。しかし、「しなければ」と考えるより、一緒に「楽しむ」と考えたい:(c)Doable/a.collectionRF/amanaimages
散歩の時には気配りしたいこともあります。ウンチの後始末はもちろんのこと、意外に忘れがちなのがオシッコの始末です。トイレシートを持参して、その上でできるなら理想ですが、よそのお宅の玄関先や塀、垣根などにオシッコをかけるのは論外。しても大丈夫そうな場所に誘導してさせる、場所によっては持参した水で洗い流すくらいの配慮はしたいものです。また、子供たちが遊ぶ砂場や遊び場での排泄は、寄生虫感染予防のためにも避けましょう。
リードの扱いに関しても少々気配りが必要な場合もあります。伸縮リードを伸ばしたまま人通りの多い場所や一般の道路などで使用することはお勧めしません。犬が苦手な人には圧迫感や恐怖感を与える、人の通りを妨げる、犬が誤って道路に出てしまうなどの危険性がありますので、伸縮リードは伸ばしても大丈夫な環境で使用するようにしていただければと思います。
そして、狭い道路で人とすれ違う際には、相手との間に自分が入って通り過ぎる、または道を譲るなどの気配りが必要なことも。
散歩中の姿はいろいろな人の目に触れます。飼い主のマナーがよければ、きっと犬のイメージアップにもつながることでしょう。
散歩中に犬が動かなくなった! どうすればいい?
散歩で歩きたがらない犬というのはいます。歩かなくなる原因には、不安や恐怖(何か嫌なものがある、外に慣れていない)、体の異常、疲労、わがままなどいくつか考えられます。外の環境自体に不慣れで不安から歩かないようなら、無理強いせず、好物のおやつやオモチャで気を引いて、一歩でも歩いたら褒めるトレーニングを繰り返し、少しずつ距離を延ばしていくのがいいでしょう。その際、最初は少しでも落ち着ける静かな環境から始めることをお勧めします。
このような犬(子犬)では環境に加え、足裏に伝わる感触にも不安を感じている可能性もあります。理想的には、子犬の頃から、室内の一部にいろいろな材質のものを置いて、その上で遊びながら慣れさせておくというのも1つの方法です。
散歩の途中で座り込んで動かない場合は、身体のどこかに痛み(例:関節症)があって、これ以上は歩きたくないと言っていることも考えられます。運動器疾患がある犬では、散歩の行きには歩くものの、帰りは歩きたがらないというケースもまま見られますので、気になる時には、普段の歩き方や座り方をチェックし、異常が感じられるようであれば動物病院で診てもらいましょう。
単に、「自分はこっちの道を行きたいの」「帰りたくない」とわがままで座り込んでいるような場合では、それにつきあい続けていると、犬のほうが飼い主をコントロールするようになってしまいます。リードを引っ張っても頑として動かない犬は時々見かけますが、人間でも引っ張られれば、反射的に反対側に引こうとするものです。逆に犬の後ろ側にチョンチョンと引く、犬の横側に引くなどすると、立ち上がることもありますので、試してみてください。
「帰りたくない」という犬は、外のほうが楽しいということでしょうから、家の中でももっと楽しいことがあるよ?というふうにしてあげるといいかもしれません。
散歩は、義務と思ってしまえば飼い主のほうも疲れてしまいます。愛犬と一緒に楽しむ時間と考えられるような生活が送れるといいですね。