日本最大級のキャンピングカーショー!注目車種が目白押し
2018年2月2日から4日までの3日間の日程で、ジャパンキャンピングカーショー2018が千葉件の幕張メッセで開催された。展示台数は300台超。軽自動車ベースからバスコン、国産車に輸入車。自走式にトレーラー。日本最大のショーにふさわしく、各社とも気合の入ったブースを設置。新型車のデビューをこのタイミングに合わせてくるなど、一年を展望する機会でもある。今年は国産ベース車両に大きな動き(モデルチェンジなど)がなかったため、まったく新しい何かが生まれるようなムーブメントは起こらなかった。全般のトレンドは昨年からの継承。軽キャンピングカー、バンコン、キャブコンについては、各社マイナーチェンジ程度にとどまった。たが、そんな中でもユニークな提案や、なるほどと思わせるアイデアフルな車両に注目してみよう。
ベースは中古車!? アネックス・RIW-BRAWNY
アネックスのブースに展示されていたRIW-BRAWNYはその名の通り、マツダ・ボンゴ ブローニイをベースとしたバンコンだ。そういわれてまず思うことは「なんで今ごろボンゴブローニイ?」である。なぜなら、ベース車両のマツダ・ボンゴブローニィはとうの昔(2010年)に生産を終了しているのだ。というわけで、今回出展された車両も当然新車ではなく中古車に架装をしたものだった。一台一台丁寧に手作りしている会社が多いこともあって、国産キャンピングカーの架装部分はとても長持ちする。クルマの寿命と架装部分の寿命のバランスを考えたら、新車に架装するのが一番だし、そもそも中古車は程度にばらつきがある。あえて中古車を、それも8年も前に生産終了になった車種をベースにした理由は何なのか。開発者のキャンピングカープラザ大阪・坂本 学氏に尋ねてみた。
「これまで以上にワイルドなルックスのキャンピングカーを作りたかったんです。それには、どのメーカーの現行車種も乗用車指向でワイルドさが足りない。自分たちのイメージに合うのがボンゴブローニィだったんです」
RIW(リウ)というのは同社のブランドだ。コンセプトは「フィールドとの一体感」「靴のまま上がれて、汚れすら絵になるキャンピングカー」。RIW-BRAWNYの内装を見てみると、床は縞板を模した黒の塩ビシート、家具もまるでフィールドチェアーのようなアルミのむき出し仕上げ。野趣あふれるテイストでまとめられていて、ところどころ鉄板が露出したボンゴ・ブローニーの造りにもぴったりマッチ。「このベース車ありきでデザインした」という阪本氏の言葉にもうなずける。
さて「こんな車が作りたかった」という気持ちはよくわかったが、ビジネス展開としてはどう考えているのか。今回展示されていたのは阪本氏の自家用車。提示されていたプライス(199万円)は「架装加工費」だ。通常、ショーで展示されるプライスはすべて、ベース車両も含めた総額だが、中古車をベースにする以上、土台の程度によって価格は変動する。だから「加工費」+「車両代は別途」というわけだ。今後の展開についてはこのショーでの反応をみて市販化を検討するとのことで、実際、好意的な声は多かったとのこと。
「程度のいいベース車を探すのが大変なんです」と阪本さんは言うが、他に類を見ないユニークな車両、今後に期待したい。
キャンピングカープラザ大阪
http://riw.jp/
タフネス&スタイリッシュ MYSミスティック・J-cabin HN
ピックアップトラックの荷台に居室を載せるタイプをトラックキャンパー(通称:トラキャン)という。あまり日本では馴染みのないスタイルかもしれないが、普段はトラックとして使い、必要な時だけ「部屋」を積めばキャンピングカーに早変わり。トレーラーのように車輪がついていないので車検もない。「部屋」はあくまでトラックの「積み荷」なのだ。このスタイル、ピックアップトラックが人気のアメリカでは非常にポピュラーだが、今の日本にはピックアップトラック自体がほとんどない。そのため、トラキャン好きはアメリカのピックアップトラックを手に入れていたが、昨年久しぶりにトヨタから新型ハイラックスが登場したことで事情は変わった。
トラキャンを得意とするMYSミスティック社は、もちろん新型ハイラックスに合わせた新モデルを開発。今回のショーでデビューとなった。
新モデルの名前は、J-cabin HN。ハイラックス専用設計だけあって、Aピラーのラインとバンクベッド前面の角度が合わせてあるなど、搭載した姿は非常にスマート。後部にキッチンや収納キャビネットをまとめ、中央部にダイネットを配したトラキャン定番のレイアウトで使い勝手はお墨付きだ。
ハイラックスのカテゴリは普通貨物自動車。つまり登録は1ナンバーとなる。高速道路の料金は「中型車」ランク、車検期間は毎年など気になるところもあるが、ハイラックスならではの魅力も多い。
まずエンジンは最新のクリーンディーゼルエンジンで低燃費。ローレンジ付き4WDによる走破性の高さも見逃せない。キャブオーバーの商用車とは一線を画すスタイリングで人気も上昇中。そんなハイラックスにぴったりのトラキャンは、タフでスタイリッシュな魅力で若い世代に人気が出るかもしれない。気になる価格は240万5000円~(トラキャンの価格・車両は別途)。
MYSミスティック
http://www.mystic.ne.jp/
あえてボディカットせず! RVビッグフット・ACSオアシス
マイクロバスをベースにしたバスコンといえば、多くのキャンピングカーファンが「いつかは」と口にする最高峰車種。そのバスコンの老舗ビルダー、RVビッグフットのフラッグシップモデルが「ACSオアシス」だ。ベース車両にはトヨタ・コースターを採用。そのコースターが昨年フルモデルチェンジしたため、それにに対応した新・フラッグシップが満を持して登場。しかもSHとLLの2の2種類があるという。SHとはショートハイルーフ、LLはロングロールーフとのこと。だが、同社のモデル名は単に長短の違いだけではない。
- SHはボディをカットしたセミフルコン
- LLはボディはカットせず窓部分を拡張
ボディカットとは、オリジナルの車体をカットして独自の壁面や天井を取り付けること。こうすれば、元の車両よりも広い架装空間を作り出すことができる一方、重量バランスやコストの面では不利になる。そこで、車長の短いSHでは車体を運転席後ろから切断し、幅も高さも一回り大きいボディを架装してゆったりした空間を実現。
一方、ロングボディのLLはカットせず、窓部分だけ張り出すようにしてコストを抑えた。元々SHより長い分、広さはあるのだ。ベース車両をよくよく研究し、走行性能と居住性と価格の3点をうまく調和させた、老舗らしい手法といえるだろう。
装備面では、両モデルとも同社自慢のオール電化システムを搭載。家庭用エアコンをはじめ、フラッグシップにふさわしい充実の装備にぬかりはない。価格はさすがのフラッグシップだけあり、SHが1628万5000円~、LLが1423万0000円~。
RVビッグフット
http://www.rv-bigfoot.com/
フィアット・デュカト×日本ビルダー! バンテック・V670
バンテックと言えば、ZILシリーズをはじめ多くのキャブコンを製作する大手ビルダーの一つ。ブース内の一段と高い場所に展示され、話題をさらったのが、フィアット・デュカトをベースにした新型車両、V670だ。国内のビルダーとしては初めての、フィアット・デュカトベース。一体どんな車に仕上がっているのか興味津津である。
全体のフォルムはバンクを持たないロープロファイルスタイル。シェルはもちろん自社製。レイアウトは運転席と助手席を180度回転させて使うフロントダイネットに、リアは横向きの常設ベッド。
シェルの平滑度をはじめ、各部の仕上がりはさすがの国産クオリティを感じるが、レイアウトはヨーロッパ製キャブコンでよくみられるパターンである。
気になる価格は1400万円台。生産台数が少ないので仕方がないとは言え、値ごろな輸入車が増えてきた現在、高価な部類に入るだろう。
「レイアウトも似ていて価格は高め。これではヨーロッパ製との価格競争で不利なのでは?」広報の露木伸也氏はこの質問に「今回出展しているのはプロトタイプ。量産型は夏ごろデビューになります。それまでに細部のリファインをします。それに、まだまだ“隠し玉”もありますよ」とのこと。含みを持たせた回答に、ぜひ期待したい!
バンテック
http://www.vantech.jp/
バンコン並みの機動力×キャブコン並みの装備 Sunlight CLIFF(サンライト クリフ)
今回のショーでは、輸入車の台頭が目立った。特にヨーロッパ製の勢いが強い。というのも、老舗ブランドのセカンドラインが続々と登場しているのだ。本国同様、価格は抑えめ。外車=高価という概念は通用しない。東和モータース販売が扱うSunlightも、そんな一つ。デスレフのセカンドラインだ。今回のショーではフィアット・デュカトベースのバンコン、Sunlight CLIFF(サンライト クリフ)がデビューした。本国では全4タイプが販売されているが、同社が導入したのは540と610の2モデル。540は全長5.4m、610は全長5.99m、全幅は両モデルとも2.05m。この大きさは平均的な国産キャブコンより幅は狭く、長さが少し長い。このサイズの中に、キッチンはもちろんトイレ、シャワーとフル装備なのはさすがヨーロッパ車。540は二人旅に、610はリアにダブルサイズの2段ベッドがあり、ファミリー向け。
注目はなんといっても価格だろう。540が698万0000円、610が738万0000円! 洗練されたインテリアに充実した装備に加え、定評あるフィアット・デュカトの走行性能がこの価格で手に入る。これは今後、国産キャブコンと真っ向勝負になるかもしれない。
東和モータース販売
http://towa-motors.com/
キャンピングカー人気も成熟してきて、買い替え需要も高まりつつある昨今。いよいよ各社の商品も『中身で勝負』の色合いが濃くなってきた。走っていれば車。停まっている間は家。キャンピングカーの奥深さを実感させてくれるショーだったと思う。
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