いよいよ動き出す!電線地中化関連の6銘柄をピックアップ
電線地中化の動きが本格化しそうです。イギリスのロンドンやパリ、香港では電柱や電線が100%地下に設置され、町並みがとてもきれいです。シンガポールが93%、韓国のソウルも46%が地中化されていますが、東京23区のそれはわずか8%に過ぎません(出所・国土交通省の「無電柱化の整備状況」)。救急車が通れないなどの問題もあり、電線や電柱の地中化が急がれていますが、費用負担や権利関係などの問題があり、日本では進んでいませんでした。
3年で1400kmの無電柱化が政府目標に
2020年の東京オリンピックに向けて、無電柱化がようやく動き出しそうです。2016年末に無電柱化推進法が施行され、これに基づいて政府が「無電柱化推進計画」を2017年度内に正式決定することになっています。報道などで、その内容が明らかになってきました。2018年2月19日付けの読売新聞によると、防災上重要な道路や高齢者が歩きやすくするためのバリアフリー化が必要な道路を「重点的に無電柱化を進める対象」とし、地中化を事実上義務化する内容となっています。2018年度からの3年間で1400キロメートルの無電柱化を実現するとの目標も掲げるそうです。
国交省によると、無電柱化は09年から徐々に進んでいますが、計画案では重点整備の対象は合計で5~6万キロメートルと推計されるとのこと。3年間の推進期間で仕組みを定着させ、その後はさらに加速させる方針ともされています。1キロメートル当たりで5億3000万円の費用がかかるともされ、長期間の巨大な国家プロジェクトともいえます。
オリンピックに向け東京都も予算を増額
東京都でも「東京都無電柱化条例」が成立し、2017年9月1日に施行されました。それによると、東京オリンピック・パラリンピックの開催までに「センター・コア・エリア内の都市計画幅員で完成した都道の無電柱化を完了させるとともに、防災対策上、重要な位置付けにある緊急輸送道路や利用者の多い主要駅で重点的に整備を進める」としています。東京都が示した2018年度予算案では、無電柱化関連経費を259億円から288億円に増額しています。関連企業には中長期にわたって、業績に寄与することが予想されます。そこで今回は、電線の地中化に関連する銘柄をピックアップします。
オオバ <9765>
調査測量、設計・区画整理から土地管理までを行なう総合建設コンサルタントです。先ごろ、東京電力ホールディングスの孫会社である東電タウンプランニングと無電柱化事業で業務提携を実施すると発表しました。オオバはかつてパナソニックが主導した神奈川県・藤沢市のスマートタウン化計画で、調査・測量、区画整理に加え、無電柱化の設計も担当。この実績が今回の提携につながったとされます。電力を家庭に入れるための電線地中化では、大きな需要が発生することが期待されます。
ゼニス羽田ホールディングス <5289>
防災コンクリート2次製品が柱の企業です。ここにきて電線地中化向けに共同溝「CCBOX」が拡大基調になっているようです。CCBOXは歩道や車道の地下にも使えます。中期経営計画では「電線地中化事業に対して積極的に営業を行ないます」と明記。収益への寄与度が高まっていきそうです。
イトーヨーギョー <5287>
コンクリート2次製品の中堅企業です。17年11月に、無電柱化製品の「D.D.BOX Pleon」が東京都に採用されたと発表しています。限られた歩道スペースを活用するためにボックスの上段を側溝として使用し、下段に電線類を収納する製品。また、京都・先斗町通にも細い通りでも無電柱化できる製品の納入が決まっている。
タイガースポリマー <4231>
自動車部品用成形品、ゴムシート、ホースの大手です。地中埋設用ケーブル防護管「タイレックス」を展開しています。タイレックスは長尺で曲げやすく、電線管敷設の省力化・工期短縮を図ることができます。
日本コンクリート工業 <5269>
コンクリート製品の大手。電線の地中化に伴って、基礎ブロックなどは工期の短縮を図るためにプレハブ化が進んでいます。同社では多種多様な製品を扱い、採用実績も豊富です。埋設のためのコンクリート製品需要が増加しそうです。
旭コンクリート工業 <5268>
太平洋セメント系のコンクリート会社です。電線類地中化用のボックスカルバートを手がけています。これは耐久性衝撃や繰り返し荷重に対する抵抗性に優れ、ひび割れも発生しないなど耐久性も備えたコンクリート製品です。工事の迅速化や省力化にも役立つそうです。