ハイブリッドが追加され、売れ行き好調の新型ステップワゴン(2017)
トヨタ、日産、ホンダが三つ巴となっているMクラスミニバンの中でも、2015年に登場した5代目ステップワゴンは、特徴的なスタイリングに独創的な「わくわくゲート」、国産ミニバン初の直噴ターボエンジンの搭載など、なかなかユニークなモデルとして注目されました。ただし、発売直後こそ好調だったものの、実のところ売れ行きはあまり芳しいものとはいえない状態が続いていたのは否めません。それには弟分のフリードがモデルチェンジしたことも少なからず影響しているでしょうし、あるいは見た目がやや押し出しに欠けたことも要因といえるでしょう。
ところが、しばらく月販目標である5000台に対してだいぶ遠い台数にとどまっていたところ、2017年秋に大がかりなマイナーチェンジを実施して以降、ほぼ目標達成といってよいところまで挽回しています。
要因は大きくふたつ。エクステリアデザインの変更とハイブリッドの追加です。見た目の印象がだいぶ変わったのはご覧のとおりで、いまどきのミニバンユーザーが好む押し出し感のある顔つきとなりました。
注目のステップワゴンスパーダハイブリッドの動力性能はかなりパワフル
待望のハイブリッドはスパーダのみの設定で、すでにオデッセイやアコードに搭載されているシステムと基本的に共通の、145ps/175Nmを発生する2リッター直4のアトキンソンサイクルエンジンに、184ps/315NmのPCU+モーター内蔵CVTを組み合わせた「i-MMD」を搭載しています。ガソリン車でいうと3.5リッターなみの動力性能というだけあって、その走りはなかなかインパクトがあります。加速の力強さは、このクルマのミニバンではかつて味わったことのないものです。
EV的な一面も。洗練された上質な足回りに注目
その一方で、かなり「EV」的であることも、このクルマならでは。バッテリーが十分に残っていれば驚くほど延々とエンジンを動かすことなく走行し、そのままかなり高い車速域まで粘ることにも驚かされます。停車状態からの発進も、よほどアクセルを大きく開けない限りモーターのみでスルスルと走り出し、たとえエンジンがかかっても負荷の低い走行状態になると再びエンジンを停止することを繰り返すので燃費もよさそう。より積極的にEV走行する制御となるEVスイッチも設定されています。
さらには静粛性が非常に高いことも印象的で、EV走行時だけでなくエンジンがかかっても、その音や振動がほとんど気にならないほど。それはガソリン車に比べても圧倒的なレベルです。
足まわりの印象もハイブリッドはとても洗練されていることも特筆できます。ガソリン車に対して、より上質な乗り味を追求した専用チューニングが施されているほか、フロントサスペンションにアルミ製のナックルが、さらに最上級の「G-EX」には走行中の車体のゆがみや微振動を減衰させる効果のあるヤマハ製のパフォーマンスダンパーが与えられています。ステアリングの操舵力も軽く、操作に対する応答遅れが小さく、スムーズなフィーリングになっています。
これらにより、しっとりと上質な乗り味を実現しています。ひいてはクルマの動きが軽快で一体感があるので、実際にはガソリン車に対して100kg以上の重量増となっていますが、感覚的にはむしろ軽くなったように思えるほどです。
また、ハイブリッドには電動サーボブレーキが装着されていますが、世のハイブリッド車にはブレーキフィールに大なり小なり違和感を覚えるものが多い中で、とても自然に仕上がっているところも好印象です。
ハイブリッド化による室内の影響はほぼなし
わくわくゲートもこの車の特長の1つ
また、電子制御パーキングブレーキとオートブレーキホールドスイッチがハイブリッドのみに設定されています。件のマイナーチェンジでステップワゴン全車に安全運転支援システムの「ホンダセンシング」が標準装備されたのですが、ハイブリッドにはそれを活かした渋滞追従機能付きACCが搭載されることも特筆できる点です。
同クラスにトヨタや日産がすでにハイブリッドミニバンをラインアップして人気を博している中、新たに名乗りを上げたステップワゴンもまた非常に魅力的な仕上がりとなっています。