金融緩和とは?何のために行う?為替や株への影響は?
ニュースなどでよく聞く「金融緩和」という言葉、いったいどういう意味があって、経済にどういった効果があるのでしょうか?今回は「金融緩和」についてわかりやすく解説します。
景気が悪くなると、景気を上向かせるために中央銀行が行うのが「金融緩和」
一般的に中央銀行は景気が悪くなると景気を上向かせるために金融緩和を行います。金融緩和は伝統的には、主に金利を引き下げることで行われてきました。金利を引き下げることで法人や個人がお金を借りやすくして景気を良くしようというものです。ところが、2008年の金融危機以降は主要国の金利が0%となったこともあり、金利を引き下げる余地がなくなってしまいました。そこで、量的金融緩和という金融緩和の手法がとられています。これは中央銀行が主に金融機関から、国債などを市場から買い上げ、市場にお金を大量に流し込むことによって法人や個人がお金を借りやすくして景気を良くしようというものです。
景気が非常に悪い状態(景気の底)から金融緩和をある程度続けると、期待感や余剰資金が株式市場に流れて株価が上昇します。株価が上がると株を持っている個人や法人の消費や投資が活発になってきたりと景気が徐々に回復してきます。このようにして金融緩和政策によって株価が上がる状態を金融相場といいます。
アベノミクス3本の矢の1つ、日銀の大規模金融緩和の効果は?
大規模金融緩和にいち早く取り組んだ米国は、景気がいち早く回復する結果となりました。経済指標は非常に強く、企業業績も概ね好調。現在は政策金利を引きあげる段階に入っています。日本は2012年末の選挙で自民党が勝利してアベノミクスが始まると、アベノミクスの3本の矢の1つ(第1の矢:大胆な金融政策。金融緩和で流通するお金の量を増やし、デフレマインドを払拭)として異次元の金融緩和が始まりました。具体的には2013年4月3日、4日の日本銀行金融政策決定会合で異次元の金融緩和の導入が決定。黒田東彦総裁は「量的にみても質的にみても、これまでとは全く次元の違う金融緩和を行う」と会見で発表しています。
景気が良くなると金融緩和を縮小していく必要がある
この異次元の金融緩和が最終的にどうなるのかについては意見が分かれているところです。米国のような形で経済を非常に強い形にもっていき、金融相場から業績相場(景気がよくなることで、企業業績の拡大が株価を牽引する相場)に発展していけるかどうかが1つのポイントです。更に、景気が良くなってくると今度は大規模金融緩和を縮小していく必要があります。この量的緩和策による金融資産の買い入れ額を徐々に減らしていくことをテーパリングと呼びますが、最終的にこの出口戦略をどうしていくのか(米国のように好景気を保ったままテーパリングを実施できるほど景気を強い状態にもっていくことができるのか)、日銀の黒田総裁は断固として、デフレマインドを払拭できるまで金融緩和を続けるとしていますが、今後の経済動向に注目が集まるところです。
参考:日本株通信
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