犬にイカを与えても大丈夫？
犬に生のイカは食べさせないで！
犬に生のイカを食べさせることはおすすめしません。加熱すれば与えても大丈夫になりますが、消化としては気がかりな点も。犬が生のイカを食べてしまった場合の対処法もお伝えします。
＜INDEX＞
犬に生のイカは与えないこと！
生のイカを犬が食べると体調に影響がでることも
生のイカは品種に関わらず、犬に与えないようにしてください。生のイカに含まれるチアミナーゼという酵素がビタミンB1（チアミン）を破壊することで
- 食欲低下
- 心臓肥大
- めまい
- 麻痺
また、生食用として処理されていない生のイカはアニサキスという寄生虫が潜んでいる場合があり、激しい腹痛や嘔吐を引き起こすこともあるので、犬には食べさせないほうが安心です。
チアミナーゼやアニサキスは加熱することでその働きが失われるため、加熱したイカであればビタミンB1が破壊されることで出る症状やアニサキスによる寄生虫症の問題はありません。
加熱したイカは栄養学上与えても問題ないことになりますが、弾力が増すことで消化において心配な点もあります。動物性タンパク質は犬が消化吸収を得意とする栄養素ですが、犬は噛まずに丸飲みして食べる性質があり、歯で噛むという物理的な消化をあまりしない動物です。
犬がイカを食べた時の消化については正確な情報がないため、どうしてもイカを食べさせたい場合は加熱した後に細かく刻むようにしてください。
スルメ、さきいかなどイカの乾物は、消化管内で水分を含んで膨張し、詰まらせる可能性もあるので避けておきましょう。イカの塩辛は、犬にとって塩分が多すぎるため心臓や腎臓に負担がかかることがあるので食べさせないようにしてください。
イカに含まれる特徴的な成分は他の食材で代用できる
イカを食べると犬の健康にいいことはある？
犬がイカを食べた場合の健康への働きについて、明確な研究発表は存在していないようですが、イカには肝機能・心機能やコレステロールなどの働きを整えることが期待できる成分のタウリンが含まれています。
タウリンは猫にとっては食べ物で補う必要のある”必須アミノ酸”の一種であるものの、犬は偏ったごはんを与えていなければ体内で作れるタウリンの量で足りるとされています。
イカの肝臓にはタンパク質や脂質の代謝を助けるビタミンB12が含まれていますが、ビタミンB12は加熱時間に比例して含まれる量が減少するという報告もあり、犬への安全性も不明瞭なためおすすめできません。ビタミンB12は牛、鶏、豚の肝臓（レバー）にも含まれているので、ビタミンB12を補う必要がある場合はこれらの食材を取り入れてみてもいいでしょう。
犬が生のイカを食べてしまった時の対処法は、自己判断をせずに動物病院へ行くこと
犬が生のイカやスルメを食べてしまった時の対処法は？
イカは犬に積極的に与えなくても大丈夫な食材ですが、生のイカやするめを犬が食べてしまった場合の対処法、イカの食物アレルギーや犬の病気や薬との相性は飼い主として気になるところ。犬の食生活・健康管理の講座も開催している獣医師の丸田香緒里先生（Animal Life Partner代表）にお伺いしました。
「生のイカを犬に食べさせることはビタミンB1欠乏症になる恐れがあるためおすすめしません。加熱済みのイカであれば、中毒を起こすことはありません。ですが、大量に食べすぎると消化不良による嘔吐や下痢などの症状が出る可能性はあります。
味付きのイカや乾物のスルメを食べてしまった場合には、過剰な塩分によって腎臓や心臓に負担がかかって最悪死に至る可能性も否定できません。食べた恐れがある場合には自己判断せずに必ず動物病院に行くようにしましょう。
状態によっては、動物病院で吐かせる処置をしてもらった方が適切な場合もあります。インターネットに書いてある自宅で吐かせる方法を試すと、誤嚥性肺炎を起こす危険性がありますのでおすすめできません。
イカは元々犬にあまりおすすめできない食材ですので、アレルギーや薬との相性などの情報も現段階では報告がありません。」
犬にイカを食べさせても大丈夫？まとめ
- 犬に生のイカを与えるとビタミンB1欠乏症になることがある
- 加熱したイカであれば栄養学上問題ないが、刻んで与える
- スルメ、さきいかなどの乾物や調味済みのイカの加工品は犬には与えない
- 万が一大量に食べてしまった場合は自分で対処しないで動物病院へ行くこと
【執筆協力】
丸田香緒里 獣医師
丸田香緒里 獣医師（Animal Life Partner 代表）
日本大学卒。動物病院勤務後、飼い主様にもっと近い存在になりたいと思い「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士など様々な資格を取得し、病院での診療や往診の他、セミナー講師やカウンセリング、企業との製品開発など活動は多岐にわたる。
ホームページ：http://animallifepartner.com/
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