おいしいカレーも店名も独創的!女性二人で営むカフェ「小さかった女」
スパイスカレーがとびきりおいしいカフェがある――そんな情報はあらゆるところに氾濫しているから、脳内の「いつか行きたいカフェリスト」に追加して、運が良ければその町に行ったときに思い出すし、ご縁がなければそのまま膨大な「いつかリスト」の中に埋もれてしまうもの。されど、このお店は忘れようにも忘れられません。なにしろ店名が「小さかった女」! ヌーヴェルヴァーグの映画のタイトルのような、もしくは深夜ラジオの投稿タイトルのような。
カレーと店名の謎に惹かれて、武蔵小山駅のとなり、西小山駅に降り立ちました。
スパイスカレーと欧風カレーの融合?
こじんまりした店内に大テーブルがひとつと2人用テーブルが2つ、それに本棚のあるカウンター席、そしてピアノ。内装はほぼ二人の女性店主、小助川さんと田尻さんのセルフリノベーションで、珪藻土の壁も自分たちで塗ったといいます。「一度食べたら忘れられない。足が勝手に向かってしまう。そんなカレーとカルチャーの融合したお店でありたいと思っています。また、私の故郷である北海道のクラフトビールや食材も扱って、北海道の良さも知っていただけたら」と小助川さん。
さっそくいただきました。お店の顔と言うべきトマトベースの熟成スパイスカレー3種類の中から、チキン(950円)、辛さ0。これが一般的な中辛にあたり、1から3まで辛さを3段階で選択できます。
ピリッと快い刺激があって、辛さ0でも意外に辛い。ああ、大好きな味です! クミンなどのスパイスをしっかり効かせながら、欧風カレーのような濃縮感もあるこの独特の味わいは……神保町の某名店にも通じるような旨みですが、二人は他店の影響を受けないようにあえて食べ歩きをせず、キッチンの中で探究を深めたそうです。
「頭の中にあったカレーのイメージをもとにして、予備知識なしに感覚だけで作ったのが始まりです。おいしいカレーを作りたいという情熱を注ぎ込んだので、当初私たちの間で“パッションカレー”と呼んでいたくらいです」
スパイスカレーは熟成が決め手
どこか醤油を思わせるような懐かしい旨みや、ほろ苦さと甘み、そしてコクと奥深さを感じるのですが、和風の調味料はいっさい使われていません。この不思議なおいしさは、スパイスを炒めてから1週間ほど熟成させるという工夫から誕生したもの。ごはんにもこだわりがあり、言われなければ気がつかないほど淡くカルダモンが香っているのです。熟成スパイスカレーはこのチキンの他にポークやフィッシュが用意されており、使用するスパイスも少しずつ異なるそうです。他に「東京キーマ」や「グリーンサラダカレー」など、またしてもユニークなオリジナルカレーが。すべて試そう、と心に決めました。
コーヒーはコンパスコーヒーの豆を使用
一杯ずつドリップするコーヒーは、旗の台にあるロースター「コンパスコーヒー」の豆を使用。ロースターさんもこのカレーを気に入って、カレーと相性のいいオリジナルブレンドを作ってくれました。「小さかった女」は画題から
さて、不思議な店名ですが……「私たち二人は元同僚で、お互い美術を学んでいたことから意気投合してお店を開くことになりました。店名はなにか自分たちらしさが感じられるものがいいね、ということで、私の絵のためのタイトルストックから、田尻が直感的に選んだものに決まりました。当初は『女』を『ひと』と読ませるつもりでしたが、お客さまが『おんな』と呼ぶのでそれに合わせました(笑)」小さかった女(ひと)とは、まだ何者でもなく、恋人のものでもない、やわらかな魂をもつ子ども時代のこと。素敵な画題ですね。でも、初めてお店に入ってきたお客さまの多くは、なんとなく店主の身長を確かめて首をひねることでしょう。
MENU
[KOYAMA CURRY]・チキン 950円 ・ポーク 1200円 ・フィッシュ 950円
[オリジナルカレー]
・東京キーマ 850円 ・グリーンサラダカレー 900円
コーヒー各種 380円~
北海道産クラフトビール各種 800円~
ハスカップなど果実酒各種 580円~
shop data
小さかった女(ちいさかったおんな)【住所】東京都品川区小山5-25-14 カーサファイブ1F
【TEL】03-68872292
【OPEN】11:30~15:00、17:00~21:00(金土~23:00)
【CLOSE】月
【最寄り駅】東急目黒線「西小山」駅北口より徒歩3分