共働きは基本的にマネープランにおいては有利
共働きで働く夫婦はもはやスタンダードです。「共働き夫婦か、専業主婦と会社員の夫婦か」を問えば、すでに共働き夫婦のほうが多く、しかもその割合は専業主婦と会社員の夫婦の2倍になっています。共働きはマネープランにおいて有利な働き方といえます。ダブルインカム、つまり2つの収入源があることで、合計所得を大きく増やすことができます。家事や育児の負担は大きいものの、合計所得を大きく高めることで生活水準の向上、子育て費用の捻出、住宅ローン返済費用の負担などにアドバンテージを得ることができます。
夫婦のどちらかが体調を崩して仕事を休まざるを得なくなった場合や、不意の失職による一時的な無職状態が生じたときも、共働きのほうがリスクは小さくなります。専業主婦と会社員の夫婦だといきなり年収ゼロになってしまうリスクがあります(実際には社会保障が一定割合をカバーしてくれますが)が、共働きであればどちらかの年収を維持し続けられますから、所得減少は半分以下に食い止められます。
老後のことを考えても、合計年収が高いために準備する余裕があったり、それぞれ厚生年金を将来もらえたり、ダブルで退職金を得ることができるため、専業主婦と会社員の世帯よりも余裕をもった老後を迎えることになります。
マネープラン的にいいことづくめのようですが、1つだけ注意点があります。この「泣き所」は絶対に克服しておかなければならないのです。
共働きに唯一できない「いきなり年収を100万円増やす」という飛び道具
専業主婦と会社員夫婦の場合、いつかは共働きに戻ることを想定して「今は専業主婦」というケースがあります。理由として多いのは子育てで、子どもが小さいので今は仕事を休んで、もっぱら女性が家事育児に専念する、という夫婦は少なくありません。こうした夫婦の場合、子どもの学費準備に本腰を入れたとき、「共働きを再開」させることにより年収を一気に増やすことができます。「子どもが中学に入ったし、私がパートに出れば年収100万円増やせるわよ」ということで一気に学費準備を進めたり、「子どもが高校に入学したので学費相当分くらいを共働きにすることで稼ぎましょう」というようなパターンです。
これはマネープランとして考えると、伝家の宝刀を抜く、というような感じです。家計の収支で支出が大きく増加したことに対応し、収入も大きく増やすことで大幅な赤字になりかねない環境を一気に好転させることができます。
共働き夫婦にできないのはこの「飛び道具」を使うことです。深刻な家計の状況を打破する必殺技がないのです。なぜならもう、ふたりとも稼げる範囲で働いているからです。
当たり前といえば当たり前なのですが、この点だけは共働きの「泣き所」といえます。
共働き世帯は、とにかく計画的に未来に備える
共働き世帯に「必殺技」がないとしたら、地味に問題解決を行うしかありません。つまり、「正攻法」です。共働き世帯は、将来の支出急増の可能性をあらかじめ予想し、備えておくような意識が必要です。高校や大学に通う時期に年100万円多く必要だから、その年に年収を100万円アップさせる、のではなく、あらかじめ貯蓄をしておき、計画的に取り崩すことで支出急増の7年間に対応するのです。
子どもが小学校から中学校にかけての9年間、あるいは未就学児の年代の4~5年間に、高校と大学にかかる7年分の支出をならして貯めておけば、急増で焦る心配はありません。
日本政策金融公庫によれば高校と大学の7年間の支出総額は975万円とされています。単純平均では年139万円です。進学と同時に意図的に増やせる年収ではありません。
これがもし14年の準備期間を想定できれば、1年あたりの準備額は3分の1になります。1歳のころから年46.4万円ずつ貯金をしておけば、14年後には約650万円が貯まります。
高校進学以降も学費に年46.4万円ずつ負担し、貯金を取り崩していけば、大学卒業まで同じペースでお金を用意できることになるわけです。進学に合わせて年収を増やす心配はありません。
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_h28.pdf
子どもが誕生したら、共働き家庭ほど教育費準備の積立を着手するべきです。きっとその頑張りは子どもが高校に入ったとき、大学に進学したときあなたの助けとなるはずです。
専業主婦家庭は、伝家の宝刀をもっと早く抜いておきたい
ところで、専業主婦が働き始めることを、伝家の宝刀を抜く、と表現しましたが、言い換えればこれは「稼げる力があるものをあえて使わずに過ごしていた」ということでもあります。冷静に考えてみれば、もっと早くから伝家の宝刀を抜いておけば何百万円もの資産を作れたかもしれないところ、その「能力」を眠らせていたということになります。
専業主婦家庭は「少し早いかな」くらいのタイミングで復職してみることをオススメします。これもまた、共働き世帯に近づくことで、高校と大学の進学時点での余裕を作ってくれることになるはずです。