犬に大豆を与えても大丈夫?
犬に大豆を食べさせてもいい?
大豆は犬に与えることができる食材です。犬に大豆を食べさせる時の注意点やポイント、大豆に含まれる栄養素とその働き、犬の病気・薬との関係性を具体的にお伝えします。
<INDEX>
- 大豆は犬に食べさせても大丈夫! 必ず加熱してから与える
- 大豆には、エイジングケアやダイエットに期待できる成分が含まれる
- 貧血気味の犬や、大豆製品にアレルギーがある犬には与えるのを避ける
- 犬の間食として取り入れる場合、1日に与えていい量の目安
- 節分用の煎り大豆、枝豆や納豆は犬にも大丈夫ですが、与えすぎに注意
大豆は犬に食べさせても大丈夫! 必ず加熱してから与える
犬に大豆を食べさせるときは必ず加熱したものを
大豆は植物性のタンパク質を豊富に含む食材です。大豆は、犬が食事から摂る必要のある必須アミノ酸(タンパク質を構成する成分)が全て含まれています。タンパク質は筋肉、皮膚、骨など体のあらゆる部分を構成する重要な栄養素です。健康な犬の食事ではタンパク質が一番多く含まれていることが理想的なので、犬のごはんの中心となる栄養素でもあります。
タンパク質の種類には、大豆・納豆など豆類に含まれる植物性タンパク質、肉・魚・卵などに含まれる動物性タンパク質があり、犬が消化吸収を得意とするのは動物性タンパク質です。
植物性タンパク質が全く消化吸収されないわけではありませんが、手作り犬ごはんの毎日のタンパク源としては動物性タンパク質をメインにすることがおすすめです。
また、生の大豆製品は、タンパク質、鉄、亜鉛、カルシウムなどの吸収を阻害する成分が含まれていますが、加熱によってその影響を抑えることができます。大豆を生で犬に食べさせることは避け、柔らかくなるまで加熱してから食べさせるようにしてください。
大豆が水煮されたレトルトパックや缶詰は、原材料が大豆だけであれば犬に食べさせて大丈夫です。味付けされたものや、他の食材と混ざっている惣菜タイプは避けておきましょう。
大豆には、エイジングケアやダイエットに期待できる成分が含まれる
大豆に含まれている栄養素に期待できることは?
犬が大豆を食べた場合の健康への働きについて、明確な研究発表は存在していないようですが、期待できる働きを2つご紹介します。
1:シニア犬のサポートやエイジングケアに
大豆に含まれる大豆サポニンは、活性酸素を取り除いたり、抗炎症作用やがん細胞の増殖を抑えることが期待されています。ですが、大豆サポニンは発酵によって減少してしまったり、成分の不安定さがあるとも報告されています。
2:脂肪の蓄積を抑えることが期待できる
大豆ペプチド(大豆タンパクを分解したもの)を与えながら運動をしたラットは、内臓脂肪が減少したというデータがあります。運動とセットになることで脂肪の蓄積を抑えることが期待できるようなので、散歩やお出かけの前のごはんやおやつに大豆製品を取り入れてみるのもいいでしょう。
貧血気味の犬や、大豆製品にアレルギーがある犬には与えるのを避ける
大豆を食べない方がいい犬の病気・薬は?
どのような食材でも、良い面と良くない面を持ち合わせています。大豆を避けた方がいい犬はいるのか、大豆と相性の悪い薬はあるのか、飼い主としては気になるところ。犬の食生活・健康管理の講座も開催している獣医師の丸田香緒里先生(Animal Life Partner代表)にお伺いしました。
「犬は元々、肉食動物から雑食へと進化した動物なので、植物性タンパク質や食物繊維の消化吸収が苦手です。
人にとって”畑の肉”と言われる大豆ですが、犬にも同様の効果が期待できるわけではないという事を念頭に置いてください。犬に大豆を食べさせるときは、柔らかくなるまで加熱したものを、つぶしたり細かく刻むようにしましょう。
大豆製品に含まれるグリシニンという成分によって、鉄の吸収が阻害されるといわれています。貧血の犬や、すでに貧血があって鉄を含む薬を飲んでいる場合、症状や薬の働きに良くない影響が出ることがあるので、貧血気味の犬や鉄剤を飲んでいる犬は避けておいた方がいいでしょう。
”犬が大豆製品を食べることによって、胃がガスや食べ物で拡張した時に起こる胃拡張胃捻転症候群や、腸にガスがたまる鼓腸症になる”という記事をよく目にします。牛などの草食動物は、豆類を食べることによって胃の中の微生物が異常発酵を起こし鼓腸症を起こしますが、犬の胃には胃酸があるため、微生物は存在せず発酵は起こりません。
豆乳、きなこ、納豆といった大豆製品でアレルギー反応が出てしまう犬にはもちろん、えんどう豆にアレルギーがある場合も大豆を食べさせることは避けておきましょう。」
犬の間食として取り入れる場合、1日に与えていい量の目安
上記の表を参考にして、与えすぎないように注意してください。食物アレルギーはどのような食材でも反応する可能性があります。初めての食材を与える時は必ず少量ずつ与え、体調に変化がないか様子を見てくださいね。
節分用の煎り大豆、枝豆や納豆は犬にも大丈夫ですが、与えすぎに注意
大豆の加工品を犬に食べさせる時に知っておきたいこと
大豆を使った加工品が多く存在しています。身近にある大豆の加工品を犬に食べさせる場合のポイントや注意点を把握しておきましょう。
・節分の豆まき用の煎り大豆
加熱済みの大豆ではありますが、硬さもあり消化しづらい可能性があります。食べさせるなら少量か、割って与える方法がおすすめです。煎り大豆はカリウムが多く含まれているため、腎臓病や心臓病の犬に食べさせる時は注意が必要です。
・大豆ミート(大豆たんぱく)
ベジタリアン向けのメニューやインスタント食品に使われていることが多い大豆たんぱくを肉に見立てた製品は、柔らかく戻した状態であれば犬に与えても大丈夫です。加熱が必要な製品は加熱してください。ただ、何か特別な理由がない限り、毎日のタンパク質の補給は肉、魚や卵といった動物性タンパク質を中心にすることをおすすめします。
・枝豆
塩を使わずに茹で、さやから取り出した状態で与えるようにしましょう。詳しくは犬に枝豆を与えるときの注意点と健康へのメリットを参考にしてください。
・納豆
タレやからし、薬味を入れない状態なら犬に食べさせても大丈夫です。腎臓や心臓に病気や不安なことがある犬、血栓予防剤や貧血の薬を飲んでいる犬は薬の効果に影響が出ることがあるので避けておいたほうが安心です。詳しくは犬に納豆を与えても大丈夫!病気や薬との相性には注意をお読みください。
犬に大豆を食べさせても大丈夫?まとめ
- 大豆を犬に食べさせるときは、必ず加熱してからにする
- ダイエット中やシニア犬に嬉しい成分が含まれている
- 貧血のある犬や、鉄剤を飲んでいる犬には与えない方が安心
- 枝豆や納豆は味が付いていない状態で、節分用の豆は砕いてから食べさせる方が好ましい
【執筆協力】
丸田香緒里 獣医師
丸田香緒里 獣医師(Animal Life Partner 代表)
日本大学卒。動物病院勤務後、飼い主様にもっと近い存在になりたいと思い「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士など様々な資格を取得し、病院での診療や往診の他、セミナー講師やカウンセリング、企業との製品開発など活動は多岐にわたる。
ホームページ:http://animallifepartner.com/
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