映画ガイドが選ぶ2017年の映画ランキングBEST10

All About映画ガイドの斎藤香氏・ヒナタカ氏の両名による、2017年に公開された映画のベスト10をランキング形式でお届けします。2017年も数々の作品を見てきた映画ガイドが厳選した10作品は……?

2017年ベスト映画:第10位

斎藤 香氏

斎藤 香氏

『火花』
芥川賞を受賞した又吉直樹の同名原作小説の映画化。独自の笑いを追求する神谷(桐谷健太)と彼の才能に惹かれて弟子入りする徳永(菅田将暉)の人生を描く。活躍できる芸人は一握り。脚光を浴びている芸人の裏ではこんな風にもがきながら、多くの人に笑ってもらおうと必死になっている芸人たちがいるという現実が胸に痛くて。徳永と相方・山下(川谷修士/2丁拳銃)の後半のライブは涙止まらず……。芸人たちへの愛がつまった良作です。



ヒナタカ氏

ヒナタカ氏

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』
公開前には絶賛の声が相次いだものの、蓋を開けてみれば、まさかの賛否両論真っ二つ! しかしながら「誰も観たことのない衝撃のスター・ウォーズ」というキャッチコピーに嘘偽りはなく、シリーズ随一の驚きの展開の連続に大興奮でき、個人的は大満足できました。『エピソード4,5,6』および『フォースの覚醒』は事前に観ておいたほうが良いでしょう。言うまでもなく、観る前のネタバレは絶対に厳禁です。否定派、肯定派、両方の意見に納得できる、“語り合う”ことで面白さが増す映画とも言えます。




2017年ベスト映画:第9位

斎藤 香氏

斎藤 香氏

『婚約者の友人』
戦争で婚約者を亡くしたアンナ(パウラ・ベーア)のもとにやってきた彼の親友(ピエール・ニネ)。婚約者の思い出話をしたかと思ったら突然姿を消した親友の目的は? 親友の正体を追いかけるミステリーに、彼に惹かれるアンナの恋心も重ねた演出に心奪われます。モノクロとカラーを駆使した映像は美しく、無表情なアンナが笑顔を見せ始めることで彼女の恋する気持ちを映し出したフランソワ・オゾン監督の巧さが光る!



ヒナタカ氏

ヒナタカ氏

『T2 トレインスポッティング』
1990年代にカルト的な人気を誇っていた『トレインスポッティング』が、まさかの20年ぶりに復活! あのダメ人間たちが「俺たち、中年になっても何やってんだろ……」と、さらにやさぐれちゃっているのでもう感情移入しまくりでした。軽快な音楽や編集のセンスも全く失われておらず、映画としての完成度も存分に高く、「久しぶりの同窓会でまたアイツに会えた……(だけど……)」という嬉しさと寂しさが入り混じったような感情も呼び起こされました。前作が好きだった方には絶対に観て欲しいです。




2017年ベスト映画:第8位

斎藤 香氏

斎藤 香氏

『新感染 ファイナル・エクスプレス』
ソウルからプサンへと向けて走る高速列車内での人間VSゾンビを描いた韓国映画。ゾンビの動きがスピーディで息もつかせぬ展開に心の中でキャーキャー叫びました。身勝手な主人公が、娘や周囲の乗客との交流で変化していく……。そんな心情も丁寧に描いて、ゾンビ映画なのに泣ける人間ドラマというのも良し! ラストシーンぎりぎりまで超ハラハラさせますが、最後は見事なフィニッシュで、ゾンビ映画の傑作といっても過言ではありません。



ヒナタカ氏

ヒナタカ氏

『メッセージ』
2017年は『ブレードランナー 2049』も話題になりましたが、同じドゥニ・ヴィルニーヴ監督作品ではこちらの奥深さにも震えました。「宇宙船が突如として地球にやってきたので、言語学者に意思疎通の手段を探してもらう」というシンプルな物語と思いきや、ここまで「生きる目的とは何か」という哲学的な思考を促してくれるとは……。荘厳さと不可思議さを併せ持つ音楽も強い印象を残すことでしょう。SF映画の新たな傑作です。



2017年ベスト映画:第7位

斎藤 香氏

斎藤 香氏

『ボン・ボヤージュ ~家族旅行は大暴走~』
最新型の車で家族旅行に出たものの、システム不具合で車が止まらなくなってしまったという家族旅行の大騒動を描いたフランスの爆笑コメディ。車が大暴走した先は大渋滞という大ピンチに加え、車の中で家族それぞれの秘密が明かされ大ゲンカ!もうてんやわんやですよ。家族に関わる人物がみんな変人ばかりというのも騒動に拍車をかけて、ずーっと笑いっぱなし。「コメディ映画はやっぱり元気出るわ」と思わせてくれた作品です。



ヒナタカ氏

ヒナタカ氏

『帝一の國』
ザッツエンターテインメント! 少年たちが次期生徒会長の選挙活動に(文字通り)命を賭けるという良い意味でのバカバカしさ、そしてアツさに夢中になりました。提示された選挙の過程や、見識の相違による対立は決して絵空事ではなく、現実の政治にも当てはまるというのもポイント。大人はもちろん、小さなお子さんが観ても「選挙や政治って面白い!」ということをダイレクトに感じられるでしょう。キャストのファンにも大プッシュでおすすめです!




2017年ベスト映画:第6位

斎藤 香氏

斎藤 香氏

『ドリーム』
米ソ冷戦下のアメリカ。NASAで宇宙開発を支えた黒人女性たちの奮闘を描いた実話の映画化。人種差別が露骨な職場でも目的を失わずに邁進した女性3人が、コツコツと努力しながら、実力で他者に認められていく姿が良いのです。決してスーパーヒロインじゃない、特別扱いもされないどころかマイナスからのスタートだけど、努力と才能で人生をプラスに転じていく。そんなヒロインたちの頑張りには多くのパワーをもらいました!



ヒナタカ氏

ヒナタカ氏

『ReLIFE リライフ』
27歳でほぼ無職の青年が、1年限定で高校生に若返って人生をやり直す実験に参加する、という荒唐無稽な設定ですが(だからでこそ)、“大人にならないとわからない辛さ”がこれでもかと描かれるため、メインターゲットである中高生よりも、むしろアラサーの大人こそが胸を締め付けられる内容になっていました。原作マンガからの再構成も存分に上手く、まさかのクライマックスとラストの展開には鳥肌が総立ち! 青春時代を思い出す、あるいは“そうできなかった青春”を体験することのできる傑作です。



2017年ベスト映画:第5位

斎藤 香氏

斎藤 香氏

『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』
1963年、ケネディ大統領が暗殺された日。妻ジャクリーン・ケネディ(ナタリー・ポートマン)は何を思い、どう行動をしたのか。暗殺されてから夫の葬儀までのジャッキーを追いかけた人間ドラマ。とにかくナタリーが素晴らしくて震える。夫が目の前で暗殺されたショック、悲しみ、苦しみ、そしてファーストレディとしての品格を見せてくれます。ジャッキーの気持ちを乗せたかのような不穏な旋律の音楽やカメラワークも一流!



ヒナタカ氏

ヒナタカ氏

『彼女がその名を知らない鳥たち』
登場人物が全員最低最悪! 蒼井優と阿部サダヲのカップルは不快で仕方がなく、松坂桃李の薄っぺらいクズ男っぷりにも辟易しまくり、“映画史上最悪な食事シーン”には本気で吐き気がするほどでした。しかしながら、そうしたキツイ描写は全て意図的なもの。「あなたの恋愛観が変わる」の触れ込みは伊達ではなく、クライマックスはもう嗚咽するくらいに泣きました。『凶悪』の白石和彌監督ならではの、どこまでも人間の“業”が深くなるかのような“エクストリームさ”に触れてみてください。




2017年ベスト映画:第4位

斎藤 香氏

斎藤 香氏

『ベイビー・ドライバー』
銀行強盗の逃がし屋として活躍しているベイビー(アンセル・エルゴート)は、超絶的な運転テクの持ち主。過去のトラウマで音楽が欠かせない彼はいつもiPod持参で仕事。ビートに乗ったドライブシーンのカッコ良さ、愛のためにヤバイ仕事から足を洗おうとするけれど簡単には行かないスリル。アンセルのフレッシュな魅力に加え、ヒール役ジェイミー・フォックスの狂犬ぶりも〇! 全編貫くスピード感が最高に心地よい快作です。



ヒナタカ氏

ヒナタカ氏

『レゴバットマン ザ・ムービー』
子ども向けの映画と思うなかれ! とにかくアクションがものすごく、“箱庭”でできた世界をカメラは縦横無尽に動き回り、カーチェイスシーンあり、空中での大乱闘ありと、観ていてずっと幸せでした。バットマンというヒーローへのリスペクトも半端なものではなく、『ダークナイト』のアンサーと言っても良い“救い”が描かれていることに感動しました。「1人で悩みを抱え込まないで」という誰にでも通じるメッセージも備えているので、もっと多くの方に観て欲しい1本です。




2017年ベスト映画:第3位

斎藤 香氏

斎藤 香氏

『ラ・ラ・ランド』
女優志望のミア(エマ・ストーン)とミュージシャンのセブ(ライアン・ゴスリング)のほろ苦いラブストーリーをポップかつロマンチックな音楽に乗せて描いたラブ・ミュージカル。男が成功していくにつれ、すれ違う男女の愛の物語はシンプルですが、ヴィジュアルと音楽の演出が素晴らしく、魅せる魅せる!往年のミュージカル映画にオマージュを捧げつつ、現代的な映画に仕上げたデイミアン・チャゼル監督の手腕が見事です。



ヒナタカ氏

ヒナタカ氏

『ハルチカ』
橋本環奈とSexy Zoneの佐藤勝利が主演を務めているので、キラキラした楽しい恋愛映画かな……と思いきや、まったく違う! むしろ青春や部活の苦しさが“これでもか”と描かれており、フレッシュな役者陣の演技と、“言葉でベラベラと語らない演出”を大切にした、大人こそ唸る素晴らしい作品に仕上がっていました。すべての伏線が回収されるクライマックスは、“映画でしか絶対にできない魔法”に包まれています。“音楽”を描いた作品としても最高のラストを、ぜひ見届けてください。


2017年ベスト映画:第2位

斎藤 香氏

斎藤 香氏

『メッセージ』
宇宙から飛来した謎の飛行体の目的を探る為に、言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は、宇宙人との対話に挑む。ルイーズと娘のエピソードを断片的に絡めていく意味、宇宙からのメッセージの本質にルイーズが気付くとき、ある決断を迫られる……という展開が見事で、ラストは泣きました。『ブレードランナー2049』のドゥニ・ヴィルヌーブ監督作。私は『ブレードランナー~』より『メッセージ』派、傑作だと思う。


ヒナタカ氏

ヒナタカ氏

『新感染 ファイナル・エクスプレス』
昨年に『アイアムアヒーロー』というゾンビ映画の最高傑作が生まれたと思っていたら、まさかわずか1年でそれを超える作品が現れるとは! アイデアの面白さと、練りに練られた脚本、韓国の社会の皮肉を描きながら、メッセージは普遍的なものであるので、世界中の人に届くでしょう。残酷描写はほとんどないので、家族で観ることだってできます! 二転三転する展開にハラハラし、本気で怖がり、それ以上に泣ける、エンターテインメントおよび“寓話”として、完璧とも言える出来なのではないでしょうか。


2017年ベスト映画:第1位

斎藤 香氏

斎藤 香氏

『帝一の國』
超名門の男子校の生徒会長選挙を巡る政権争奪戦コメディ。「将来は総理大臣になる!」という野心を持った帝一(菅田将暉)が、さまざまな手を使って会長の座を狙う。手段を選ばないドス黒さと一途に生徒会長を目指す純粋さがミックスされたところが帝一の魅力。帝一を取り巻く5人のイケメン俳優たちもドンピシャの配役で、もはやこのメンバー以外考えられません。2017年いちばん笑って心底楽しめた映画なのでダントツで1位です!

ヒナタカ氏

ヒナタカ氏

『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』
「人形や小物をカメラで撮って、ちょっとだけ動かして、また撮影して……」という気の遠く手法で作られた“ストップモーションアニメ”です。日本へのリスペクトが半端なものではなく、宮崎駿や黒澤明監督作品の影響もある他、“灯篭流し”や“わびさび”といった日本独自の風習や概念が物語に重要となり、何より昭和の冒険活劇アニメのようなワクワクと驚きに満ちている……これほど、全ての日本人に、絶対に観て欲しいと思える作品はなかなかありません。最高の「日本へのラブレター」を、ぜひ受け取ってください!






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