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株高で家計の貯蓄は1845兆円、過去最高額に

四半期ごとに公表されている家計の金融資産残高は、2017年9月末で1845兆円になりました。株高を背景に株式や投資信託の残高が大幅に増加したことがその要因です。その一方、現預金の伸び率も過去最高だったようです。その内容を詳しく見ていくことにしましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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家計の貯蓄は増加率4.7%で大幅にアップ

日本銀行が四半期ごとに公表している「資金循環統計」によれば、2017年9月末の家計の金融資産残高は1845兆円と過去最高額を更新しました。1年前と比較するとその増加率は4.7%と近年では最も高くなっています。2016年12月末が1810兆円ですから、9ヵ月で35兆円も金融資産残高は増えたことになりますが、同年9月末は1762兆円です。1年間では83兆円も増えたのですから、驚異的な増加額と言えそうです。

家計の貯蓄は大幅増に

家計の貯蓄は大幅増に



ちなみに金融を除く民間企業の金融資産残高は1207兆円、こちらも過去最高額を更新しています。その増加率は15.3%ですから、家計の増加率の3倍もの速度で増加しています。

株高が金融資産残高増に貢献している

急増した家計の金融資産残高ですが、その要因は株高にあるようです。
資産別の残高をみると株式は2016年9月末と比較して22.1%増加の198兆円と200兆円に迫る勢いです。20%超の増加は2期連続となったものの、資産残高全体から見た構成比は10.7%に過ぎません。

また、投資信託の16.3%の増加となり、その残高は104兆円になっています。資産残高全体から見た構成比は5.6%です。株式と投資信託を合わせた構成比は16.3%と2割にも満たない状況です。株高の恩恵は一部の人に偏っており、また「貯蓄から投資(資産形成)」は依然として道半ばにも達していないようです。

増加率は2.8%と高くはないものの、43四半期連続して前年同期を上回っているのが現金・預金です。その残高は943兆円にのぼり、構成比は51.1%を占めています。地道に残高を積み上げていると言えますが、2.8%の増加率は過去最高となっています。

給与があまり増えない中、残高を増やしている背景は、株式や投資信託を個人は売却したことが大きいのではないかと推測されます。投資主体別売買動向をみると、個人投資家は2017年に個別株式、投資信託を大きく売り越しているからです。

株価はもうあまり上昇しないと判断したのか、あるいは塩漬けになっていた株式の価格が戻った等々、売却に至った背景はさまざまあると思われますが、相続により取得した株式の売却が断続的に出ていると見聞きしたことがあります。親が株式投資を行っていたとしても、その子ども(相続人)が株式投資を行っていないと相続した株を売却してしまうケースが多いようなのです。折しも日経平均株価は26年振りの水準まで上昇しているのですから、株価が高い内に売却してしまおうとなるわけです。

プラスに考えれば投資の待機資金が積み上がっていると言えそうですが、再投資される可能性は低いという見方もあることから、過度な期待は禁物のようです。

保険は増加しているが、債券は減少している

株式、投資信託の残高は急増していますが、金融資産残高全体でみると、その割合は3位、4位に過ぎません。現金・預金に続いて2番目の割合を占めているのは「保険」です。残高ベースで368兆円、構成比では20%となっています。低金利で貯蓄性が薄れているとはいえ、前年同月比で1.9%増と緩やかな増加が続いているのです。残念ながら保険の種類まではわかりませんが、一時払い終身保険あたりが残高増に貢献しているのかもしれません。

全体的に家計の金融資産残高は増加傾向にありますが、唯一減少しているのは債券(債務証券)です。4四半期連続して残高を減少させており、その残高はわずか23兆円、構成比では1.3%に過ぎない状況となっています。定期預金金利が低いことから、相対的に金利の高い個人向け国債の発行は増加しているらしいですが、残念ながら残高の減少に歯止めをかけるほどではないようです。2期連続して減少率が5%を超えているのは気になるところです。

あくまでも家計の金融資産残高全体でみましたが、皆さんの残高は資金循環統計同様、過去最高額を更新しているでしょうか?

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