最寄りの駅からケヤキの並木が続く1960年代に宅地開発された大きなベッドタウンの一画。計画的に配置された公園に向かい合って、Hさんの家が建っています。今から3年前に子供の成長に伴い家を建てる事を決め、元々の住まいの近くにこの土地を見つけました。
Hさんの奥様は、建築の専門学校で学んでおられた頃に建築家の角倉剛さんの奥様と知り合いました。その後何度かご夫婦で角倉さんの設計された住宅をご覧になって、その作風が気に入り、ご自邸の設計を託されたのです。Hさん夫妻は、「恵まれた自然環境を日常的に楽しみつつ、周りに対して開放的な家づくり」を希望されました。

片流れの屋根のある黒い家

外観
向かいの公園から外観を眺める。
外観
黒い外壁はガルバリウム鋼板の波板。
外観
東側は1mの庇の下にピーラー材を張った外壁が伸びる。
玄関
玄関扉はピーラー材張りの引戸。隣のガラス窓から内部に光を通す。

この家は東側に傾いた大きな片流れの屋根と黒い壁が特徴的です。道路を隔てた南側には、近隣の知り合いが子供達と訪れる緑豊かな公園があります。
家の正面は道路から約5mセットバックしています。ここに車が2台停まれるようコンクリートで固められ、西側に小さな植栽が施されています。

おおらかな吹抜けの玄関ホール

ホール
ホールの奥から玄関を見返す。
ホール
ホールの正面に鉄製の黒い螺旋階段が立ち上がる。扉の奥は洗面室。2階は和室の入口。
ホール
ホールを見上げる。1階には子供部屋と主寝室が並ぶ。
子供部屋
子供部屋には机と棚本と収納が造り付けになっている。
風呂
1階の北西側にある洗面室とトイレとユニットバス。

玄関の木製の引戸を開けると、コンクリートの床の広い吹抜け空間が待っています。ここは天井高が約4.1mもある広さ約12帖の「ホール」になっています。周りの縁側のようなスペースの奥は子供室と洗面室で、子供室の引き戸を全開すると「ホール」と繋がり、近所の子と遊ぶ「大きな子供室」に変身します。その上に目をやると2階のLDKの足元が覗いています。
ここは子供を介して大人も集まれる「家族とご近所の集いの場」となるようにと、建築家の角倉さんが提案した空間なのです。現在は小学生の娘さんが、天井の高い玄関土間をジム代わりにして、すき間時間に新体操の練習や縄跳びトランポリンのトレーニングに活用されているそうです。

にぎやかに家族が集う吹抜けのLDK

階段
吹抜けに立ち上がる軽快なデザインの鉄製の螺旋階段。奥にバスルームが見える。
LDK
キッチンからリビングを見る。床は南波カラ松材のフローリング。新築に合わせて購入した木のダインイングテーブルを家族が囲む。
LDK
カーテンとソファの布地は「ミナ ペルホネン」の皆川明さんのデザイン。
LDK
リビングからライブラリーとホールを見る。どちらも扉で閉じる事ができる。
LDK
南側のリビングからダイニングとキッチンを見る。西側の天井近くにロフトが見える。
LDK
ステンレスのトップの機能的なキッチン。北側の窓から光が入る。

「ホール」の奥に立ち上がる鉄製の螺旋階段から2階に上がるとLDKに至ります。天井高2.2~3.8mの勾配天井の下に広がる、奥行が約9mもある約20帖の大空間は、この家で一番賑やかな「集いの場」になっています。
部屋の南側に位置するリビングには、Hさんご夫妻がものづくりの姿勢やその人柄も含めてファンである「ミナ ペルホネン」の皆川明さんが布地をデザインしたソファが置かれています。ここは家族が語らいながら寛ぐ場です。時には親しい友人や知人を招いてパーティーを開くこともあるかもしれません。
また、家の中に居ても多方向から差し込む光に外の気配を感じられるので、窓からの空や緑の眺めに安らぎを得ておられるそうです。

ライブラリーに家族が静かに集う

図書室
向かいの公園の緑を眺める、造り付けの机のあるライブラリー。扉を開けてリビングを見下ろせる。
図書室
ライブラリーの西側には大きな本棚が造り付けになっている。梯子から屋上に出ることができる。螺旋階段の先はロフト。
屋上
天窓のハッチを開けて屋上に出る。狭いながらも開放的な気分を味わえる。
和室
中2階に位置する四畳半の和室。西側の障子の窓から明るい光が差し込む。

2階上部には約6帖の天井高2.5mのライブラリーがあります。大きな机と壁面一杯の書棚が設けられ、電子ピアノが置かれた家族皆で使える趣味のスペースで、皆が思い思いのことをしながら集まる図書館のような「静かな家族の集まりの場」になっています。ここにはトップライトがあり、梯子を登り大きなハッチを開けると屋上テラスに出ることもできます。
Hさんご夫妻が特に気に入っているのが、ベランダが無い代わりにベランダの機能が分散しているところ。人目に触れにくい東側では、1階は洗濯物、2階は布団を干し、南側の窓際に花台の花を眺めることができ、屋上で寛ぐことが出来るのです。
これから、Hさんご夫妻がご自邸の「ホール」を近隣との開かれたコミュニティーの場として活かすことによって、公園を含めた周辺環境に何らかの良い変化の兆しをもたらすことでしょう。

[公園前の家]
所在地: 千葉県松戸市
構造・規模: 木造 地上2階
竣工年月: 2017年7月
敷地面積: 159.10 m2
建築面積: 58.16 m2
延床面積: 114.23 m2
設計・監理: 角倉剛建築設計事務所
構造設計: 山田構造設計事務所
空調設計: Lapin建築設備工房
照明設計: ソノベデザインオフィス


角倉剛[角倉剛建築設計事務所]プロフィール

大学院で日本建築界の重鎮、香山壽夫氏の元で建築を学んだ後、1999年に独立。「ダンスにおいて、自分の踊り方と相手の踊り方があるとすれば、相手に合わせるように踊っていく。 そんな、しなやかな態度で仕事をしていきたい」というポリシーで、これまでに多数の住宅を設計してきました。
    
角倉剛建築設計事務所
Tel.03-5304-8848
http://www.smkr.jp

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          角倉剛 [Sumikura Takeshi]


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