感謝祭の連休明けの米国株の急落が意味するもの
感謝祭の連休明けの米国株は、恒例のサイバーマンデーが好調な販売などを背景に、ニューヨークダウは2万4000の大台に乗せました。しかし、17年12月1日(金)には一時1.4%安と急落。ナスダックも一時2.0%安まで急落し、フェイスブック(FB)、ネットフリックス(NFLX)、エヌビディア(NVDA)、ラムリサーチ(LRCX)、アプライドマテリアル(AMAT)などが総崩れとなりました。さらに中国ネット企業もYY(YY)、シーナ(SINA)、アリババ(BABA)、香港最大のネット企業テンセン(00700)も▼7.4%安となりました。この、これまで相場を牽引してきた半導体やネット株の急落は、株を売った方が良いサインなのでしょうか?
結論から書いてしまうとそうではないと思います。たしかに、感謝祭の連休を挟んで相場模様は入れ替わりました。しかし、それは株価全体が下落することを示唆しているのではなく、セクターローテーションが起こっているだけといった方がよいでしょう。半導体やネット株が急落する代わりに、メガバンクが揃って大きく値を上げ、高値を更新した銘柄が多くあります。銀行だけでなくチャールズ・シュワブ(SCHW)などの証券株も大幅高で高値を抜き去っています。
実は2016年のトランプ大統領当選から12月にかけても同じようなローテーションが発生しましたが、結果的にそれは2017年に絶好調となったネット株や半導体株の買い場となったのでした。今回の下落も半導体セクターの需給を警戒するレポートが引き金になったものの、それは騰がり過ぎたものを利益確定するきっかけとなっただけであり、高性能半導体とEV、自動運転車が経済成長を牽引する、非常に強い市場環境が長期の好業績を生むという状況は変わりません。ただ11月までに、上に挙げた銘柄をはじめ、ハイテク株は各国市場で騰がり過ぎたという感はあり、その自然な調整が起こっただけということと見て良いと思います。
米国はすでに金融緩和から抜け出ており、これまで長期金利は低く抑えられていましたが、今後は長期国債の需給が徐々に緩み、長期金利は高くなっていくはずです。さらにトランプ大統領が推し進める税制改革で最終損益が向上し、金融の規制緩和も期待される中、今回、利回りの改善で銀行株が高値を抜いてきた意味は大きいと思います。半導体に代わって主役交代とまで成れるかに注目できます。
日経平均のチャートは綺麗にカップの右サイドを駆け上がっている最中
一方、日本株でも金融株に焦点が当たってきています。完全に米国の銀行株の動きとシンクロしており、日米の金融政策や金利における差異はあまり関係ない模様で、前日夜のJPモルガン、バンクオブアメリカなどの値動きを見ておけば、翌日の日本のメガバンクの値動きは、おおよその見当は付くといった感じです。日経平均のチャートを見ると、綺麗にカップの右サイドを駆け上がっている最中です。このあと前回高値上限に達し、少し揉み合った後に上に抜け切るというのが師走相場の見通しだと思います。すでに先行するダウが2万4000を突き抜けていることから、そうなる確率は高いと見ています。
ただ未だに、海外投資家は強気、国内投資家は弱気の見方であるためか、海外を反映して大きくギャップアップして高く寄ってからは、日本時間で上げ幅を縮小するというパターンが続いています。11月17日以降ギャップアップだけで累計+792円上げていますが、同時に寄付から引けまでに累計▼324円下げています。
今のところ、海外時間に上昇、国内取引時間に下げ優勢、となっている模様ですが、海外時間(日経先物)の上昇幅の方が大きいため、差引で上昇が続いています。いずれ売り方が諦める形で、全員買い方となって海外時間上昇、国内時間も上昇と変わっていく状況に変わっていくと思います。弱気派が気にする北朝鮮リスクや景気減速リスク、或いはバブル懸念も的外れであると思うからです。
より重要な本質は、日本はようやくROE向上と生産性向上、そして株主還元にも目覚める、という世界標準態勢に入ったことから、他国と同様に最高値更新モードに入ったと思われる事です。そこに好業績のサイクルが重なっています。ただ未だバブル後遺症(上げ続けるはずがないとの観念)が投資家の頭の中に燻っているのが現在の様子と思います。
参考:日本株通信
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