まずは寝室の家具の配置を見直そう

熊本地震で倒壊した家屋は旧耐震の建築物が多く見られた

熊本地震で倒壊した家屋は旧耐震の建築物が多く見られた

1995年に発生した阪神・淡路大震災では、地震発生直後、家屋の倒壊によって数万人の人が下敷きになるという事態が発生しました。結果的に5000人以上の人が家屋内で亡くなったのですが(火災による死亡を含む)、倒壊していない家屋の中でも、家具の転倒や落下、打撃による人的被害が無数に発生したというデータがあります。というのも、当時の被災地は、まだ旧耐震建築(1981年以前の建築物)の木造家屋数が圧倒的に多く、全壊した家屋の多くが旧耐震の建築物でした。

現在は新耐震基準(1981年~)、新・新耐震基準(2000年~)と呼ばれる、より地震の揺れに強い耐震基準の家屋も増えてはいます。しかし木造二階建ての家屋の場合は、地震の揺れによって一階の部屋がつぶれて被害に遭うケースが多く見られます。よって、木造二階建ての家屋では、寝室を二階に設定するなどの配慮も地震対策の一つとなります。

また木造家屋では、二階家屋の過重量が家屋の耐震性を低下させることも知られています。過去には、事前に書庫の本や家財などを階下に降ろしておいたために、地震発生の際に倒壊をまぬがれた、という例もあります。つまり、断捨離することが生命を守る結果になるのです。

旧耐震の建物に住んでいる場合は、寝室の安全を確保するというところから始めましょう。もちろん、より新しい家に住み替えることが一番安全なのですが、まずはすぐにできることからです。阪神・淡路大震災では発生時間が早朝ということもあって、寝室での被害が多数発生しました。まずは「自分の寝ている場所に家具が倒れ込んでこないか」「出口をふさぐような場所に家具がないか」を確認しましょう。危険を感じる場合は、家具を別の部屋に移動する、または配置を考え直すなどを、この年末の大掃除の際に行っておきましょう。

寝室の家具の固定にはH型の固定具を使用しているご家庭が多いのですが、実は非常に緩みやすいものがあります。小さな地震が何度か続くと緩んでしまい、簡単に外れるようになってしまうことも。現在は粘着剤を使った固定具など性能の良いものがいくつもあるので、複数の固定方法を使用して、地震の際に絶対に家具による被害を受けないような寝室にしておきましょう。「そもそも家具の固定なんてしたことがない」という人は、非常に無防備な状態、危険な環境で寝ているということを意識してほしいものです。

集合住宅では、避難経路を整理整頓

寝室の安全確保が十分にできているというお宅は、次に避難経路の整理整頓を行いましょう。

マンションなどの集合住宅は、扉がゆがんで開かなくなったり、火災が発生したりして玄関から出られなくなった場合にそなえて、ベランダからの避難経路が確保されています。ところがその避難口付近に、荷物や大型家具が置かれていて、すぐに避難ができないご家庭をよく見かけます。両隣の部屋との境界や階下へつながる非常口付近には、絶対に荷物などを置かないようにしなければなりません。

玄関に割れやすいものを置くのは厳禁

また玄関付近は家具が少ないので、家屋の中で最も安全な場所であり、避難経路として非常に重要な場所になります。この場所に割れやすいつぼや、金魚鉢などのガラス細工のものなどは厳禁です。割れた破片が靴に入ってケガをしてしまい、避難の妨げになる可能性があります。玄関や廊下に、割れ物や散乱するものがないかは、しっかり確認しておきましょう。

リビングやキッチンに、高価なガラス細工の作品や食器を飾っているお宅も多いと思います。その場合は、震度6程度まで固定可能なゲル(粘着剤)などを利用して、大事な財産を守ることを考えてはいかがでしょうか。食器などが飛び出さないように、食器棚の固定をすることはもちろんやっておかないといけません。キッチンでは、重量のある鍋やフライパンなどは落下して大けがの原因になる可能性があるので、なるべく下の方に置く、などの整理整頓も重要です。

家屋周辺の安全確保も考える

街を歩いていると、ガーデニングブームのせいか、ベランダや家の周囲に花を飾っている方を多く見かけます。なかには地震や強風の影響で、高所から落下しそうなものもあります。これらが凶器に変わり、人を傷つける可能性を想定したことはあるでしょうか。

道路の狭い住宅街で家屋の周囲に花壇を作ったり、道にはみ出して自転車を放置したりなど、災害時に通行の妨げになるようなことをしていないかも、チェックしておきたいポイントです。

街全体のコミュニティで「もしもの場合」を考えた整理整頓をしておくことも、「安全な街」を作るためには必要なことなのです。

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