産後オンナは変わる?

母親と赤ちゃん

子どもが生まれたら妻の態度が変わって、家庭に自分の居場所がなくなった……。そんなふうに感じてしまったら、子どもの両親としての夫婦のあり方を見つめ直してみましょう。

子どもが生まれてから、妻の自分への愛情が薄れたように感じて、淋しい気持ちを抱えているパパは少なくないようです。子どもはかわいい。めちゃくちゃかわいい。でも、妻はいつも子どもにかかりきりで、自分は後回しにされる。あんなにラブラブだったのにと、ちょっぴり拗ねてしまいたくなる。……身に覚えはありませんか?

妻の関心と愛情を取り戻すには、どうすればいいのでしょうか。


家族がひとり増えるということ

出産というのは、この世に命を生み出すことです。子どもが生まれた時の感動を鮮明に覚えているパパは多いことでしょう。

しかし、それは、これから少なくとも十数年続く「子育て」の始まりでもあります。我が子を初めて抱いたとき「このちいさな命を、自分や妻の背丈くらいになるまで育てなければならないのか」と、親としての責任の重みを感じたパパも少なくないことだと思います。

家族がひとり増えるということは、生活の激変を意味します。夫婦ふたりの静かでおだやかな生活の中にやってきたのは、言葉の通じない、泣くか、飲むか(おっぱいやミルクを)、排泄するか、眠るかしかしない、ぐにゃぐにゃした未知のイキモノ。いきなり24時間エイリアンに振り回される日々が始まるわけです。

妊娠中のつらさも、出産時の痛みも、想像するしかないパパにとっては、子育ての大変さをわかっているつもりではいるのだけれど、こと子育てにおいては、なんだか自分が「脇役」に追いやられたような、さみしい気持ちになってしまうかもしれません。

毎朝の「いってらっしゃいのチュー」もなくなった。愛妻弁当も作ってもらえなくなって、毎日コンビニ弁当。ついでにセックスもとんとご無沙汰。こんなに我慢して協力しているのに、と、妻に不満を持っていませんか?

生活が変わるストレスを抱えるのはパパも同じですよね。だからこそ、ここは腹をくくって夫婦で乗り越えるしかありません。


パパが案外忘れがちなこと

厚生労働省の調査によると、平成28年度の男性の育児休業取得率は、わずか3.16%で過去最高とのことです。しかも、育休といっても5日未満が半分以上ですから、赤ちゃんの世話の大半をママが担っているというのが現状です。パパが我が子の顔を見るのは1日に数時間。だからこそ、パパが案外忘れていることがあります。

「子どもは放っておくと死ぬ」ということです。

赤ちゃんを子育て中のママたちは、とにかく「死なせない」ことに全神経を注いでいます。赤ちゃんは簡単に死ぬからです。でも、既に立派な大人であるパパは「放っておいても死なない」ので、後回しになるのです。パパへの愛情云々とは違った次元で、ママたちは子育てをしています。


産後の女性の現状

妊娠してからの約1年で、女性のからだは劇的に変化します。子を孕み、おへそが浅くなるほどぷっくりと大きくなったお腹は、出産したからといって、すぐに元には戻りません。出血(悪露:子宮内に残った胎盤、卵膜、子宮内膜、血液などが含まれている)も1ヶ月は続きます。子どもの頭は直径約10センチ。たった数時間でりんご大のものが出てくるほどに急激に広がった骨盤が元に戻るにも時間がかかります。会陰切開や帝王切開の傷も痛みます。

急激にホルモンが変化しますので、情緒も不安定になります。些細なことでイライラしたり、悲しくなったり。産後うつになるママは約10人に1人と言われていますが、「自分は子どもを虐待してしまうのではないだろうか」という不安を感じたことのないママはほとんどいません。

そんな「極限状態」の中、日々米袋と同じくらいの重量の赤ん坊を抱えて歩き回り、細切れの睡眠で慣れない育児に奮闘している。それが今の日本の「お母さんたち」の姿です。育児「休業」と言いますが、「外で働いたほうが、なんぼか楽」だと、ママたちは思っています。育児に休みなんてありません。しかも無給。超ブラックな仕事です。

残念ながら、パパがどんなに頑張っても、おっぱいは出ません。でも、子育てにおけるパパとママの違いは「おっぱいが出るか出ないか」しかないのです。ミルクで育てている場合、まったく違いはありません。

いや、やっぱり母親のほうが、女性のやわらかい胸に抱かれたほうが、などと思うかもしれませんが、それは単なる思い込み。子どもの健やかな成長に必要なのは「体温」だそうです。パパも体温ありますよね?

「母親なんだから、母性でチョイチョイとできるはず」なんて思っているなら、それはとんだ思い違いです。なぜ妻が自分に冷たくなったと感じるのか、その理由を知りたければ、休みの日に、妻を1日外出させてあげましょう。もちろんその間は、パパがひとりで赤ちゃんの面倒をみるのです。「やり方がわからない」なら、ママに聞いておくなり、育児本で勉強するなりしてから頑張ってみましょう。全てのママも、最初は育児初心者だったのですから。

うまくいってもいかなくても、パパにとって、色々な発見がある貴重な1日となると思います。子どもをかわいいと思うことと、肉体疲労との関連にも気づくでしょう。


妻との時間を作りたいなら

子育てが大変なのはわかる。でも、さみしい。もっとかまってほしい。それがパパの本音なのだと思います。ならば、妻との時間を持てるようにするために、パパには何ができるでしょうか。

答えは簡単。妻の負担を減らすことです。極限まで疲れた状態で、誰かに優しくなんてできません。セックスなんてなおさらです。ですから、おむつを替える、お風呂に入れる、寝かしつける、など、パパができることを増やしていきましょう。ちなみに、「子どもの機嫌のいいときに子どもと遊ぶ」というのは、カウント不可です。そんなの隣の3歳児でもできるからです。

帰宅したら子どもが眠っているから何もできない、というパパは、家事をしましょう。朝食の準備でもいいし、食器洗いでも、洗濯物を干したり畳んだり、風呂を掃除したり、休みの日に窓を磨いたり。できることは山程あります。

「妻のお母さんが手伝ってくれているから、うちの妻は楽をしている」と思っているパパは要注意です。妻が自分の母親に子育てを手伝ってもらえるのは、それまでに良好な関係を築いてきたという母娘の歴史の上にあるものです。それに簡単に乗っかって、自分の子どもの子育てを丸投げしてはいけません。パパとは子どもの父親であり、ママの長男ではないのですから。


育児期は時限爆弾

自分にだけ向かっていた妻の愛情を、子どもに取られてしまった気がして、子どもに嫉妬するパパもいます。自分の居場所がなくなった気がして、飲みに行く回数が増えたり、趣味に没頭したり、浮気をしてみたり。

妻は、何も言わないかもしれません。でも、「妻が自分に関心が無いからだ」「俺は稼いできているのだから、これくらいいいだろう」といった、子育てに関わらない言い訳をする気持ちは、妻には伝わるものですし、そのツケはいずれ必ず払わされる日が来ます。

育児期の夫への不満は、一生忘れられることはありません。なぜなら、育児期は妻にとって、人生で最も大変な時期だからです。この時期に仕掛けられた時限爆弾は、子どもが独り立ちした頃、あなたが定年を迎え「妻とゆったりとした老後を」と思った頃に爆発します。もうアンタなんかいらんわ、と。

逆に、大変な育児期に力を合わせて子育てしたという思い出は、夫婦の絆を強く温かいものにしていきます。まずは「(俺たちの子どもを万全じゃない体調で大事に育ててくれて)ありがとう」とママをねぎらうところから始めてみませんか。

踏ん張りどころです。がんばりましょう。


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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。