犬に納豆を与えても大丈夫?
犬に納豆を食べさせて大丈夫
納豆は犬に与えることができる食材のひとつですが、一部の犬には注意が必要です。納豆を食べると健康に期待できることや病気や薬との関係を具体的にお伝えします。
<INDEX>
- 犬に納豆は与えても大丈夫。タレや薬味は入れないで
- 納豆には腸内環境を整えたり、体の働きに欠かせない成分が含まれている
- 腎臓や心臓に不調がある犬、血栓予防剤や鉄を含む薬を飲んでいる犬には納豆を避けて
- 犬の間食として取り入れる場合、1日に与えていい量の目安
- 納豆巻き、フリーズドライ納豆などの加工品は犬に与えないようにする
犬に納豆は与えても大丈夫。タレや薬味は入れないで
犬に納豆を与える時はタレや薬味を入れないこと
納豆は犬に与えても大丈夫な食材です。
タカノフーズ株式会社のホームページによると、大豆の形が残っている納豆とひきわり納豆では、ひきわり納豆のほうが表面積が大きいので納豆菌によるタンパク質の分解が進みやすくなります。なので、大豆の形が残っている納豆よりも、ひきわり納豆のほうが消化されやすいことが期待できます。
納豆を混ぜる回数と栄養価の変化には違いはないようですが、よく混ぜた方が空気を含んで舌触りがなめらかになるので、犬にとっては食べやすくなるかもしれません。付属のタレやからし、薬味としてのねぎは入れないようにしてください。黒豆から作られた納豆も、タレや薬味を入れない状態であれば犬に与えても大丈夫です。
納豆には腸内環境を整えたり、体の働きに欠かせない成分が含まれている
犬が納豆と食べると健康にいいことは?
犬が納豆を食べた場合の健康への働きについて、明確な研究発表は存在していないようですが、期待できる働きを4つご紹介します。
1.腸内環境を整える
大豆を納豆菌によって発酵させた納豆は、腸の善玉菌を増やし腸内環境を整えてくれることが期待できます。
2.血流を整える働き
納豆に含まれるナットウキナーゼという成分は、体内にできてしまった血栓を溶かす働きがあります。ビタミンKには、怪我や手術などによる出血が起きた時に、血液を固めるために必要な要素の働きを助ける作用があります。
3.タンパク質、糖質、脂質を体内で利用しやすくする
納豆に含まれるパントテン酸は動物に必要なビタミンの一種で、タンパク質、糖質、脂質を体内で利用しやすくする働きがあります。パントテン酸が不足すると、皮膚や消化管などに影響がでたり、脂肪肝になる可能性もあります。
4.体を温める働き
東洋医学の考えでは、納豆には体を温める働きがあると言われています。体が冷えやすい犬のおやつや、ドッグフードのトッピングに取り入れてみてもいいでしょう。
腎臓や心臓に不調がある犬、血栓予防剤や鉄を含む薬を飲んでいる犬には納豆を避けて
納豆と犬の病気、薬との相性は?
どのような食材でも、良い面と良くない面を持ち合わせています。納豆を避けた方がいい犬はいるのか、納豆と相性の悪い薬はあるのか、飼い主としては気になるところ。犬の食生活・健康管理の講座も開催している獣医師の丸田香緒里先生(Animal Life Partner代表)にお伺いしました。
「納豆はカリウムを豊富に含む食材です。通常、カリウムは腎臓からナトリウムと共に排泄されますが、腎臓の機能が落ちている犬はカリウムが体に溜まりやすくなり、低血圧や不整脈などの心臓疾患の兆候が出てきます。そのため、腎臓病や心臓病の犬には要注意です。
また、ビタミンKを多く含むことから、ワルファリンなどの血栓予防剤を処方されている場合には薬の効果が弱くなってしまうため、納豆を食べさせることはやめておきましょう。
ほかにも、大豆製品に含まれるグリシニンという成分によって、鉄の吸収が阻害されるといわれています。貧血の犬や、すでに貧血があって鉄を含む薬を飲んでいる場合、症状や薬の働きに良くない影響が出ることがあるので、大豆製品のひとつである納豆も避けておきましょう。
”犬が大豆製品を食べることによって、胃がガスや食べ物で拡張した時に起こる胃拡張胃捻転症候群や、腸にガスがたまる鼓腸症になる”という記事をよく目にします。
牛などの草食動物は、豆類を食べることによって胃の中の微生物が異常発酵を起こし鼓腸症を起こしますが、犬の胃には胃酸があるため、微生物は存在せず発酵は起こりません。
大豆、えんどう豆に食物アレルギーを持っている場合、納豆を食べることでアレルギー症状が出る可能性が高いのでおすすめできません。”納豆と麹を混ぜたもので歯石が取れる”という話題をインターネットで見かけることがありますが、現時点で正確なメカニズムや情報は確認できていません。」
犬の間食として取り入れる場合、1日に与えていい量の目安
上記の表を参考にして、与えすぎないように注意してください。食物アレルギーはどのような食材でも反応する可能性があります。初めての食材を与える時は必ず少量ずつ与え、体調に変化がないか様子を見てくださいね。
納豆巻き、フリーズドライ納豆などの加工品は犬に与えないようにする
人間用に加工されたものは、原材料をよく確認して判断しましょう
納豆を使った加工品はあまり多くありませんが、基本的には犬には避けておいた方が安心です。身近にある納豆の加工品を、犬に与えない方がいい理由を把握しておきましょう。
・納豆巻き
人間用に作られた納豆巻きは味付けされており、香辛料などが含まれる可能性もあるので犬に食べさせないようにしましょう。
材料が焼き海苔、ごはん、納豆の手作りの納豆巻きであれば、犬に与えても問題ありません。焼き海苔は大きいままだと口の中や喉に貼りつく場合もあるので、小さく切ってから食べさせるようにしてください。
・フリーズドライ納豆
人間のおつまみやおやつとして販売されているフリーズドライの納豆は、塩や醤油、香辛料などでしっかりと味付けされている場合があり、犬の健康維持には適していません。犬には与えないようにしましょう。犬用として販売されているフリーズドライ納豆は、与えても大丈夫です。
犬に納豆を食べさせても大丈夫?まとめ
- 犬に納豆を与える時は、タレや薬味を入れないようにする
- 血流の改善や腸内環境を整える働きが期待できる
- 腎臓や心臓に不調がある犬には与えないようにする
- 血栓予防剤や鉄を含む薬を飲んでいる犬には与えないようにする
【執筆協力】
丸田香緒里 獣医師
日本大学卒。動物病院勤務後、飼い主様にもっと近い存在になりたいと思い「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士など様々な資格を取得し、病院での診療や往診の他、セミナー講師やカウンセリング、企業との製品開発など活動は多岐にわたる。
ホームページ:http://animallifepartner.com/
タカノフーズ株式会社
ホームページ:http://www.takanofoods.co.jp/
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