キャンピングカー

キャンプに使うだけじゃない!キャンピングカーの魅力

誰でも名前は知っているし、姿形を思い浮かべることもできるだろうが、実際どんなものか、その実態が知られていないのが「キャンピングカー」。その魅力、真の姿はどんなものだろうか。

渡部 竜生

執筆者:渡部 竜生

キャンピングカーガイド

キャンピングカー、名前の由来は?

「キャンピングカー」はおかげさまで大人気だ。誰でも名前は知っているし、姿形を思い浮かべることもできるだろうが、実際どんなものか、これほど知られていない車も少ないのではないだろうか。

そもそも「キャンピングカー」という名前からして、和製英語である。アメリカならモーターホームとかRV(レジャー・ヴィークル。だが日本とは意味が違う)と呼ぶし、ヨーロッパではキャラバンなどと呼ぶ。
1964 Dethreffs

1964年製のキャンピングトレーラー。ヨーロッパでは60年代にはこの完成度


キャンピングカーの名前が生まれた経緯ははっきりわからないが、その昔(昭和のころ)、日本でキャンピングカーを自作してみた人が(芸能人だった、とか、諸説ある)、キャンプ用の車だからキャンピングカーと名付けた、とも言われている。

当時は1ドル=360円時代。装備も貧弱で、名前の通り「テント替わりにもなる車」程度だったかもしれない。今のキャンピングカーのすばらしさを思うと、全く別のものだ。

キャンピングカーは正に「動く我が家」!

キャンピングカーを一口で言い表すなら「動く我が家」、これである。個々の車によって装備は異なるが、照明や空調はもちろん、キッチンに給排水設備に冷蔵庫や電子レンジなど、生活に必要なインフラが一式揃っているのだ。

もちろん、乗用車だってどこへでも行ける。しかし、キャンピングカーはまさに動く家、どんな旅先へでも、日常の生活空間を持ち運べる。もちろんホテルや旅館は、日本全国にあるがそれは持ち運べないし、そもそも借り物だ。だからこそ面白いというのは否定しないが、キャンピングカーの楽しみはまったく意味が違う。

例えば、小さな子供のいる家庭の場合。里帰りぐらいはともかく、せめて幼稚園の年中さんぐらいになるまでは「泊りがけで遊びに行く」のは大変だ。キャンピングカーなら、赤ちゃんのうちから連れて行ってもストレスがない。時を選ばず、おむつ替えだ、ミルクだ、ということになっても、安全に停車できる場所でカーテンを閉めてしまえば完全なプライベート空間だ。子供が泣き叫んでも、周囲に迷惑もかからない。同じような理由で、高齢者との旅、ペットとの旅など、一般的な旅行が辛い人たちも、キャンピングカーに注目している。
紫雲寺

目の前に波打ち際、そんなロケーションに「我が家」


交通機関も宿も、予約は不要。体調が悪ければやめればいし、予定変更も思いのまま。出かけるハードルはぐっと低くなる。出かけたい先に宿がなくても、宿が争奪戦になるような人気の観光地でも、行きたいときに、行きたいところへ。なんと素晴らしいことか!

「動く我が家」という意味にはもう一つある。コンセプトとしての「動く家」以外に、スペック面で同じことが言えるのだ。昔のキャンピングカーは本当に簡易な物だったと言ったが、今のキャンピングカーの快適さは、住宅並みである。

四方に断熱材が張り巡らされ、窓は二重窓。エンジンを止めたままで、冷暖房も使える。我が家ではキャンピングカーでスキーにも行くが、ゲレンデ脇で宿泊しても寒さ知らず。外が氷点下でも、半袖短パンで鍋をつついたりする。

お気に入りの快適な空間を持ち運ぶ旅。あなたなら、誰とどこへ行くだろうか。

「キャンピングカーは高い」は本当か?

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日本独自の「軽キャンピングカー」どんなところもスイスイ走れる


キャンピングカー=高いと思っている人は多い。確かに、なくても死なない車ではある。

さて、現在日本で最も売れているキャンピングカーの中心価格帯は400~500万円台である。いかがだろうか。人気のミニバンやワゴンの新車に、ちょっとオプションを装備したら、このくらいの金額になるのではないか。それでいて、中で寝ることもできる。冷蔵庫がついていたりもする。移動手段+居住空間として、非常に優秀なのである。

日本で販売されているキャンピングカーは実に多彩。日本独特の軽自動車をベースにしたコンパクトな軽キャンピングカーから、普段街でよく見かけるワンボックスバンに架装したバンコン、小型トラックをベースにしたキャブコンといった国産車に加え、アメリカやヨーロッパからの輸入車を加えると、そのバリエーションは世界随一と言ってもよいのだ。

関連記事 キャンピングカーは“特別な人の乗り物”ではない

普段使いと兼用できるタイプは特に人気だ。家族で週末の買出しに出かけても、趣味の合わないお父さん、お母さん、男の子、女の子、別行動だって自由だ。なにしろショッピングモールの駐車場まで家を持ってきているのだから。友人家族は、食料品の買い物が済んだら、冷凍もの、冷蔵ものをキャンピングカーの冷蔵庫に収て、自由行動。ママとお嬢さんは洋服や雑貨のショッピング。パパと息子は車で昼寝やゲーム三昧で過ごすという。子供が映画を見ている間、キャンピングカーで待つ、というご家族もいた。

そう考えたら、決して高い買い物ではないのがお分かりいただけると思う。

いざというときの防災グッズとして

「天災は忘れたころにやってくる」などと言うが、地震や台風が多いのが日本。忘れる暇もないぐらい、次々と天災に見舞われている。そしていざ、というとき、とても頼りになるのがキャンピングカーなのだ。

必要最低限の生活環境は備わっている。なにより、プライバシーが保たれた空間があると言うのは、とても大切なこと。ペットの同伴避難所も増えつつはあるが、全ての避難所が対応している訳ではない。キャンピングカーなら、気兼ねせず一緒に逃げられる。

「避難所にいないと、食料などの物資配給が受けられないのでは?」と心配する人もいるが、阪神淡路、東日本、そして熊本と、激甚災害の経験を重ねるごとに、そのあたりのオペレーションも進化している。セキュリティーの観点から「被災者はすべて避難所に避難せよ」から、自治体によっては「避難所に避難していない被災者(避難所外避難者)」も支援を受けられるよう、体制を整えてるところもある。キャンピングカーを買っても買わなくても、住んでいる自治体の避難ルールについて確認しておこう。

キャンピングカーは究極の“インドア遊び”

ニースマン

大型のキャンピングカーともなれば、この余裕の室内空間


いかがだろうか。キャンピングカー=キャンプやアウトドアの車、というイメージが、多少変わったのでは?

「アウトドアには興味ないから…」と、視野の外に退けてしまうのはあまりにもったいない!それがキャンピングカーだ。出先で野外料理をしなくてもいい。お気に入りの温泉で、ご当地グルメの食べ歩きをしてもいい。家(車)に引きこもって、読書三昧だっていい。私はこれを「究極のインドア遊び」と呼んでいる。

あなたのライフスタイルを変えてくれるかもしれないキャンピングカー。自分だったらどんな使い方をするか、想像するだけでも楽しいではないか。

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