注文住宅/家づくりの流れ・基礎知識

土間とは 現代の住まいでの役割やメリット

昔の民家では欠かせない存在だった土間。現代風に活用することで、新しい暮らし方の発見につながるかもしれませんね。建築用語としての「土間」の意味や、その役割やメリット、玄関との違いなどを解説します。

佐川 旭

執筆者:佐川 旭

家を建てるガイド

Q:現代の住まいにおいて「土間」の役割やメリットは?

昔の民家に土間は欠かせないものだった

昔の民家に土間は欠かせないものだった

昔、母の実家に行くと台所の横にタタキと言われる土間があり、畑でとれた野菜を一時的に置くことができ、とても重宝に使っていた記憶があります。この土間を上手くとり入れた家をつくりたいと考えていますが、現代の住まいではどのようなメリット・デメリットがありますか?


A:自由な空間、「間」をつくり出すことができます。

「土間」とは、民家の屋内において地面(土)のままの空間を指していました。よく玄関と混合されますが、玄関は住宅の出入り口を指します。昔の民家では、床を張らずに土足のまま調理や農作業ができる場として、土間は欠かせないものでした。

しかし現代は生活スタイルの変化と共に、土間はその姿を徐々に消していきました。現代の住まいは確かに機能的ではありますが、どことなく空間に窮屈感もあり広がりを感じられません。
現代の住まいでは「土間」はどのように機能する?

現代の住まいでは「土間」はどのように機能する?

現代の家にとり入れる場合、たとえば用途のはっきりしているスペースとスペースの間に小さな土間を設けてみます。するとスペースの境界はやや曖昧となり、ひと呼吸する場、つまり「間」が生まれます。そこは視線の広がり感をもたらしてくれます。

土間を現代風に活用することで新しい暮らし方の発見につながるかもしれませんね。ただ、さすがに地面(土)のままというわけにはいきませんので、石、タイルまたはコンクリ―トなどで仕上げます。冬は熱をうばいますので暖房計画をしっかりしておくことが大切です。

土間が広げる自由な暮らし

・玄関とキッチンをつなぐ
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外と内の中間の場として玄関スペースを広くとる。ベビーカーや宅急便の荷物などを置くスペースとして、あるいはキッチンとつなげることで一時的にドロのついた野菜をおいておくことも。

・小さな土間で多様な使い方を
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何でもフラットにしてしまうより、それぞれの床の高さをうまく設定することで多様ないとなみが生まれます。段差が土足と上足の境界をつくりながら、空間を緩やかにつなぐ効果も。土間は植物などを置くインナーテラス的な使い方もできます。

・土間は内にも外にも
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室内とつながる空間、室外とつながる空間があると、家族の食事や友人とのパーティが外まで広がります。夏と冬で生活を切り替えることもできます。土間に設置されたまきストーブには人が自然に集まりコミュニケーションが生まれます。


おまけ…「叩き上げ」の言葉は土間から?

土間はタタキとも呼びますが建築用語に三和土と書いてタタキと呼ぶ、なんとも読めない用語があります。かつて玄関のタタキとか台所のタタキと呼んでいましたね。これは赤土と石灰、苦塩(にがり)の三つを混ぜて木の叩き棒で地面をたたいて締め固めたことからタタキ呼ばれていたのです。

三和土(タタキ)は中途半端な叩き方ではよいものはできません。よく叩き締めてつくられた土間は非常に硬くて信頼性もあります。また調湿性に優れ、土の色合いに変化があると住んでいる人はその変化を読み取り、事前に降雨などの天候の変化もわかったようです。

職人や現場のはえ抜き、さらには官僚の世界でも時にあの人は叩き上げで出世した人だといわれる事があります。これは建築の土間の仕上げからきた言葉が使われているのです。近年は叩き上げの職人が減ってきました。ぜひ叩き上げの職人と出会って良い住まいをつくって下さい。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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