Q:施主のはたす役割や心構えとは……
「満足する家」をつくりたい
A:求める住まいのイメージを固めること
近年の施主の特徴は、何といっても顧客のプロ化でしょうか。しかも「顧客」は『個客』であり、10人いれば10人とも住まいづくりに求める要望や満足度も違うということです。したがって建築家、あるいは施工会社はその施主の考え方やどんな住まいを求めているのかを早い段階で感じとり提案していかなければなりません。一方、いくら提案を受けたとしても、施主側がきちんと自分達の求める住まいのイメージを創っておかなければ、いつまでたっても前には進まず、最後はストレスになってしまうこともあります。
特に最近はインターネット等でたくさんの事例を見過ぎてしまい、迷いが生じてしまう施主が多いのが特徴です。つまり情報をたくさん集めたとしても、施主側の住まいのイメージができていなければ、迷って選択できないという結果になってしまうのです。
ダンゴの串のような人を見つける
たとえば、ダンゴはダンゴの中心に串を刺さないときれいにつながっていきません。つまり施主は何といってもその中心となる『串』となるような人を見つけることがもっとも重要な仕事なのです。
その時点でおおよそ80%は満足する家ができるのではないか、と言っても過言ではありません。
施主になるということは
家は商品ではありません。商品ではないので買うものでもありません。さらに家は、完成品のように見えて完成品ではありません。メンテナンスも含め住んでからが本当の家づくりの始まりなのです。住生活を考える際、自分達の住生活がはっきりしないなかで表面的な「かっこ良さ」とか「エコロジー住宅」とか、今風のキャッチフレーズの後追いばかりしていては、自分達が求める家づくりにはたどり着くことはできません。
大切なことは信頼できる人に話を聞き、情報を整理し、そしてその情報をもとに構築していくことです。
そのプロセスのなかで、たとえ建築家や施工会社との意見が合わなくとも、又自分の選択が後で失敗だったとしても、それはそれで心の中にはボンヤリと豊かなものを残してくれているはずなのです。
家づくりに正解はないのであまり近視眼的になる必要はありません。たとえ失敗したなと思っていても、時間が経ってその良さに気がつく事も考えられるからです。また「あの時は一生懸命考えて結論を出したな」という思い出も振り返れば楽しいものです。
家づくりとはそういうものなのです。そういった柔らかい精神力や発想、そして気力がないのであれば、家はお金を出して買えばよいのです。
気遣いのある施主になろう
施工会社との付き合いは家ができた後も続
そんな時、施主側としてはやはり気遣いをしてあげることが大切です。気遣いを受けると施工する側もうれしいもので、現場でのモチベーションは高まります。そしてついおせっかいな工事までしたくなってしまうものです。そんな家づくりの雰囲気をつくっていくと、最終的には住み始めてからもずっと長いおつき合いができるのです。
家は竣工した時に終わりではなく、住み始めてからがスタートです。施工会社とはそこからホームドクターのような存在でずっとつき合っていけるようになるといいですね。