なんでもかんでも詰め込んでしまいがちな「洗面台下」
毎朝顔を洗い、髪をセットする洗面所。洗面台の下って、たいていは開き戸になっていて、中には排水管が収納されています。そのため、棚なども入れにくく、そのままで使っているお宅が多いのではないでしょうか。一方ここには、シャンプーや洗剤、たわしや雑巾など、水回りに関連したさまざまなものが集まります。それだけでなく、「捨てるつもりの割れた鏡」や、「捨てるつもりの空き容器」などを「一時的に」保管しておくことも。
しかし、この扉を開けるのは、予備の洗剤を探す時などに限られ、閉めてしまえば見えないため、知らず知らずのうちに「魔窟」となっていきかねません。
洗面台下はどうなっている?<ビフォー>
今回は、一人暮らしの高齢の女性のお宅に伺い、洗面台下のお片づけと収納の注意点を探ります!比較的古い作りの一戸建ての、ややコンパクトな洗面台。でも、けっこうたくさん詰め込まれていますね! 住人の女性(79歳)にお聞きすると、
「何も考えたことがない。洗剤っぽいものはここに入れている」
とのこと。
片付け手順1:中にあるものを全部出してみる
まずは、洗面台下に入っていたものを全部出してみましょう。コンパクトなわりに、かなりの量が出てきました。よく見ると、「台所用洗剤」や「食卓を拭くためのウエットシート」など、明らかにここにしまわない方がいいようなものも………。「粗品でもらうと、何でもここに入れてしまう」(住人女性)
よく見ると、使いかけのシャンプーも! なぜ!? こういうものも、洗面台下には潜んでいるのですね。
片付け手順2:ざっくり分けてみる
では、出してみた洗剤類を、住人女性と「洗面台下に収納した方がいいもの」と、「ここ以外に収納した方がいいもの」に分けていきます。「台所で使うものは、台所に持っていく」
「洗濯用のものも、洗濯機(別の場所にある)の方に置く」
ことになりました。一方、洗面台下に戻すのは「掃除に使うもの」「入浴(洗顔)に使うもの」「美容・衛生用品」に限ることにし、ほかのものは入れないよう決めました。
片付け手順3:捨てる・かさを減らす・わかりやすくする
洗面台下に戻す前に、「明らかに使わないもの」は捨てることに。「使いかけのシャンプー」をどうするか尋ねると、「どうしてそこにあるのかわからない。もう使わない」(住人女性)そうなので、廃棄します。中身が少なくなったのに大きな包材が残っているものはカットしてかさを減らしました。これで、かなり体積が減ります。
また、住人女性は視力が落ちているため、パッと見てわからないものは、どこにしまったらいいかわからなくなる上、在庫があることに気づかず、また新たに買ってきてしまいます。そのため、ラベルの文字が小さくて読みにくく、パッと見て種類がわからないものには、太字のマジックペンで大きく上書きしました。
片付け手順4:きちんと分ける
かさが減ってわかりやすくなった中身を、収納するために、分野別に分けます。・掃除に使うもの……住居用洗剤、たわし類
・入浴(洗顔)に使うもの……シャンプー、手洗い用洗浄剤、歯ブラシなど
・美容/衛生用品……毛染め剤、入れ歯洗浄剤のスペアなど
これで、洗面台下には、大きく分けて3つの区切りが必要なことがわかりました。
片付け手順5:使う人に合った収納にする
洗面台下は、排水管があるため、引き出しや棚などの収納機能はないことが多いようです。それが、洗面台下の収納を難しくしているともいえます。・市販のコの字ラックを組み合わせる」
・つっぱり棒を二本渡した上に板を載せて棚にする」
など、いくつかの方法が考えられますが、住人女性と相談したところ、「かがんでものを取り出す動作はしんどい」そうなので、奥のものを楽に取り出すのに最適な引き出し収納を採用することに。
排水管の部分を除いた洗面台下の寸法を測ります。採寸には、板状の定規や洋裁用のメジャーではなく、建築や工作などに使う金属製の巻尺(コンベックス)が最適です。
寸法を間違えて買うと悲劇ですので、確認しながら複数回測ってメモしましょう。誰かと一緒に測るとミスが減ります。
片付け手順6:ラベルを貼り替える
こうして測った寸法に合った引き出しを買ってきました(一個800円程度)。買ったらすぐに、メーカーが販売用に貼った商品ラベルをはがします。はがさなくても使えますが、上から分類用のラベルを貼ると、時間が経って下のラベルがはがれてきたとき一緒にはがれてしまうのと、見た目がゴチャゴチャして美しくないことが理由です。ラベルを貼ってある糊には、とても剥がしにくく跡が残って汚くなるものがありますが、その場合は市販のシール剥がしを利用しましょう。なければ、ドライヤーの熱でゆっくり剥がします。
きれいになった引き出しに、大きな太い字で分類を書いたラベルを貼ります。ラベルはなるべく大きなものを!
片付け手順7:収納に入れる
分類に従って、洗剤類を引き出しに入れていきます。この収納に合うサイズの引き出しには、背の高いものは入らないので、「背の高いボトルは引き出しの上、または脇のスペースに入れ、詰め替え用の袋や小物を引き出しに入れる」というルールにしました。もう洗面台下を魔窟にしない!<アフター>
これでお片づけ完了です。住人女性には、「台所や洗濯に使うものは、台所や洗濯機のそばに収納する。洗面台下には、引き出しラベルの分類に従って収納する」ことを覚えてもらいました。
「この種の粗品や返礼品をよくもらうが、使い切れないものがある」という話だったので、「使わないものはここにしまわずに、“あげるもの”として玄関脇などにまとめておき、必要な人に差し上げる」ことを提案しました。
最初からあげるものとして分けておくことで、使わないものが家に滞留する時間を短縮することができます。差し上げるための袋なども一緒に置いておくといいと思います。
収納は、「使うものを一時入れておくための場所」です。使わないものは、収納せずに速やかに家の外に出す意識を!
なお、今回ご紹介したテクニックはシンク下でも活用可能。お鍋や食器など、収納するアイテムは若干異なりますが、分類&収納の流れを意識すれば、きっとキレイに整頓できるはず。