投資における偶然と必然とは?
人はだいたいが、うまくいったときには、自分のせい(必然)だと考え、失敗したときには運が悪かった(偶然)と考えがちです。それで、ストレスが消えて、精神衛生が保てるならば、それも悪くありませんが、資産運用の資質を高めるという意味では、体験を生かしていない(無駄にしている)といえます。偶然と必然の違いが分からないままだと、投資の勝率が上がりません。資産運用や投資において、必然と偶然を見分ける知恵は、とても重要な資質です。
必然とは、同じ方法で利益が繰り返し出すことができることであり、再現性の高い方法です。一方で、偶然とは、たまたま利益が出たことであり、もう一度やれば損をするかもしれません。
偶然と必然の決定的な違いは?
偶然と必然とを見分けるのは、簡単そうですが、実は微妙です。偶然と必然の分岐点は、50%にあるからです。丁か半か、偶数か奇数かという二者択一の選択は、確率が50%で、博打とかギャンブルとかいわれます。これが偶然の利益です。これを繰り返していると、掛け金は減り続け、最後に元金はゼロとなります。
しかし、50%を1%でも上回る方法であれば、それは必然に近いといえます。
必然的な利益を生み出す投資とは、一般的には、65~70%あたりにあります。かなりの達人でも、30%程度の負けは仕方がないものです。もし、90%の確率で成功する投資があるとしたら、それは詐欺だと判断するのが賢明です。ましてや、必ず儲かる投資とは絶対にありません。
もし、あなたの投資の勝率が50%未満であるとしたら、たとえ、通算で利益が出ていても、今の方法を見直す必要があります。
銘柄選択における偶然
資産運用において、偶然に利益をあげる要因としては、銘柄選択と売買タイミングがあります。たとえば、ある雑誌やメルマガに、必ず儲かるとして紹介されていた銘柄を、うのみにして買ったとします。それが実際に利益を作ったとすると、人はこの雑誌を、メルマガを信頼できる情報と解釈して、必然の結果だと受け取りがちです。しかし、その勝率が50%を上回らなければ、必然と受け止めてはなりません。
たぶん、ほとんどの投資情報は、勝ったり負けたりを繰り返しているでしょう。50%を超える確率で、勝てる情報というのは、そう存在しません。外部情報に頼る投資は、慎重であるべきです。
売買タイミングにおける偶然
売買タイミングに関しても、同様の注意が必要です。株価が暴落する(あるいは爆騰する)と連呼しているメルマガや本があります。同じことをいい続けていれば、それはいつかは当たります。しかし、予言が当たったことだけで、必然と受け止めてはいけません。実は、そこまでに(暴落や爆騰までに)、何十回となく、あるいは何年も予言は外れて続けているのですから、確率としては数パーセントとなります。偶然と必然を、見分けることができる。これは、投資に不可欠なスキルです。
長期分散と時間分散とういう必然
私が信頼している法則は、長期分散と時間分散です。厳密に机上の試算を繰り返すと、長期分散も時間分散も完璧(勝率100%)ではありません。しかし、現実に、10年間以上、長期分散と時間分散を続けた人で、損をした人はいません。これは間違い無く必然の法則です。