加入者同士の「助け合い」の仕組みで成り立つ共済
加入者同士の「助け合い」の仕組みで成り立つ共済
一口に「共済」といっても、JA共済、全労済(こくみん共済)、コープ共済、都道府県民共済のように認知度が高い共済もあれば、お客様の勤務先の企業や業界団体が独自に運営しているような共済までさまざまです。しかし、運営機関や準拠法などが違っていても、一般の人たちが死亡や入院等に備える手段の1つであることは、生命保険と何も変わりません。
実際、保険も共済も大まかなお金の流れは同じ。加入者から集めたお金を運営機関が管理し、不測の事態に遭遇した人やその家族などに各種の給付金を支払うことで、加入者同士の「助け合い」の仕組みが成り立っているわけです。
この仕組みは掛け値なしに素晴らしいものだと思います。
加入している保険の契約内容、明確に答えられますか?
ただし、気をつけたい点もあります。保険や共済を検討する際は死亡・大病・災害など歓迎したくない事態を想像し、人・物・お金などの「損失」を考えることになるためか、商品や付帯サービスに関する評価が甘くなる人が多いように感じています。契約内容などがわかりづらいことも、その1つの要因かもしれません。たとえば、死亡・医療・介護など目的別の保障と、各種特約が付加された契約を明確に自分の言葉で説明できる人がどれくらいいるでしょうか?
私は大手生命保険会社と複数の保険会社の商品を扱う代理店で約15年、営業の仕事をしていましたが、「保険に入っているけれど内容はよくわかっていない」というお客様が大半を占めていました。
「もし、何かあったら」が遠ざける冷静な思考
大人の常識で考えると「わからないものは買わない」ということになりますよね。ところが、契約内容をろくに把握しないまま、毎月数千円から数万円の保険料を支払い続ける人がなんと多いことか……。「もし、何かあったら」と想像してしまうからでしょう。諸々の不安が「保険料にふさわしい価値があるのか?」といった素朴な問いかけや冷静な思考を遠ざけている気がするのです。
わざと難しい商品を設計して販売しているのでは?
私が保険営業の仕事を辞めたのは「難解で高額な保険は、加入者のためではなく保険会社のためにあるのではないか?」と考えるようになったからです。人材の入れ替わりが激しい営業組織の維持にかかる経費などがかさむため、保険料を高く設定する必要があり、その妥当性を疑問視されないように商品の仕組みを難しくしている―――という見立てです。
2008年、ライフネット生命が保険料に見込みで含まれている経費の割合(付加保険料率といいます)を開示したことで、この推察は確信に近くなり今に至っています。
同社の商品で付加保険料率が20~30%程度であることから、大手生保の死亡保険などでは保険料の50%超が会社の運営費に回っていると推計できます。つまり、保険料から加入者に死亡保険金として還元されるお金は半分もないことになるのです。「加入者同士がお互いを支え合う助け合いの仕組みどころか、加入者が保険会社を支える仕組みのようだ」と感じてしまいます。
保険のあるべき姿って?
同時に、加入者に保障を提供する組織のあるべき姿も見えてきます。たとえば、「都道府県民共済」のような業態は、以下の3点からあるべき姿に近しいと考えているのです。- 保険にあまり詳しくない人でも、自力で説明できそうな商品を提供している
- お金の流れがわかりやすい
- 加入者に還元されるお金の割合が多い
「都道府県民共済」の商品は、低料金で保障内容の把握も容易。単年度の決算ごとに剰余金が「割戻金」として払い戻しされることから、お金の流れもわかりやすいと感じます。そして、加入者に各種給付金や割戻金として還元されるお金の割合が、組織の拡大につれて高くなってきている事実も注目すべき点でしょう。
こうした事実について理解を深めることは、読者のみなさまが各種の保障制度と付き合っていく際、役に立ちます。詳しくは次回以降の連載記事の中で、掘り下げていきましょう。
※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。