子育ての悩み解決は即効性を求めると上手くいかない
育児で悩んだときにまずやるべきこととは?
そのため、日々出会う問題を、その場その場で対処しようと思うと、うまくいかないことが多いのです。ここでは、育児全体が「なんだかうまくいっていない」と感じたときに、まず取り入れたい心理学的アプローチをまとめてみました。
「一晩で激変」のようなミラクルは起きない
育児相談をしていると、「弟を叩いてしまうんですが、どうしたら叩かなくなくなりますか?」
というような質問を受けます。
その質問の裏には、
「叩かなくなる方法があるだろう」
「言うことを聞く方法があるだろう」
という思いがあります。共通しているのは、みんな「その場での対処法」を求めているということです。
まるで「頭痛には頭痛薬」「発熱には解熱剤」「傷口には絆創膏」というように、対症療法的な発想で、子育てを捉えてしまっていることが非常に多いのです。
しかし、育児というのは、1人の子の過去、現在、未来がつながっているものです。よって、今、目の前にある問題の引き金は、今にあるわけではないケースがほとんど。「この問題にはこれ」「あの問題にはあれ」というようなアプローチだけでは、対応できないのも当然です。
育児に即効性を求めると危険な面も
問題が起こったときに、その場でなんとか対処しようとばかり考えてしまうと、言うことを聞かせたいあまり、強い力をかけてしまうことも少なくありません。はじめは、「〇〇しなさい」と優しく言っていたママも、
- 「何度言ったら分かるの!」
- 「いいかげんにしなさい!」
- 「まったくママを困らせることばかりして!」
- 「どっかに行っちゃいなさい!」
- 「罰として、外に出ていなさい!!!」
育児に即効性を求めてしまうと、対処が手荒になる傾向が高いのです。
先ほど、「頭痛には頭痛薬」という例を出しましたが、結局は体も、「飲んですぐ効く」よりも、免疫力を高めたり、食生活に気をつけたり、運動を取り入れたりする包括的なアプローチが、風邪を引かない体を作ります。
心の健康も同じで、「やってすぐ効く」ものよりも、土台を作る包括的な取り組みこそが、育児の諸問題を解決へと結びつけるのです。
育児の原点はアタッチメントにあり
育児で悩んだら、まずは「アタッチメント」に立ち返りましょう。アタッチメントとは、子供が親に感じている精神的な絆のこと。筆者はこれまで多くのところで、アタッチメントの必要性を伝えてきましたが、これに立ち返ると、まず100%、育児が大きく変わります。上に挙げたような個々の悩みまでも、解消してしまうことがよくあります。なぜなら、その子がいたずらをしたり、意固地になったりするのは、ママの注意を引くためで、それが「アタッチメント強化」で満たされたことで、叩く必要がなくなったり、意固地になる必要がなくなったりすることがよくあるのです。
この場合のアタッチメント強化でおすすめなのは、お子さんとの距離を今よりも縮め、ひと手間かけていくこと。ママとの距離が離れ、子供任せになってしまうと、諸問題が起こりがちだからです。
たとえば、こんな場合。
- 夕食後、リビングなどでうたたねをさせ、それで寝かしつけにしてしまっている
- 「宿題をやりなさい」「ピアノの練習をしなさい」と言葉だけで指示を出して、子供任せにしている
- いつのまにか外へ遊びに行き、いつのまにか家に帰ってきていて、詳しく知らない
- 週末の午後、家族全員がバラバラなことをしている
- 宿題をやるときには、隣に座ってあげる
- リビングで寝ないように、きちんと布団に寝かせるようにする
- 友だちが遊びに来たら、おやつを出したりしながら、関わろうとする
- 車通りの激しい道は、付き添ってあげる
- 週末の午後は、家族全員でできるゲームをする
アタッチメント強化は、体の免疫強化と同じような役割を果たすので、外側からの力に耐えうる心を育んでくれます。なので、育児に悩んだら、まずはアタッチメント強化に立ち返ること、これがベストな策です。その土台の補強をしてから、今抱えている悩みに向き合うと、ずっと対処が楽になります。