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なぜ日本株は外国人投資家にいじられるのか?

日経平均株価は2万円の壁を阻まれて、いまだに一進一退を繰り返しています。最高値を更新するニューヨーク株価や最高収益を発表している国内上場企業の情報から考えてみると、日本株の停滞を合理的に説明することは困難です。そんな視点から、日本株の特徴を考えてみました。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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高値更新の米国株と最高益を出す上場企業

アメリカの株価の代表的指数であるニューヨークダウ、S&P500、ナスダック総合指数のいずれもが、史上最高値を更新し続けています。それに比べて、日経平均は、またもや2万円割れ。21世紀になって、日経平均株価が2万円を終値ベースで超えたのは、なんと89日しかないのです。

膠着感の強い日本株の特徴

膠着感の強い日本株の特徴



一方で、株価の源泉である企業収益は、日本においても改善を続けています。上場企業の利益率も利益額も、過去最高を記録しているのですから、株価も米国株と共に上昇をしてもおかしくありません。なのに、なのに、日本の株価は、なぜ上がらないのでしょう。

アメリカの株価と比べて、膠着感の強い日本株の特徴を考えてみます。世界の株式市場の中で、日本株の特徴は、次のようにまとめることができます。

1、 国内の長期投資家が少ない。
2、 経済は一流で安定している。
3、 海外からの投資に対して寛容で、公平である。

日本には長期投資家が少ない

第一の、国内投資家の比率ですが、金融大国のアメリカでは、アメリカ国民の保有比率が60%超と非常に高く、自国民が株価を支えています。よって、海外からの影響を受けることが少なくてすみます。

一方で、日本は経済先進国なのに、意外なことに、個人投資家の保有株式は、非常に少ないのです。投資信託などを含めても、個人の保有割合は30%未満です。

日本株の保有比率となると、外国人投資家も日本人個人投資家も同水準なのですが、売買金額にすると外国人投資家の比率が60%を超えています。したがって、外国人投資家の影響力が強く発揮されます。外国人投資家の売買行動が、国内株価を左右しているのです。

日本の経済は一流で安心できる

第二の国内経済ですが、これはすでにご承知の通り、日本は世界の第3位の経済大国であり、金融危機にも強く、外貨保有高も多いので、相当に安定した経済圏と、海外からは見られています。だから、危機が来ると、外国資本は日本に流れ込んできます。

経済が成長しているインドやブラジル、メキシコなどでは、まだまだ基盤がもろいので、投資をしても、ハイリターン・ハイリスクとなり、安心できません。

政変、紛争で平和が乱される危険が少なく、インフレや為替レートの激変で資産が目減りする危険も国際的に見れば、わずかです。つまり、青い目の投資家にとって、日本は、健全な投資先であるのです。

日本は海外に対して開放、寛容、公平

第三に、海外資本に対する開放性、公平性ですが、日本は、世界の中でも優等生です。完全な法治国家であり、投資家の利益を収奪することがありません。

お隣の中国では、株式市場に公権力が平然とが介入してきます。2015年の株価暴落時には、空売りをしたヘッジファンドを、株価操縦の疑いで操作し、一部には逮捕者も出ました。その後は、自国の証券会社に株式購入を指示して、禁じ手である株価操縦を、堂々と実行したのです。そうした未成熟な市場では、公権力が、しばしば外国人投資家の利益を、一方的に収奪します。

日本には、健全、公正、中立な金融市場があります。しかも、世界のトップクラスの規模で、流動性も確保されています。だから、世界の投資家は、日本の金融市場が大好き。なぜなら、美味しいからです。

日経平均先物は、百戦錬磨の外国人投機家たちにいじられまくって、今日も2万円前後をウロウロとしているのは、日本株は外国人投資家に牛耳られているからともいえます。

私は、自立した株式市場に早くなることを祈っています。そのためには、国民の過半が、自分のポケットマネーを投じることが必要です。この記事も、そのお役に立てればと思い、書き続けています。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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