写真撮影

現像タンクを使ってモノクロフィルムを現像する方法

フィルムカメラに凝り始めると自分でモノクロフィルムの現像もやってみたいと思うようになるかも。でも自家現像方法はどのようにすればいいんだろう、そんな疑問にお答えするべくフィルム現像方法を解説していきましょう。デジタルカメラと比べると恐ろしく手間がかかりますが、現像ができたフィルムを見た時の喜びはデジカメでは味わえないものです。

瀬川 陣市

執筆者:瀬川 陣市

写真撮影ガイド

モノクロフィルムの自家現像方法は、自宅でも簡単に行うことができます。必要な道具を揃えて現像方法を覚えてしまえば案外簡単にできてしまいます。アナログカメラの究極の楽しみ方はフィルム現像を自分で行うことから始まります。デジタル世代の方にはきっと新鮮に感じる、フィルム現像の世界へ足を踏み入れてみてはいかがですか。


フィルム現像に必要な溶液は3種類

ここからの解説は、現像するモノクロフィルムを現像リールに巻き取り、現像タンクに収納済みのところから始めます。

現像リールの巻き取り方については、「カメラフィルムの現像、リールの正しい巻き方」の記事で詳細に説明しています。
モノクロフィルム現像

フィルム現像に必要な3種類の溶液。現像液、停止液、定着液。これら3種類はカメラ店などで購入が可能。


フィルム現像に必要な道具をまず揃えます。現像するのに最低限必要なのは、現像液停止液定着液の各溶液。これからはカメラメーカーから発売されています。このほかに調合した各溶液を保存しておく薬品ボトル、水温計、水量カップなども揃えます。
モノクロフィルム現像

現像液の水温は現像速度に影響するので管理が必要。適温にしてから現像に使用する。


各溶液を決められた配合で水と混ぜて調合して作ります。調合方法は各溶液に書かれてある説明通りに行います。

このとき現像液の水温は現像速度に影響するので、適温になるように管理が必要です。水温が高い場合は、氷水を張った中に溶液のボトルを入れて水温調整します。


現像には正しい撹拌(かくはん)が大事

モノクロフィルム現像

現像タンクに現像液を流しいれて現像スタート。素早く入れることが大事。


各溶液の準備が整ったらいよいよ現像をスタートさせます。現像タンクのキャップを外して現像液を流しいれていきます。フィルムが現像液に触れた瞬間から化学反応が起こり始めますから、素早く現像液をタンク入れます。

現像液を入れる容量はタンクの8から9分ほど。この後タンクを振りながら撹拌させるのでタンクの容量なみなみに溶液を入れなくても大丈夫です。
モノクロフィルム現像

現像タンクの撹拌方法は、現像タンクをキャップの上からしっかりと持ってから始める。

モノクロフィルム現像

腕を上にあげて、また腕を戻しを繰り返してタンクを振る。この動作で撹拌を続けていく。


現像タンクの撹拌方法は、まず現像タンクをキャップの上からしっかりと持ちます。そして、腕の上げ下げを繰り返していきます。ゆっくりとした動作で構いません。大事なのは、タンクの中のフィルムが溶液にしっかりと浸すようにすることです。

現像液の撹拌は、現像液の水温によって撹拌時間が変わります。フジフイルムの現像液スーパープロドールの解説を引用しますと、水温が22度のときは撹拌時間が5分30秒、24度で4分30秒、26度で3分45秒となっています。

タンクに現像を注入してから時計で時間を計りながら撹拌をしていきます。また最初の1分間は連続で撹拌を続けて、その後は5秒に1回の撹拌で続けていきます。
モノクロフィルム現像

撹拌時間が終わったら溶液をタンクから流し出す。そして次の溶液を注入していく。


現像液の撹拌時間が終わったら、タンクのキャップを外して現像液を流し出します(各溶液の廃液は、各地で決められた処理方法で廃棄してください)。

そして次に停止液をすぐに入れます。フィルムを現像液に浸したままにしておくと現像が進んでいってしまうので、停止液はその化学反応を止める役割をします。停止液を入れてからの撹拌は数回程度行い、溶液を流し出します。

最後に定着液を入れてまた撹拌を始めます。定着液を入れてからの撹拌時間は5分から10分程度となっています。
モノクロフィルム現像

定着液の撹拌が終われば、タンクのふたを開けて流水する。このときは外光が入るところで作業ができる。


定着液の撹拌まで終われば、タンクのふたを開けることができます。ふたを開けたタンクに水を注ぎこみ流水作業を行います。この流水作業はフィルムに付着した薬品を洗い流す作業で、ここでしっかりと水洗いをせずに薬品がフィルムが付着したままだと、後にフィルムが変色したりする原因になります。少なくとも10分程度流水を行ったほうがよいでしょう。
モノクロフィルム現像

流水も終わり、リールからフィルムを延ばしていくと現像されたフィルムが出てくる。現像の結果が見える嬉しい瞬間。


流水作業が終わったらいよいよリールからフィルムを取り出します。ゆっくりとフィルムを延ばしてくると、現像されたフィルムが出てくるはずです。現像作業で嬉しい瞬間がこのとき。これまでのひとつずつの作業の結果、現像したフィルムをやっと日の目を見た瞬間です。
モノクロフィルム現像

流水が終わったフィルムを吊るして乾燥させる。フィルムの下に重りとなるクリップをつけるとまっすぐ伸ばすことができる。


最後にフィルムを上からクリップのついたハンガーなどにつけて乾燥させます。フィルムの下には重り代わりとなる大きめのクリップを付けるとまっすぐにピンっと張った状態で乾燥できます。
モノクロフィルム現像

フィルムについた水滴は取り除いておく。スポンジなどで軽く拭き取るのでもよい。


乾燥させるときは、水滴が残らないように先に取り除いておきます。水滴がついたまま乾燥させると水滴の跡がフィルム面に残ることがあります。なお乾燥ムラを防ぐ水滴防止剤という溶液もあるので、使うと便利です。
モノクロフィルム現像

今回現像したモノクロフィルム。手間がかかりそうな自家現像だが手はずを覚えてしまえば難しくはない。


乾燥させたフィルムは、フィルムリーフに入れやすいようにハサミで切って分けておきます。自分で現像したフィルムを見ると、またデジタルカメラの手軽さとは違った感覚で画像を見ることができるかもしれませんね。

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