気になるわが子の発達
子どもの発達は案外アンバランスなもの。それが個性だと、ゆったりと見守りたいものです。
周りの同じ年頃の子どもたちと見比べて、「うちの子は、発達が遅れているのではないか?」そんな不安を持ってしまうパパやママは多いようです。
母子手帳には身長と体重を軸にした発育曲線のグラフのほか、月齢によって「首がすわりましたか?」「後追いをしますか?」「自分の名前が言えますか?」「おしっこをひとりでしますか?」といったチェックリストがついています。それらを全てクリアしていないことで、心配になることがあるかもしれません。
親というものは、自分の子育てに自信が持てないのがデフォルトです。しかし、なかなかそのような気持ちを共有する場がないので、「子どもの発達の遅れは、自分の子育てのせいではないか」と不安になってしまうママは多いようです。
周りの人の何気ない言葉にカチンときたり、落ち込んでしまったりするのは、孤軍奮闘の子育てに疲れ果てているサインかもしれません。「母親として完璧であらねばならない」と、ひとりで抱え込みすぎていませんか?
発達障害は子育てが原因ではない
発達障害には、こだわりが強くコミュニケーションがうまく取れない「自閉症スペクトラム(ASD)」や、不注意で落ち着きがない「注意欠如・多動性障害(ADHD)」の他にも色々あります。発達障害は親の育て方が原因ではありません。発達障害の原因は、脳の微細な機能不全。つまり生まれつきのものです。子育ては「その子の得意なところを伸ばす」ことが大切です。発達障害を持つ子どもの場合はなおさら。ですから、早期発見し専門的な療育につながるというのはとても大切なことですが、「育て方が悪かったのでは」と自分を責める必要はありません。
「親がしてあげてしまっていること」を見直してみよう
一方で、離乳食やトイレットトレーニングなど、親が意図的に始めることもあります。また、コップで水を飲む、スプーンを使って自分で食べる、自分で着がえる、歯みがきをする、はさみを使う、など、「自分でやってみる?」と、周りの大人がきっかけを与える必要があるものもありますね。その点、保育園や幼稚園に通わせている子どもは、「自分でやり始める」きっかけを与えられやすいようです。周りの子どもたちが自分でやっているのに刺激を受けて「自分も!」と思うことも大きいのでしょう。色々なことを自分でやりたがって、自然に自分でし始める自立心旺盛な子どもたちもいます。でも、「この子にはまだ無理」と、親の側が決めつけてやらせていない、してあげてしまっていることも結構あるようです。
中学生になっても包丁をうまく使えない子もいれば、小学校低学年から簡単な料理を作っている子もいます。その差は周りの大人が「やらせているかどうか」なのではないでしょうか。
子どもが色々なことを自分でできるようになると親は楽になります。子どもに限らず、人を育てるのは「お手本を見せて、させてみて、つまずいたところを一緒にやる」の繰り返しですので、最初は手間も時間もかかります。ですから、その余裕がないのなら、子育てへのサポート不足の問題かもしれません。
子育ての専門家の意見を聞こう
子どもの発達はその子によって発達していく領域の順番が違ったり、アンバランスだったりします。発達の遅れが気になったら、まずインターネットで情報収集するというパパママは多いと思いますが、一喜一憂するだけで問題解決につながらないことが多いのは、その子の個性全体(未来も含めて)を見渡すことが難しいからだと思います。ママ友など周りの人に相談して「大丈夫じゃない?」と言われても気休めにしか聞こえない時は、専門家の意見を聞いてみましょう。
親は、自分の子の「他の子よりできていないところ」に目が向きがちですが、多くの子どもたちを日常的に見ている保育士や幼稚園教諭は、子どもの発達状況を見極めるプロです。色々な個性を持った子どもたちの育ちに長期的に関わってきているため、今後の発達についても親よりも正確に見通せるのではないでしょうか。
通園させていない場合、一時保育に預けるというのも、自分の子どもを客観的に評価してもらうひとつの方法です。預けるときに「こういうところが気になっています」と一言伝えておくと、プロの目で観察し、アドバイスももらえると思います。
また、3歳児健診などの健診時は専門家に相談する大きなチャンスです。相談したい事柄があるのは、子どものことを日々観察しているからこそ。子育てに不安を感じるのは、子どもへの愛情の証です。アンケートなどに必ず「子育てに不安がありますか?」という項目がありますので、「はい」に丸をつけましょう。個別相談の時間をもらえますので、相談したいことを事前に考えておいてもいいですし、漠然とした不安なら、それをそのまま伝えてもOKです。吐き出すことで楽になることもあるでしょうし、少しは方向性も見えくるのではないでしょうか。