100年間を生き残り、現在でも上場している企業に注目
2017年は創業100周年の会社が多いのだそうです。100年前の1917年は、第1次世界大戦の真っ只中で、ロシア革命が起きて史上初の社会主義国家が誕生した年でもあります。国内では、東京湾で「大正6年の大津波」と呼ばれる高潮水害が発生した年です。企業では巨大商社の鈴木商店が絶好調だった時期にあたります。同社は1914年に始まった第1次大戦の情報を、海外電報などを駆使して集め、鉄や小麦、船などを世界中で買い付けて、売上高が急拡大。
三菱、三井の両財閥をしのぐほどだったといいます。ただ、1918年の米騒動で米の買占めを行ったとの風評が立ち、焼き討ちにされた経緯があるそうです。同社の後身といえる企業は、現在の双日です。鈴木商店は現在の大企業のルーツともなっており、神戸製鋼、帝人、サッポロビール・アサヒビール(大日本麦酒が分割)、IHI、太平洋セメントなど枚挙にいとまがないほどです。
そこで今回は、創業100年を迎える5社を取り上げたいと思います。激動の100年間を生き残り、現在でも上場している企業の強さを再認識したいところです。
激動の時期を生き残った5銘柄
シンフォニアテクノロジー <6507>旧社名は神鋼電機で、元は神戸製鋼系の電機メーカーです。鈴木商店の傘下にあった1917年に造船所の一角に100坪の電機工場を設置。工場用や船舶用のモーターの内製を始めたことがルーツです。現在では半導体の搬送や航空宇宙関連、電気自動車用の急速充電器など幅広く展開しています。
ニコン<7731>
日本光学工業として、設立当時は双眼鏡などの開発でスタートしました。現在では一眼レフカメラで世界有数の位置にあります。また、半導体や液晶製造用の露光装置や、医療分野でも高い技術力が活かされています。
森永乳業<2264>
日本練乳が前身です。先ごろ統合話が消えた森永製菓とはもともと同じ会社で、1949年に分離して設立されました。現在ではヨーグルト、チーズなど高シェアで採算の良い商品群に注力しています。なお、明治ホールディングスに統合前の明治乳業も、この年に極東練乳として創立されています。
TOTO<5332>
東洋陶器として発足。衛生陶器のシェアは約6割あります。日本で初めて水洗トイレを開発。前回の東京五輪(1964年)時にはホテル向けにユニットバスを納入しています。現在では洗浄便座「ウォシュレット」が海外でも普及し始めています。
キッコーマン <2801>
現在も本社がある千葉県・野田市で創業。東武アーバンパークライン(旧野田線)はしょうゆを運ぶために作られた電車です。しょうゆでシェア3割のトップメーカーですが、現在では海外売上高が5割超。1950年代から米国に「オールパーパス・シーズニング」(すべての食材に合う調味料)として売込みをかけたそうです。
このほか、横浜ゴム <5101> 、日本フエルト <3512> 、三菱製鋼 <5632> 、理研ビタミン <4526> 、ヤマシナ <5955> 、中野冷機 <6411> なども前身を含めて創業100周年を迎えます。