スキューバダイビング/ダイビングアイテムの選び方

ダイブコンピュータの選び方&使い方のコツ

ダイビングをするうえで、今やひとり1台が当たり前となっているダイブコンピュータ。でも、何のためにダイブコンピュータをつけるのか、よくわかっていない人も多いようです。せっかくの高機能のダイブコンピュータもそれでは宝の持ち腐れ。どんなダイブコンピュータを選べばいいのか、どんな点に気をつけて使えばいいのか、詳しく解説します。

鴫谷 隆

執筆者:鴫谷 隆

海洋環境問題・スキューバダイビングガイド

ダイブコンピュータはなぜ必要?

ダイブコンピュータとは「潜っている時間と深度から現在体内に溜まっている窒素の量を計算し、現在の水深にあと何分留まっていられるかを知らせてくれるコンピュータ」のこと。
ダイブコンピュータの選び方&使い方のコツ

ダイブコンピュータを使うことで、潜水時間や最大深度、現在の深度、現在の深度で留まっていられる時間、水温などを知ることができます

ダイバーが一般的に水中で呼吸するのは空気で、その組成は酸素21%+窒素78%+その他1%。空気は、呼吸を通じて体の各組織に吸収されますが、酸素がエネルギーとして消費されるのに対し、窒素は消費されることなく、吐く息を通してしか排出されません。そのため、ダイビングの深度が深くなるほど、また時間が長くなるほど、体内には多くの窒素が溜まってしまいます。

その状態のまま浮上すると、排出しきれなかった窒素が圧力の低下によって膨張して組織内で気泡化し、「減圧症」の原因となるのです。

そのために、ダイブコンピュータを利用して水深と時間をきちんと管理し、過剰な窒素を溜め込まないことが、安全にダイビングを楽しむうえで重要なポイント。そのほか、浮上スピードの警告や安全停止の指示など、ダイブコンピュータにはさまざまな機能が備わっているので、うまく使いこなすことで、より快適&安全にダイビングを楽しむことができます。


ダイブコンピュータのタイプをチェック!

ダイブコンピュータといえば、かつては大型で、最低限必要な機能だけ搭載されているものが多く、腕につける「リストタイプ」か、ゲージに組み込まれる「コンソールタイプ」が主流でした。

ダイブコンピュータの選び方&使い方のコツ

リストウォッチタイプのダイブコンピュータ。ソーラー充電システムを搭載したものも

しかし近年は、時計機能が充実したファッショナブルで小型の「リストウォッチタイプ」が人気で、ソーラー充電システムを搭載したものや、カラー液晶画面を搭載したものなど、ダイブコンピュータもさまざまに進化しています。レギュレーターのファーストステージにトランスミッター(データを電波で送信する装置)を付けることにより、タンクの残圧が表示できるものも。

各メーカーがさまざまな機種を開発していますが、「値段の高いものなら間違いない」と考えるのはNG。

どんなに素晴らしい機能がついていても、使いこなせないようでは意味がありません。インストラクターに相談するなどして、自分に合ったタイプを選ぶといいでしょう。


ダイブコンピュータを使う際の注意点

●取り扱い説明書をしっかり読む
ダイブコンピュータの機能を使いこなすために、取扱説明書はしっかりと読んでおきましょう。どんなに機能が充実していても、使い方がわからないようでは、まさに「宝の持ち腐れ」。減圧症を防ぎ、安全にダイビングを楽しむためにも、表示の意味を知り、操作方法をマスターしておくことが大切です。わかないことがあったら、インストラクターに相談を。

●バッテリーの残量を事前にチェック
ダイビング中にバッテリー切れにならないためにも、事前のチェックは忘れずに。バッテリーが切れると、一切のデータが表示されず、安全にダイビングが楽しめません。

バッテリーは、自分で交換できるタイプと、メーカーに依頼して交換してもらうタイプのほか、最近ではソーラー充電システムを搭載したものや、USBなどから充電できるものも。ほとんどの機種に電池残量確認機能がついているので、事前にしっかりと確認しておきましょう。

●ダイビング計画をきちんと立てる
いくらダイブコンピュータが水中での安全を管理してくれるとはいえ、あくまで理論上のこと。すべてをダイブコンピュータ任せにするのではなく、自分の体質や体調、海のコンディションに合わせて、きちんとしたダイビング計画を立てることが大切です。

「水中では最大水深から徐々に浅場に移動する」、「反復潜水の場合は最大水深を前のダイビングより浅くする」、「ダイビングの最後には安全停止」などの基本的なルールをしっかりと守ったうえで、ダイビングを楽しみましょう。

●警告ギリギリのダイビングはNG
ダイブコンピュータが許可したダイビングの範囲内でも、警告ギリギリのダイビングはNG。前述したように、ダイブコンピュータが安全と判断する基準はあくまでも理論的なもので、ダイバーひとりひとりの体調や海のコンディションを判断することはできないため、場合によっては安全な範囲を超えてしまっている可能性もあります。

グループ内で違うダイブコンピュータを持っている場合は、厳しいものを優先するなどして、余裕を持ったダイビングを心がけましょう。

●ダイブコンピュータは1人1台
「一緒に潜る人が持っていれば自分はなくてもいいのでは?」と考える人もいるようですが、潜水時間や深度をぴったり合わせることは不可能。ダイブコンピュータをつけていないダイバーは正確なデータが得られず、安全性に問題が出てしまいます。

また、レンタルのダイブコンピュータが用意されているところもありますが、以前に使用した人のデータが残っていると計算がズレてしまうのでおすすめできません。自分のものを購入して使用するようにしましょう。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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