独身女性から見えない「夫としての彼」

職場の男女

自分の知っている「彼」だけが彼ではありません。見えない背景にはたくさんの「人」や「想い」が関わっています


既婚男性と不倫の恋をし、周囲に責められ誰にも言えずに苦しんでいる女性から相談を受けることがあります。責められたところで恋愛感情をコントロールするのは難しいでしょうから、「少しでも目が覚めそうなお話」をしてみたいと思います。

壊れた夫婦と仲良し夫婦……どちらも経験している妻としての立場から、「恋は盲目状態」になっている不倫中の独身女性に伝えたいのは、残念ながら「関係が壊れていようと別れるのは困難」「既婚者の彼が魅力的なのは妻あってのこと」ということです。


「社会的に許されないか」ではなく「誰かを悲しませる」からダメ

筆者は元彼や前夫に浮気された経験があり、原則「不倫」反対派です。しかし、「不倫はダメ」と安易に説教するつもりはありません。関係のない外野が、「社会的に許されないこと」などと不倫カップルを批判する最近の風潮については疑問を感じます。

一夫一婦制は、明治時代に(他国の意向も組み込んで)定められた国の「制度」であり、人間の「感情」としては、そもそも無理があるのではないかと考えます。筆者自身もそうですが、自己肯定感のない二十歳そこそこの女性が、一生のパートナーを“間違いなく選ぶ”のは至難の技です。

とはいえ、「恋愛は3年で冷める説」が崩れるのは時間の問題かもしれません。筆者自身、交際9年(結婚して4年)の現在の夫に対しては恋愛感情が続いていますし、ディスカバリーチャンネルの「セックスアピールの科学」という番組で、熟年夫婦にも恋愛ホルモン(だったと思います)の反応が見られたと科学的に学者が検証しているのを観ました(再放送されたら詳細をレポートしたいと思います)。

横道に逸れたので話を戻します。「不倫」を批判していいのは、“裏切られて悲しい”妻(夫)と子どもだけです。「誰かを悲しませるからダメ」なのです。

仮面夫婦や不倫公認の夫婦など、配偶者に関しては「悲しませるとは限らない」パターンもあるのですが、子どもは被害者です。

恋愛相談を聞いている限り、別れなければと感じている独女も多く、それでも止められない魅力が「彼」にはあるのだと察します。

そこで、独女にはわかりにくい「既婚男性」というものを、あらためて客観視できるよう、お話ししたいと思います。


夫婦の絆は想像以上に堅い

ファミリー

彼の子ども、彼の両親、その結婚式に招待されたであろう親族……その人たち全員と戦う覚悟はありますか?

筆者は家庭内離婚状態の両親のもとで育ったので、「夫婦の絆なんてたいしたもんじゃない」と思っていましたし、既婚者に恋をしてハマりかけたこともあります。夫婦という関係を甘く見ていました。

既婚男性自身が無自覚であることもありますが、夫婦関係はそう簡単に解消できるものではありません。

子どもがいたり、それぞれの両親との絆もあるので、夫婦の関係とは一本の「線」ではなく「立体」なのです。運命共同体であり、責任をシェアしているのです。そこが恋人関係とは大きく異なる点です。

互いの仕事関係、御近所づきあい、子どもの幼稚園や学校、そして習い事、さまざまな人間関係が複雑に絡まりあっています。

現状、夫婦関係が冷めたように見えるものであれ、二人が求め合い傷つけあい支え合ってきた、彼らなりの何年ものストーリーが二人の間にはあり、そこに付随した登場人物がたくさん存在するわけです。

人間関係やストーリーが絡まりあった「夫婦関係」は、おもちゃのブロックのように境界線が明確なものではありません。シンプルに取り外したり、車のように簡単に乗り換えたりできるものではないのです。ミックスソフトクリームのようにチョコ(夫)とバニラ(妻)が絡まりあってくっついているものなのです。

奪おうとしているのは「彼」という単体ではないのです。簡単に別れられるなら、とっくに別れているはずです。


「妻の料理で作られた彼」と抱き合う

あなたの大好きな彼は、妻の作った料理を食べて、その生命を維持しています。大好きな彼の大きな背中も、セクシーな指先も、すべて、彼の妻が作ってくれているのです。
(極論ですが、わかりやすくするために妻が家事を担当していると仮定しています)

妻が洗濯して、干して、たたんだ……“妻の手にいっぱい触れられた衣類”を身にまとい、あなたと抱き合っているのです。

そして、家に帰るとまた、妻とともに「家」という空間をシェアし、妻と会話します。メールやLINEではなく、対面で話す1日の最後の相手は、やっぱり妻なのです。

彼がキラキラ輝いて見えるのは、妻の作った料理や、妻が世話しているさまざまなサポートのおかげ。いくら恋のベクトルがあなたに向いているとしても、やはり家族の一員としての彼を「お借りしている」だけなのです。あなたの会社に出向してきているようなものです。


裏切る人は、また裏切るもの

職場のチーム

男のスーツ姿って魅力的ですよね。でも、プライベートなファッションががっかり、なんてことが「頭を冷やす」きっかけになることもあるのですが……

もしも、純粋に「彼が離婚してくれて、その後、自分と幸せな結婚生活が送れるはず」と希望を持っているのなら、少し彼のことを俯瞰して考え直してみませんか?

彼は「妻のサポート」を裏切り「共同責任」を放棄しようとしている人。あなたと再婚しても、また別の女性と不倫する可能性は高いでしょう。不倫から始まって、幸せになれた夫婦もいるようですが、いずれにしても、まず、今の関係を清算すべきで、あなたに対しても妻に対しても無責任です。

会社を退職する目処が立っていないのに、あなたの会社に応募してきて「御社に魅力を感じます!」と平気で伝える社会人を、信用できますか? 採用したいと思えますか?


既婚者に惹かれる、魅力的に見える理由を考えてみる

恋愛感情はコントロール不能。こんな風に想像してみたところで冷静になれるものではないかもしれません。身を焦がすような恋を経験することがない人生より、経験したことのある人生のほうが心は豊かかもしれません。

でも、考えることから逃げずに、盲目的な「恋愛フィルター」を外そうとトライしてみるのも、「あなた自身を大切にする」という意味で、実は、とても大切なことかもしれませんよ。
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