法務省は、相続登記がされず放置状態となっている土地について初の実態調査を行い、平成29年6月6日にその結果を公表しました。相続により所有者が不明な土地は様々な問題の原因となってしまいます。もしかしたら自分がいつの間にかこの当事者になっているかもしれません。

発表された調査結果は?

所有者が分からない土地(以下:所有者不明土地)の実態は、全国の約10万筆の土地を抽出して調査されました。このうち50年以上登記がされず所有者の死亡などにより現在の所有者が分からなくなっている可能性がある土地は22%以上になり、今後も増える一方という見込みです。

土地の所有者が不明だとどんな問題が?

所有者不明土地には主に次のような問題が伴い、その影響はとても大きいと言えます。
  • 公共事業や復興が進まない。所有者の承諾なく勝手にその土地の利用はできません。計画地の一部に所有者不明土地があるだけで事業全体がストップしてしまいます。東日本大震災の復興事業が進まないのもこれが原因の一つになっています。
  • 空き家の取り壊しができない、荒れ地化。所有者不明土地は誰も入れないので荒れ放題になり、不法侵入や不法投棄の場所になってしまいます。自分の隣の土地が荒れ地だと防災や防犯の観点でも心配ですね。隣が荒れ地なら、もしかしたら所有者不明土地が原因かもしれません。
  • 所有者不明土地が相続財産に。名義人は既に死亡した先代の先代ということも少なくありません。それでも相続財産となれば遺産分割や相続税の対象になります。関係者が多いととても大変です。
  • 隣が所有者不明土地だと自分の土地が売れない。自分の土地は特に問題が無くても、売ろうとしたら隣が所有者不明土地だということが判明。敷地境がはっきりしないため自分の土地が売れないという事態になってしまいます。この自分の土地が相続財産だとすれば、売れない土地なのに相続税を払うといったことになりますし、売って相続税を支払うということもできなくなります

なぜ所有者が不明の土地になってしまうの?

所有者不明土地の原因は「相続登記をしていなかった」が大半です。登記は義務ではないため罰則もなく、また費用がかかるため相続登記をせずそのまま放置してある、ということが考えられます。特に山林の所有者不明土地の割合が高く、固定資産税がかからないから、資産価値が低いから実害が無い・興味が無いなどの理由も考えられます。そして長期間放置のうちに相続によって権利者が増えてゆき、塩漬け状態になってしまうことで所有者不明土地になってしまいます。

所有者不明の土地にしないためには?

一度この所有者不明土地になってしまうと取り返しがつきませんので、「相続登記」はできる時にやっておくことが大切です。場合によっては自分が既に所有者不明土地になる可能性の土地の権利者の一人かもしれませんので先代の土地が無いかなども調べてみましょう。権利者が更に増える前に、今なら何とかなるかもしれません。


相続登記をしないとまた別の問題も伴います。「相続登記をしなくても大丈夫?しなかった代償は大きい」も参考にしてみて下さい。所有者不明土地の問題は、その影響から様々なところで対応策が検討されています。登記の義務化、登記簿へのマイナンバー、公共事業目的なら同意が無くても利用権を設定できる、などの意見も検討されているようです。次の世代に迷惑をかけないよう「相続登記」はできる時に必ず行うことをお勧めします。


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