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相続登記がされず放置状態となっている土地が問題に
相続登記がされず放置状態となっている土地が大きな問題となっています。相続により所有者が不明な土地は様々な問題の原因となってしまいます。何代にもわたる相続で、もしかしたら自分がいつの間にかこの当事者になっているかもしれません。いつの間にか所有者不明の土地の所有者の一人になっている可能性が?
土地の所有者が不明だとどんな問題が?
所有者不明土地には主に次のような問題が伴い、その影響はとても大きいと言えます。- 公共事業や復興が進まない。所有者の承諾なく勝手にその土地の利用はできません。計画地の一部に所有者不明土地があるだけで事業全体がストップしてしまいます。
- 空き家の取り壊しができない、荒れ地化。所有者不明土地は誰も入れないので荒れ放題になり、不法侵入や不法投棄の場所になってしまいます。自分の隣の土地が荒れ地だと防災や防犯の観点でも心配ですね。隣が荒れ地なら、もしかしたら所有者不明土地が原因かもしれません。
- 所有者不明土地が相続財産に。名義人は既に死亡した先代の先代ということも少なくありません。それでも相続財産となれば遺産分割や相続税の対象になります。関係者が多いととても大変です。
- 隣が所有者不明土地だと自分の土地が売れない。自分の土地は特に問題が無くても、売ろうとしたら隣が所有者不明土地だということが判明。敷地境がはっきりしないため自分の土地が売れないという事態になってしまいます。この自分の土地が相続財産だとすれば、売れない土地なのに相続税を払うといったことになりますし、売って相続税を支払うということもできなくなります。
なぜ所有者が不明の土地になってしまうの?
所有者不明土地の原因は「相続登記をしていなかった」が大半です。登記は義務ではないため罰則もなく、また費用がかかるため相続登記をせずそのまま放置してある、ということが考えられます。特に山林の所有者不明土地の割合が高く、固定資産税がかからないから、資産価値が低いから実害が無い・興味が無いなどの理由も考えられます。そして長期間放置のうちに相続によって権利者が増えてゆき、塩漬け状態になってしまうことで所有者不明土地になってしまいます。2024年4月1日から相続登記が義務化される
所有者不明土地の是正のため、2024年4月1日から相続登記が義務化されます。相続登記を怠った場合は10万円以下の過料が科されますので、登記が可能なら今のうちに登記しておきましょう。所有者不明の土地にしないためには?
一度この所有者不明土地になってしまうと取り返しがつきませんので、「相続登記」はできる時にやっておくことが大切です。場合によっては自分が既に所有者不明土地になる可能性の土地の権利者の一人かもしれませんので先代の土地が無いかなども調べてみましょう。権利者が更に増える前に、今なら何とかなるかもしれません。※数次にわたる相続(例えば「死亡の祖父A→死亡の父B→自分C」)を経ても登記が放置されている土地を、2018年4月1日から2025年3月31日の間に相続登記した場合は、A→Bの部分の登録免許税が免除されます。また100万円以下の土地などの一定の条件を満たす場合は登録免許税が免除されます。
すでに所有者不明の土地になっている場合の通知
法務局は2018年より、長期間にわたり相続登記がされていない土地について、公共事業等の実施主体からの求めに応じて法定相続人を探索し、そのうちの1人に「長期間相続登記等がなされていないことの通知」を送付しています。また相続関係を一覧化した図「法定相続人情報」も無料で受け取ることができます。「長期間相続登記等がなされていないことの通知」が届きましたら、登記の専門家である司法書士に相談すると良いでしょう。相続登記をしないとまた別の問題も伴います。「相続登記をしなくても大丈夫?しなかった代償は大きい」も参考にしてみて下さい。所有者不明土地の問題はその影響から、「相続登記の義務化」や「長期間相続登記等がなされていないことの通知」などの対応策が実施されており、今後も更に対応策が検討されています。