家計の純金融資産額はGDPの約3倍
日本銀行が四半期毎に公表している資金循環統計によると、2017年3月末の家計の金融資産は2016年3月末と比較して2.7%増、金額ベースで47兆円増の1809兆円になりました。2四半期連続の1800兆円越えとなりましたが、2016年末の過去最高額1815兆円には6兆円およびませんでした。ただし、今回公表された金額は速報値。改定値次第では、過去最高額を更新するかもしれません。1809兆円はグロスの数字なので、ネット(純資産額)も記載しておきましょう。2017年3月末の家計の負債額は318兆円なので、1809兆円-318兆円=1491兆円がネットの数字になります。ざっくりいえば、わが国のGDPの3倍の純金融資産を家計が保有していることになります。
気になるのは、家計の負債額は17四半期(4年3ヵ月)連続して増加していること。負債のうち借入れは296兆円、このうち住宅関連の借入れが198兆円と過去最高を更新しています。不動産価格の上昇を背景にしていると考えられますが、収入が増えない中、身の丈にあった借入れであれば問題はありませんが、背伸びをした借入れだと将来に不安が残ることになりかねません。
現金・預金、投資信託の残高は過去最高に
家計の金融資産の内訳を見ていくことにしましょう。全体の51.5%を占める現金・預金が2016年3月末と比較すると2.3%増加。増加率は過去最高の伸びを記録しており、残高は932兆円となっています。現金・預金の増加は41四半期(10年3ヵ月)連続しており、定期預金と普通預金金利に差がないことから、普通預金などの流動性の高い資産が選ばれる状況が続いています。
株式等は、円安・株高の進行により評価額が上昇、1年前と比較して7.9%増の181兆円になっています。家計の金融資産に占める割合も10%になりました。国が貯蓄から投資へと御旗を振っていることから、10%以上を今後もキープし、また増加していくのか期待したいところです。
投資信託も株式等と同じく、円安・株高の進行により評価額は上昇、1年前と比較して7.2%増の99兆円となりました。100兆円には1兆円ほど届きませんでしたが、現金・預金同様、過去最高を更新しています。とはいえ、株式等と投資信託を合わせて280兆円。金融資産全体に対しては15%強に過ぎないため、貯蓄から投資は道半ばと言えるでしょう。
債券は再び対前年比でマイナスに
株式等、投資信託は、円安・株高を背景に1年前と比較して残高を大幅に増やしましたが、債券(債務証券)は唯一減少しています。1年前と比較して3.6%減の25兆円となっています。個人向け国債の金利(0.05%)は、メガバンクなどの定期預金の金利(0.01%)と比較すると5倍の金利が得られるのですが、その程度の差では現金・預金から債券などに資金を移動させなかったようです。短くても預入期間は3年というのが嫌われたのかもしれません。保険も増加率は1.8%と比較的高めの伸び率を示しています。金融資産全体に占める割合は20.2%で、残高は366兆円です。
家計では大した金額ではないのかもしれませんが、日本人全体にすると家計の金融資産はかなりの額になることがわかります。皆さんの家計の金融資産は、1年間で2.7%以上増えましたか?