株式戦略マル秘レポート/戸松信博の「海外投資、注目銘柄はここ!」

史上最短で時価総額50兆円達成のフェイスブック

フェイスブック(FB)が新規上場してから5周年を迎えました。時価総額は上場時の10兆円から5倍の50兆円となりましたが、史上最短で50兆円を到達した企業となります。今後の成長も期待大の注目成長株です。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

  • Comment Page Icon

新規上場してから5周年のフェイスブック

急拡大してきたフェイスブックの時価総額

急拡大してきたフェイスブックの時価総額

2012年5月にフェイスブック(FB)が新規上場してから5周年を迎えました。近年では2004年のグーグルに次いで印象的なIPOだったと思います。公開価格は38ドルで、翌月の上場で45ドルの初値にてデビューを飾り、初値時の時価総額は900億ドル、日本円で約10兆円となり、市場ではバブルとの声もあったのでしたが、現在50兆円になりました。デビュー時の時価総額も凄いものでしたが、5年でここまで伸びた事の方が驚異的です。

今月、もう一つ上場記念で話題となっているのが、快進撃を続けるアマゾン(AMZN)です。同社が上場したのは1997年5月15日 で、20周年を迎えました。アマゾンの公開価格は18ドルで、分割修正後の株価にして1.50ドルとなります。同社株価は間もなく1,000ドルに達しようとしており、20年で640倍になったことになります。アマゾンは2015年に、創業から22年目で売上10兆円(1,000億ドル)を超え、史上最速でこの大台到達企業となりました。

時価総額50兆円を断トツ史上最短で到達した企業

時価総額50兆円を断トツの史上最短で達成!

時価総額50兆円を断トツの史上最短で達成!

ただ、上場から5年当時のアマゾンは、まだ赤字を垂れ流す企業であり、株価もITバブルでつけたピークから10分の1ほどに暴落していました。それから比べると、フェイスブックの現時点での時価総額(ほぼ今のアマゾンと同じ規模)、売上、利益額には、どれも驚異的なスピード感があります。恐らくアマゾンの売上10兆円到達スピード記録を間もなくグーグルが上回り、さらにその数年後にフェイスブックが上回る事になるでしょう。フェイスブックの創業は2004年と、まだ13年しか経っていません。2年後には売上7兆円に達する見込みです。時価総額50兆円は、断トツ史上最短で到達した企業となります。

アマゾン、グーグル、フェイスブックともに、インターネット上での取引機会の拡大という一大潮流に乗って急成長してきた企業です。アマゾンはまさにインターネット通販の先駆けであり、昨今は「インターネットを使ってモノやサービスを売りたい企業」向けにコンピューティングシステムを貸す事業(クラウド事業)で伸びています。同じくグーグルとフェイスブックはそうした企業向けに広告を売って儲けています。こうしたネット企業の成長が如何に早く、大きな利益を生み出すか、という価値をこれら企業の膨大な時価総額は物語っています。

ユーザー20億人へ、マネタイズ化進む

売上、EPS共に急拡大!

売上、EPS共に急拡大!

フェイスブックの2017年1-3月期売上高は前年同期比+49%増の80.3億ドルでした。成長スピードは徐々に逓減していますが、依然として高い成長率です。市場予想平均は78.4億ドルで、同社は常に予想を数%上回って着地してきました。

各経費を引いたGAAPベース(株式報酬費用含む)の営業利益は+66%増の33.3億ドルで、41.4%という利益率になります。最終純利益は+76%増の30.6億ドル(Non-GAAPベースは38.1億ドル)で、こちらも事前の予想平均を+18.3%上回って着地しました。ただ株価はそれほど決算後に反応しておりません。

同社業績を支える膨大なユーザーベースですが、フェイスブックの月間アクティブユーザー数は+17%増えて19.4億人となりました。すでに20億人を突破している可能性もあります。上場時は9億人でした。

ここから入る広告収入が同社売上の殆どであり、15年終盤より同社はフェイスブック上にあるニュースフィードに流す広告表示回数を大きく増やし、その事で直近の広告収入増加に繋がってきました。ただし同社は、広告拡大から1年が経過し、今後は対前年比での成長ペースは鈍化すると警告しています。これは以前から言われていたことで、市場もある程度織り込んでいるのですが、広告数量増加ペースが当四半期に+32%増と確かに直前の+50%増超ペースからは下がってきました。これ以上広告表示回数を増やすと、ユーザーから利用を躊躇される恐れもあります。

しかし反対に限られた同社広告スペースに対する需要が高い事を反映し、eCPMと呼ばれる広告単価は+14%も上昇しています。価格上昇が数量増減速を補って高成長を続けています。また同社は60億ドルもの自社株買いを発表し、このうち第1四半期で2.28億ドルしか消化していないことも株価を下支えしています。3か月間に10億ドル近い株式を増刷して人件費に回している同社ですが、自社株買いにより希薄化を相殺します。

利益率水準は最高潮に

利益率水準は最高潮に

利益率水準は最高潮に

同社の年次推移を見ると、上場した12年に利益レベルが大きく下がり、一旦株価も下がったのでしたが、先行投資によって広告の仕組みを改良して以降、改善が続いています。利益率水準は最高潮に達しようとしています。

今後の成長を支えるユーザーベースは、欧米がほぼ飽和状態となって伸び鈍化しているものの、インドなどアジア新興国で大きく伸びています。約20億人の月間アクティブユーザーの3分の2が毎日利用しており、個人属性も掴んでいる同社の広告価値は他に類を見ない高いものと言えます。

新興国での広告単価は非常に現在のところ低いため、将来経済成長によってこれが同社成長の柱となって行くと期待されます。さらに上場後に買収したインスタグラムやWhats Appなど、フェイスブック以外の媒体が今後マネタイズ化されることによって、新たな成長要因となりえます。今年新規上場した写真動画共有アプリのスナップ(SNAP)の株価が低迷しているのは、インスタグラムとの競争脅威があります。

現在フェイスブックの広告主は500万社(前年より+100万増加)、インスタグラムも倍増して100万社と増えてきております。

バランスシートは巨大ながら内容は非常に健全で、自己資本比率は91%を超え、無借金です。健全なバランスシートを作っているのが潤沢なキャッシュフロー利益となります。
バランスシートは巨大ながら内容は非常に健全

バランスシートは巨大ながら内容は非常に健全

前述のように費用の多くが株式という実質ゼロ円で支払われ、あとサーバーなどに対する設備投資に数千億円単位でお金が掛かるものの、営業キャッシュフロー利益が2兆円に迫る中では、大幅なフリーキャッシュフローが生まれ続けます。無配当の同社は、莫大な純利益がどんどんと株主資本として積み上がり、余剰資金は自社株買いや新たな買収に使うことが可能です。世界20億人とその属性とともに繋がり、インターネット経由で取引拡大したい企業が増え続ける中、個人の趣味にあった広告を自動配信するシステムを持つ同社は、今後長らく世界最強のキャッシュ創造マシーンとなり続けるでしょう。
今後長らく世界最強のキャッシュ創造マシーンとなり続ける

今後長らく世界最強のキャッシュ創造マシーンとなり続ける!?

参考:米国株通信

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます