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お線香のあげ方のマナー、本数や消し方、宗派の違いは

何気なくやっている「お線香をあげる」行為にも、いろいろなマナーがあります。「お線香をあげる」意味や仏壇とお墓でのお線香のあげ方の違い、やりがちだけど実はNGなお線香のあげ方、宗派による違いなど、お線香にまつわる基本的なマナーについてご紹介します。

中山 みゆき

執筆者:中山 みゆき

冠婚葬祭ガイド

 

お線香のあげ方、何気なくやっていませんか?

お線香のあげ方のマナー

お線香のあげ方のマナー

私たちには普段からしている何気ない行為がたくさんあります。それが当たり前になっているのですから……ですが、なぜ? とふと疑問に思うこともたくさんあるでしょう。

その中で今回は「お線香をあげる」ことにまつわる疑問を調べてみました。ご参考までに!
 

<目次>

 

 

お線香とは?「お線香をあげる」意味や種類の違いは?

「線香をあげる」ことは故人を想い、真摯に向き合うこと。先祖を供養する風習が今も引き継がれています

「線香をあげる」ことは故人を想い、真摯に向き合うこと。先祖を供養する風習が今も引き継がれています

日常生活で当たり前のように仏壇に「お線香をあげる」。普段の生活習慣だから別に何の疑問もなく過ごしておられる方は多いでしょう。ですが、なぜあげるの?と、ふっと思われたことありませんか? その理由について、簡単にわかりやすく説明しましょう。

まず、お線香の香りは故人の食事。亡くなってから49日間は7日ごとに僧侶を呼んで読経をしてもらい、お線香をずっと途切れなくたきます。仏の世界に旅立つまで、その香りは故人がお腹を空かせないようにと食べ物となるのです。

次に「人間という生き物は人生を送っていくうちにいつのまにか汚れてしまっている」と考えがあります。そのため、仏様の前でお線香をたく事でその煙が自身やその場を清められるというのです。

そして三つ目はお線香の煙で仏様と話ができるのです。つまりその煙は「あの世」と「この世」を繋げてくれる大事なツールなのです。

■お線香の種類
【匂い線香】一般的に家庭やお寺で使われています。その原料は椨(たぶ)の木の樹皮の粉末を基に、さまざまな香木や香料を調合して作られます。また炭を原料にした煙が少なく、匂いも気にならない線香が最近のトレンド。

【杉線香】その字のごとく、杉の葉を粉末にして作られた線香で、杉独特の香りがします。一般的にお墓参りに使われています。
 

お線香をあげるときの基本的なマナー…仏壇の場合・お墓の場合

線香を立てる?寝かせる?焼香回数は宗派によって違ってきます。迷ったら自分の家の宗派でOK。

線香を立てる?寝かせる?焼香回数は宗派によって違ってきます。迷ったら自分の家の宗派でOK。

お線香をあげる時の正しい流れを知っておくことは、大人として最低限のマナーのひとつです。ぜひこの機会に覚えておくとよいでしょう。案外お線香をあげる機会は多いものです。

■仏壇であげる場合
1.数珠を左手で持ち、焼香台の前で遺影と位牌に向かって一礼、そして合掌。

2.線香の火はロウソクでつけ香炉に立てます。ロウソクの本数は1本が一般的。2~3本の場合もありますが、そのときは、1本ずつ離して立てます。宗派によっては、線香は立てずに香炉の大きさに合わせて2、3本に折って寝かせてたく場合もあります。

3.線香を立てたら合掌。遺族に一礼して戻ります。
※お鐘(りん)はお経の始まりの合図で、お焼香では鳴らしません。

■お墓であげる場合
1.墓石に打ち水をし、花立に生花を添えて、水鉢に新しい水を注ぎます。そして故人の好物だった菓子・果物などをお供えし、ろうそくとお線香を手向けます。火をつけたろうそくを少し傾けて地面にたらし、そこにろうそくを立てると安定します。ろうそくの火でお線香をつけるとよいでしょう。
※半紙や懐紙をお皿代わりにお供えを置くとよいでしょう。

2.合掌礼拝の前に水桶からひしゃくで水をすくって、墓石にかけます。この時に墓石の下のほうに気持ち程度に水をかける方がいますが、たっぷり墓石の上から水をかけて下さい。

仏教の教えでは、死後の世界の1つに「餓鬼道」があり、福徳を失った生類が落とされる世界とされているようです。なかなか水が飲めない餓鬼が、唯一お墓にかけたお水だけが飲めます。その餓鬼をあわれんで、お水を与えようと言うところから墓石に水をかける習慣の始まりだそうです。
 

お線香をあげる際のやりがちだけど、じつはNGなこと

お線香をあげる際にも正しい作法があります。ついやってしまいがちな行為ですが、ふだんから気をつけて最低限のマナーは覚えておいてください。

■お線香をあげる際のNG行為
・線香は息を吹きかけて消さないように。お線香を持つ逆の手であおぎ消すか、すっと引いて消すようにします。

・直接お線香に火をつけない。ろうそくに火をつけてからお線香に火をつけます。なお、ライターや着火マンを使用するのはOKですが、手間を省こうと直接お線香につけるのはNG。必ずろうそくに火をつけてからに、を心掛けましょう。

・浄土真宗本願寺派ではお線香をあげる時、お鐘(りん)は鳴らしません。なぜなら読経する時にだけ使うからです。しかし宗派よってはOKな場合もあるので、迷ったら時は鳴らしておくと間違いありませんね。
 

宗派によるお線香のあげ方の違い

焼香の回数や線香の本数などは宗派によって変わってきます。もし焼香の仕方がわからなかったら、仏式の場合はご自分の宗派の焼香回数だけご焼香されればよいのです。必ず覚えておかなくても大丈夫です。

■宗派によるお線香のあげ方
・浄土真宗本願寺派(西)
1本をふたつに折り、香炉の中に横にねかせて置く。焼香回数は1回。

・浄土真宗大谷派(東)
1本を火をつけないで折って供える。焼香回数は2回。

・浄土宗、曹洞宗、臨済宗
香炉の真ん中に1本立てる。焼香回数はとくにこだわらないが、曹洞宗は一般的に2回。

・日蓮正宗
折って上に置く。焼香回数は1~3回。

・天台宗、真言宗
3本(高炉の中に座る方に1本、仏壇の方に2本立てる。逆三角形。)焼香回数は1~3回。
 

お線香の使用期限、保管、お香との違いは?お線香に関する疑問

知らないと損をするお役立ち情報。覚えておいて損はありませんよ。

■お線香とお香って違うの?
基本的に同じものですが、お香は香りを嗅いで楽しみます。季節や体調によって種類を変えたりしてリラックスできますね。最近はアロマのお香も人気です。

一方、お線香はだいたい仏事に使われます。その香りや煙は自身やその場を清める意味合いがありますので、香りを楽しむものではありません。

■お線香の保管や使用期限ってあるの?
一般的に使用期限は記入していません。使う環境によって香りは変化するものなのです。重要なのは保管する場所。熱に弱いので、直射日光はNG。日陰になる場所で保管するのがベストです。

また湿気によりカビの発生や香りが劣化しますので、水回りにも注意しましょう。


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