今から老後の準備は遅過ぎますが、いい方法はありますか?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、母子家庭ながらお子さんを大学まで通わせた50代の女性会社員の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

 
貯金は子どもの教育費に使い果たしてしまった

貯金は子どもの教育費に使い果たしてしまった



■相談者
猫娘さん(仮名)
女性/会社員/50歳
北海道/賃貸住宅

■家族構成
一人暮らし

■相談内容
母子家庭で子どもには小さいころから、教育費をかけてきました。現在大学生で子どもは離れて住んでいます。貯金はほとんど子どもに使い果たしました(高校までで1000万円)。これから子どもの奨学金も親子で返済していきます。他にも教育ローン等借金があります。老後の積立を考えるには遅すぎますが、何か貯金の方法は無いのか?と模索しておりますが、なかなかこれというものに辿りつきません。母子家庭の現実ですが、何か少しでもアドバイスいただければと思います。また、家計簿をつけたいと思っても、いつも挫折(面倒になってしまう、支出が多いと付けるのが嫌になる)してしまいます。いい方法はありますか?よろしくお願いいたします。

■家計収支データ
「猫娘」さんの家計収支データ

「猫娘」さんの家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)定年と退職金、年金について
勤務先は60歳定年だが、その後も5年間雇用延長の制度あり。退職金はおそらく200万円程度。公的年金はねんきん定期便では月12万円。

(2)奨学金について
奨学金は毎月12万円(利息あり)×4年間、借り入れている。卒業後、親子で半々で返済。その他の教育ローンは、市から70万円(すでに返済途中。2年目。5年で毎月1万円返済)と国の教育ローンで200万円。こちらは相談者のみが返済。他に大学入学の準備の費用として50万円をキャッシング(リボ払い)しているとのこと。

(3)子どもの教育費について
大学にかかる費用(学費)はすでに子どもに渡し済み。

(4)ボーナスの使いみちについて
今年の予定として、車検=13万円、自動車税=4万5000円、寮の更新料=10万円、残りは生活費の補てんと貯蓄を考えている。

(5)通信費について
携帯3台(自分、子ども、母親)、プロバイダー料金、タブレット端末2台

(6)加入保険の保険料の内訳(相談者が把握している範囲)
・親子/医療保険=保険料1万5000円
・本人/共済=保険料5000円
・本人/がん保険=保険料7000円
・子ども/がん保険=保険料1万6000円(年払い)
・・・・・・
・子ども/学資保険(払込終了、23歳満期、満期金100万円)=払込終了
・本人/養老保険(H31年満期、満期金300万円)=払込終了

(7)住まいについて
現在の賃貸は子どもが卒業後に帰ってきて同居した場合、子どもに収入があれば出なくてはならない。

(8)実家について
戻る、もしくは相続の対象となる実家はないとのこと。

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 最優先は「貯蓄ゼロ」からの脱却
アドバイス2 学資保険と養老保険が大きなポイント
アドバイス3 しっかり家計管理すれば老後資金は準備可能
 

アドバイス1 最優先は「貯蓄ゼロ」からの脱却

現在の家計においての最優先事項は、貯蓄がないことからの脱却となります。今までいろいろご苦労があった結果こうなってしまったわけですが、この状況から脱することは急務です。何かあったら、また借り入れをすることになるからです。

すでに、国の教育ローンが200万円、市の教育ローンが70万円、キャッシングが50万円、これに奨学金が12万円×48カ月で576万円(元金のみ)ですから、トータルで約900万円。これ以上借り入れが増えることは避けなくてはなりません。

そのためには、毎月の支出を抑える必要がありますが、その費目として、もっとも効果的なのものが保険です。親子で加入されている医療保険は不要。お子さんのがん保険も同様です。ともに、優先順位を考えれば解約して、浮いた保険料は貯蓄に回すべき。これで年間19万6000円が貯蓄に回ります。

あと、月の車両費のうち、6500円が自動車保険とのこと。年間で7万8000円はかなりの高額です。割高となる車両保険に加入されているなら、その分の保障は不要だと思います。対人、対物等の基本的な保障だけなら、等級にもよりますがおそらく半分以下のコストで済むはずです。

ボーナスはどうでしょう。現在の収支ですが、猫娘さんの収入は手取りで310万円。対して支出は、月22万3500円(もうすぐ完済の留袖ローンの支払いは完済として試算)×12カ月で268万円。差し引き42万円のプラスとなり、ここからクルマの維持費等を差し引くと、その年にもよるでしょうが10万~20万円は貯蓄に回せるのではないでしょうか。

今は家計的にもっとも苦しい時期ですが、それでも、ここまで家計を見直せば、再来年3月のお子さん卒業までに70万~80万円は貯蓄が可能となります。
 

アドバイス2 学資保険と養老保険が大きなポイント

お子さんは卒業後、そのまま就職するとすれば、現在支払っている寮の家賃と水道光熱費、スマホやタブレットのコストが不要になります(お子さんが自分の収入から支払う)から、これだけで月額7万5000円程度は毎月の負担が減り、貯蓄ペースもグッと上がります。

同時に、国の教育ローンと奨学金の返済が始まりますが、ともに返済期間を最長(教育ローン18年、奨学金20年)にすると、猫娘さんの返済分は月額2万7000円ほど。さらにお子さんと同居することになり、生活費が増えたとしても(家賃アップ等)、卒業前より毎月3~4万円貯蓄額が増やせるでしょう。

結果、定年となる60歳までに、50万円のキャッシングや市の教育ローンの返済を考慮しても、600万~700万円は貯蓄できることになります。これに退職金200万円を加算した額が、とりあえず老後資金となります。

また、猫娘さんのマネープランにとって大きなプラスとなるのが、満期金の合計400万円となる学資保険と養老保険。最長で組めば70歳まで続くことになる国の教育ローンと奨学金の返済を、繰上返済することが可能となるからです。仮に、60歳のときに残債を全額返済しても200万円近くは手元に残るはずです。
おそらく、今後大きな支出としてクルマの買い替えが予想されますが、それも残った資金から捻出できるでしょう。
 

アドバイス3 しっかり家計管理すれば老後資金は準備可能

60歳以降の生活費はどのくらいでしょうか。現在の生活と同レベルとすると12万円程度。65歳まで働けるとのことですから、その給与額はわからないものの、おそらく貯蓄=老後資金を取り崩さない生活が可能だと考えられます。

また、65歳以降、収入が年金だけになったとしても、老齢厚生年金が月額12万円なので、ほぼ生活費がカバーできます。老後資金は800万~900万円。このうち300万円を予備費(長生きリスクや介護、病気にかかるコスト)とすれば、残りの資金は生活費に組み込むことができますから、元気なうちは年に何回か旅行に行くことも可能でしょう。

もちろん、ここまで示した数字はあくまで試算に過ぎません。予定どおりにいかない月もあるでしょう。それでも元気に働くことができ、家計管理を意識した生活を送れば、まとまった老後資金が準備できます。今からでも遅過ぎることはないのです。

気になるのは、これまでの借り入れ。母親一人でお子さんを大学卒業まで育て上げるために必要だったことは確かです。一方、そのことで借り入れに抵抗がなくなってしまうとすれば、それは危険です。今後、何かで資金が必要になった際、安易に借り入れを選択しないようにすべき。とくに卒業後、家計に余裕が出る頃は注意が必要でしょう。

また、今後は計画的に貯めていく必要があるので、貯蓄は給与天引きや口座振替えによる定期預金等の利用をおすすめします。

さらに、ご相談にもあるように、家計簿は効果的なツールですので、頑張って付けたいところです。これまで、面倒だったり、赤字が判明するのが嫌で続かなかったとのことですが、大事なのは家計全体のお金の流れをつかんでおくこと。キッチリ付けなくても、例えばメモ書きでざっとその月の支出を書き出し、予算どおりに管理されているかチェックできれば、それだけでもいいと思います。

スマホの家計簿アプリを利用してもいいでしょう。細かい金額よりも、今月の支出額は全体でどの程度か、知らず知らずに支出していないか(使途不明金の有無)、それらを確認するだけでも違います。自分に合った方法で試してみて下さい。
 

相談者「猫娘」さんより寄せられた感想

保険についてもう少し見直しを行い、出来るだけ貯蓄に回せるよう見直しをしていきます。家計簿についてもアバウトでもつけていければとのことで、アバウトでもいいんだ。と心が軽くなります。性格上きっちりと、といつも思っていましたが、アバウトでも再挑戦してみます。老後まで後10年しっかり見直して貯蓄できたらと思います。満期保険をかけていてよかったと思います。お忙しい中本当に心強い言葉を頂いて有り難うございます。こちらをコピーして家計簿に貼っておき、参考にしながら貯蓄に励んでいきます。本当に有り難うございました。


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ



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