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高視聴率の昼ドラ『やすらぎの郷』が”当たった”ワケ

テレビ朝日の昼ドラ『やすらぎの郷』が好調。その理由はテレビ業界でよく言われる「柳の下のドジョウ」がいたから? 高視聴率の要因を探ります。そしてテレビマンのユートピアとして描かれていますが、果たして倉本聰脚本はそんな甘いものでしょうか。今後の展開を予測してみました。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

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昼ドラ『やすらぎの郷』が高視聴率を記録

やすらぎの郷

やすらぎの郷 画像は公式サイトより引用

テレビ朝日の『やすらぎの郷』が好調です。第一週の平均視聴率は7%台で『ヒルナンデス』『ひるおび』『バイキング』といった他局の情報バラエティ番組を上回る数字。その要因はテレビへの批判を込めた巨匠・倉本聰渾身の脚本や豪華ベテラン俳優陣の出演などありますが、昼の帯ドラマを新設するという判断が当たったことも大きいでしょう。

「柳の下のドジョウ」で成功か

『やすらぎの郷』放送時間は月~金の12:30~12:50。またBS朝日での再放送が7:40~8:00。これはNHKの連続テレビ小説、朝ドラの本放送がNHK総合で8:00~8:15、BSプレミアムで7:30~7:45、総合での再放送が12:45~13:00というのと本放送・再放送が逆ながら重なります。

高年齢層を中心に内容によっては若者まで巻き込んで好調な朝ドラ。テレビ業界では昔から「柳の下のドジョウは三匹までいる」といわれています。同じような企画は三つまで当たる、という意味。だから朝ドラと同じような時間でドラマが成功する可能性はあったわけです。

昭和の頃にも、朝ドラのライバルドラマをTBSが制作していました。1968~1986年、本放送が12:40~13:00、再放送が8:10~8:30だった「ポーラテレビ小説」です。ヒロインは新人オーディションで選び、内容は一代記もの中心で朝ドラとほぼおなじ。新宿中村屋創業者・相馬黒光がモデルの『パンとあこがれ』やシーボルト事件で知られるフォン・シーボルトと日本人妻との間の子で、医者を目指した楠本いねが主人公の『オランダおいね』など最近の朝ドラにしてもおかしくないような作品を生み出しています。出身女優も名取裕子、樋口可南子、賀来千香子、他多数輩出。

ただ1983年、ドラマ史上最高視聴率の『おしん』に圧倒されてTBS版テレビ小説は勢いを失います。また朝ドラも90年代以降、時代にあわなくなり長期低落傾向が続いていました。しかし8時スタートに変更した『ゲゲゲの女房』以降に復活。だから二匹目のドジョウを狙う余地が再び生まれ、テレビ朝日はそれに成功しました。「ドジョウは三匹までいる」んだから、あと一つ成功する可能性があり、他局が検討しているというウワサもあります。


豪華女優陣に対して…

画像は公式サイトより

画像は公式サイトより引用

好評の『やすらぎの郷』ですが、見ていて不満もあります。女優陣の豪華さに比べて男優の方がそれに及びません。主演の石坂浩二とのバランスを考えてでしょうか。

放送前から発表されているキャストではこれを書いている時点ではまだ藤竜也が登場していません。また追加キャストとして織本順吉、上條恒彦、きたろう、佐々木すみ江、品川徹、柴俊夫、毒蝮三太夫、布施博、村田雄浩。ゲストとして片岡鶴太郎、上川隆也、神木隆之介、清野菜名、津川雅彦、冨士眞奈美、向井理が発表になりました。それでも特別出演的にもう一枚ほしいところ。希望としてはテレビ朝日でおなじみなところで渡哲也か田村正和。

渡哲也は倉本聰と関係深く、大河ドラマ『勝海舟』で主演していましたが病気降板。脚本の倉本聰もNHKとトラブって降板。その後、『西部警察』の前身的な『大都会 闘いの日々』や大河ドラマと同時間帯放送の『浮浪雲』などで主演・脚本の関係。対して田村正和は主演として倉本聰ドラマに出たことはありませんのでこの組み合わせも見たいところ。二人とも健康面での不安があるのでむずかしいでしょうが。

理想郷であり続けるのか? 終盤の展開を予測

テレビに功績があった人を無料で受け入れる老人ホーム「やすらぎの郷」はテレビ局員を除くテレビ関係者にはユートピア的。しかし倉本聰、そんな夢のような展開を最後まで続けるような脚本家でしょうか? こんな設定『世にも奇妙な物語』だったらとんでもない裏があるパターン。裏はないにしても「人生の終わりが近いとはいえ戦うことを忘れてはいけない」というメッセージに変わる可能性はあります。

菊村栄(石坂浩二)に老優たちは「自分のために脚本を書いてくれ」といっているので、なにかのキッカケに最後には書くんではないでしょうか。キッカケとして考えられるのは主要キャストの誰かの死。

倉本聰脚本はよく人の死を描きます。『北の国から』最初のシリーズでも正吉の祖父・笠松杵次(大友柳太朗)と母(いしだあゆみ)が死にます。またテレビ朝日、1990年の『川は泣いている』は病院と葬儀屋が舞台で、もろに生と死がテーマ。老人ホームが舞台の『やすらぎの郷』、誰も死なないはずがありません。

しかし老優たちのために脚本を書いても、過去の人だとテレビドラマ企画としては採用されず。そこで「やすらぎの郷」を舞台に実際に演じて、事件としてテレビ中継されることを狙う……というような終盤の展開を予想しておきます。

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