門外不出の技術力が他社を圧倒する強さの根源
アリアケの調味料は日本の食事情にかかせない存在に!あなたも知らない間に食べているハズ!
同社の強みは不可能とされていた天然調味料の製造を完全自動化し、コスト競争力だけではなく高い品質も実現したことです。天然素材にこだわる同社の調味料は抽出に大きな人的・時間的コストが掛かっていました。過酷な労働を伴うエキス抽出作業は受注に追いつかなくなっていました。
天然エキスの抽出というのは「ライン化」できても完全自動化は不可能とされていて、他のメーカーでは材料投入と釜上げ、骨等の残りカスの処理は人の手によって行っているのです。このような自動化が不可能とされた天然エキスの抽出でしたが、ついに同社は1998年当時売上の90%になる100億円をかけて大規模工場の自動化建設に踏み切りました。その技術を始め製造装置までもが門外不出とのことで、他社を圧倒する強さの根源になっているのだと思います。
スケールメリットで競争優位性
既に規模的に同社はスケールメリットを得ており、高品質な製品を安く作る競争優位性を確立した企業と言えます。なお、同社は日本以外にも、ベルギー、オランダ、フランス、中国、インドネシア、台湾、米国での、(日本を含め)世界8カ国で工場を持っていますが、国内では実現できない良質で安価な原材料の調達が可能な体制を構築しています。
1995年には「カレー戦争」と呼ばれるカレーブームが起こり、カレールーのシェア争いが繰り広げられました。江崎グリコは「熟カレー」を売り出しシェアは3%から13%まで拡大し、これに続きハウス食品は「こくまろ」で対抗し大ヒットとなりました。両方とも同社の調味料が使われています。このような大手の生産に対応することができる生産体制であることも、業界トップを走る理由だと考えられます。
ちなみに同社はコンビニのおでんやプライベートブランド製品のハンバーグ・スープ・シチューなどにも調味料提供をしています。ラーメンチェーン店など外食向け、コンビニなど中食向け、カレールーなど加工食品向けにも展開し、同社の調味料が日本の外食産業を支えてきたとも言えます。
海外市場の拡大で再成長期を迎えている
国内で圧倒的存在を誇る同社ですが、2000年に入ると、開拓余地を求めて海外進出に踏み切りました。国内食品市場は成熟化し、さらに少子化・人口減少により市場は縮小傾向にあります。一方、世界に目を向けると人口は増加傾向にあり、新興国の食糧需要が増大しています。このような事情で、成熟化した国内ではディフェンシブ銘柄とされる食品メーカーも、海外展開を進めることによって再び成長ステージに立つことができます。
同社は2000年にすでに海外へ向けてアクションを起こしていたものの、知名度の低さと価値浸透に時間がかかり赤字が続いていました。それがついに2014年3月期には黒字転換となり、その後弾みがついて売上は順調に拡大しています。
17年3月期第3四半期の業績は売上が2.5%増の353億8700万円、営業利益が17.3%増の77億900万円、純利益が19.7%増の54億300万円です。
国内と海外の業績伸び率を見ると、国内は売上が3.6%増の271億円、営業利益が11.3%増の57億2000万円と堅調な伸び。一方、海外は売上は1.0%減の82億9000万円となったものの、営業利益は39.2%増の19億9000万円と大幅増益に。
31年3月期の売上計画は日本が405億円、米国が67億円、アジア(中国+台湾)が74億円、欧州が54億円を目標としています。つまり、海外売上のウェイトが大きくなりつつあり、再成長期を迎えている所と思います。
なお、17年3月期通期の業績目標は売上が7.9%増の500億6100万円、営業利益が9.3%増の96億5400万円、純利益が11.0%増の65億9200万円となっていますが、第3四半期と比較して売上は1.45倍となる見通しですが、営業利益は1.25倍としかならない計画になっており、利益面で上方修正の余地があると思います。
なお、計画達成時の予想PERは34.5倍。自己資本比率は84.3%、有利子負債は少なく実質無借金と財務内容も良好です。
参考:日本株通信
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