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米オバマケア代替法案を取り下げは日経平均にプラス

トランプ大統領就任後で初の大型法案となるオバマケア(医療保険制度改革)代替法案は3月24日(金)に断念されることが決まりました。ニュースではこれを懸念する声も聞こえますが、いつもの事で心配無用と思います。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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米オバマケア代替法案を取り下げは日経平均にプラス!?

オバマケア代替法案を撤回した事はグッドニュース!?

オバマケア代替法案を撤回した事はグッドニュース!?

トランプ大統領就任後で初の大型法案となるオバマケア(医療保険制度改革)代替法案は3月24日(金)に断念されることが決まりました。ここで、3月24日(金)の米国株の日中足を見ると、前半はこの日も出た好調な経済指標を好感して高く始まっていました。しかし前日にオバマケア(医療保険制度改革)代替法案が見送られたことを懸念し、株価は徐々にマイナス域へと下げて行きました。ところが、ライアン下院議長が正式に法案を断念すると告げると、終了直前に株価は急上昇し、ドル円相場も一気に円安へと反転しました。

結局、疑念や懸念によって下げは出るものの、大した下げにはならず、むしろオバマケア撤廃を断念したことで、より投資家にとって重要な減税とインフラ投資の方に時間を割くことができ、これが好感されているものと思います。もしくは噂で売っていた筋が、事実で買い戻す程度の材料に過ぎないと思います。もしもこれが真の売り材料であれば、買い戻しなどせずに徹底的に今後も売って行けば良いのですが、株価を見る限り、それはできないという様子です。市場を揺さぶったものの、大して下がらず、慌てて買い戻さざるを得ないという程度のものでしょう。メディアからは、これでトランプ政権に対する求心力が落ちた、政権に打撃、という論調も出ていますが、いつもの事で心配無用と思います。

長期的な株高、長期金利の上昇の流れは変わらない

短期的な市場の流れを見ると、株安に加え、ドル安、長期金利の下落、そして原油価格が下がっている事から物価の見通しも少し前より低下しています。長期金利の先高観を反映してきた銀行株も今週は50日線を割り込み、大きく下がりました。そして金価格は2週続伸ともなっています。株式もディフェンシブ優勢という具合です。

ただこれらは一時的な巻き戻しであり、長期的な目線では全て逆方向へと向かっています。トランプ大統領当選前の2016年夏頃より始まっている株高、長期金利の上昇の流れは、せいぜい50日線、最大でも200日線までの調整に終わり、その後は高値を更新していく流れに戻るでしょう。

逆に言えば、オバマケア代替法案を撤回した事はグッドニュースとも言えます。早々に廃案としたことで、次のステップ(より重要な減税とインフラ投資)に向かえるからです。どのみち、下院で無理をして、僅差でこの法案を通過させたとしても、民主党を僅かに越す議員数に過ぎない上院では否決されるに決まっており、時間の無駄に終わると判断したのでしょう。無理なものはさっさと諦め、共和党の真骨頂である減税に集中した方が得策です。

政治や中央銀行は決して相場を潰すようなことはしない

そもそも政治や中央銀行は、株価にプラスになることはしても、決して相場を潰すようなことはしません。何故なら、日本を除く先進諸国では、国民の老後は完全に株式市場とともにあるからです。1980年代以降の欧米・豪州では、毎年所得の一定割合を確定拠出型年金に積立て、それを優先的に株式で運用することで老後は安泰となる社会的仕組みが確立されてきました。株価が暴落したり、長期に下落すれば、安定した老後プランも吹き飛んでしまいます。暴動が起きて政権など簡単に吹っ飛んでしまうでしょう。このため株価の安定上昇は最優先政策事項であり、またお互いの国土と株価を破滅させるような戦争は常に避けられる仕組みでもあるのです。株価と老後が安泰である限り、医療の皆保険制度(オバマケア)も必要ないというのが今回廃案を模索した意図でした。

過去にも南欧の債務危機、ギリシャ問題、米国の財政の崖問題、ブレグジット問題など、政治が相場を揺さぶり、一時的に株価も下がったことはありました。しかし政治が相場を潰したことは一度もなく、すぐに救済策が出て相場を助けてきました。政治と国民の老後は株式市場と密接にリンクし、運命共同体であるからです。

ちなみに株価と人生がリンクしていない日本は、唯一30年近くも前が、株価の最高値となっている国であり、穴埋めとして巨額の公的債務を積み上げるしかない構図です。株価が上がって年金が増える仕組みであるなら社会保障費用も少なくて済みます。
オバマケア代替法案を撤回決定の3月24日(金)のラスト数十分の反騰

オバマケア代替法案を撤回決定の3月24日(金)のラスト数十分の反騰

今回の一件でも、今後トランプ政権に対する疑念はつきまとうことになりますが、長期的に考えれば、減税とインフラ投資政策が法案としてまとまり、株価は上昇していく事になると思います。オバマケア撤廃に続き、もし減税やインフラ投資もまとまらないとなれば、昨年から急騰してきた株式市場は暴落し、共和党も2018年の中間選挙を乗り切ることなどできませんので、何としても避けられるはずです。逆に言えば、より困難な後者をまとめ、選挙を乗り切るには、オバマケア撤廃案を早い段階で切り捨てる必要あったのだと思います。法案を上院にすら回さなかった共和党は賢明と思われ、それが3月24日(金)のラスト数十分の反騰の影にあったと思います。

参考:米国株通信

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