肩の痛みに注意! 40~60代で好発する「肩関節周囲炎」
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腕の動く範囲は広いので、痛みで動かせなくなると困ってしまいます
この肩の痛み原因として考えられるのは、肩関節部分の炎症です。中でも、40歳から60歳代で、かつ、下記の3つの条件を満たしている場合には、「肩関節周囲炎」の可能性が高いと思われます。肩関節周囲炎は、別名「四十肩・五十肩」と呼ばれています。
□ 中高年で、はっきりした原因は分からないが肩関節の痛みと動きの制限が起きている
□ 肩の痛みが起こる疾患を病院の検査で除外された
□ 日が経過すると自然と痛みが和らいでくる
このような痛みや制限は、生活上の不便さだけではなく、気分の落ち込みや意欲低下に繋がるケースも多いのです。
四十肩・五十肩の痛みの強さは? 症状と経過
四十肩・五十肩と聞くと「腕が挙がらなくなるやつだね」と言う人が多いですが、症状はそんなに軽いものではありません。肩関節周囲炎は症状の経過が特徴的で、痛みでじっとしていることができないほど、激痛を伴う期間があります。自然経過は急性期、拘縮期、寛解期の3つに分けられます。1. 急性期……一番辛いのは、最初に訪れる急性期。特に腕を内側へねじる動作が痛みますが、「どの方向も痛い!」という声が多いです。
2. 拘縮期……拘縮期は「痛みが少しマシになってきたかも?」と思う時期。これ以上動かすと痛むという加減が掴めてくるので、痛まない範囲でなら腕を動かせるようになります。
3. 寛解期 ……「最初の痛みよりだいぶ良い」と少しホっとする時期です。動かせる範囲も増して全体的に改善がみられてきます。
四十肩・五十肩を放置してはいけない理由
3つの経過を見ていくと、「自然と治るならそれほど気にしなくて良いのでは?」と思うかもしれません。しかし、四十肩・五十肩を甘く見てはいけません。その理由は以下の通りです。- 急性期は、ものすごく痛くて苦痛であるため(個人差はありますが)
- 肩の痛みと腕の可動範囲が減少している間に、姿勢バランスの乱れ(体の歪み)や肩こり・背部痛などが表れることがあるため
- 肩関節に起きた炎症が治まった後、だらだらと不快な痛みが続いたり、スムーズな身のこなしが難しくなることがあるため
- 忘れた頃に再び肩関節の炎症が起こる場合があり、症状を繰り返す恐れがあるため
四十肩・五十肩リスクのセルフチェック法
四十肩・五十肩にならないためには、普段から肩関節への負担を軽減させるよう意識することが必要です。まずは、肩関節への負担が強まる姿勢や動きを下記の項目で確認してみましょう。1. 顎が前に突き出ている
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顎が突き出た姿勢はパソコンを常用している人に多いです
2. 背中で手がつなげない
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「前はついたのに!」といつの間にか動く範囲が狭くなっていることに気付きます
3. 腕を動かすとギシギシする
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スムーズに腕が回せるかどうか、左右差があらわれる場合もあります
3つの中の項目で当てはまるものがあれば、早速エクササイズを始てみましょう。
四十肩・五十肩の3つの予防エクササイズ
■ステップ1:腕の緊張をほぐす肩関節とは離れている腕の筋肉も大切なポイントです。二次的に肩関節へ負担をかけている腕の筋肉をほぐすことで、姿勢のバランスも整えやすくなります。
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手は前後・左右ともに小刻みに揺らしてみましょう
2. 同様に反対側も行います。
■ステップ2:縮こまったサイドの筋肉を伸ばす
座り姿勢、または立ち姿勢でも可能です。
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手が届かないという人は、タオルの端を両手で掴み行ってもよいです
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回数を重ねるごとに伸ばしやすくなり、多くのケースで腕の動きも楽に感じるようになります
■ステップ3:肩甲骨を開閉させる
肩甲骨も意識的に動かすことが大切です。最初は左右の肩甲骨を寄せにくいかもしれませんが、血流が回復していくと動かしやすくなります。
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手の甲を完全に太ももの前面へつけるのは難しいので、側面に近い位置でも大丈夫です
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体に沿って腕の付け根から手を動かしていきます
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胸部を開き左右の肩甲骨を寄せるように動かしていきます
四十肩・五十肩は、日頃の過ごし方で予防可能です。肩こりや背中の緊張が強い人や猫背になりがちの人は、なるべく筋肉のコリを放置しないようにほぐしていき、姿勢が楽に保てるようにすると良いと思います。