171万円から買える小粋なフレンチコンパクト
ルノー・トゥインゴが3代目にスイッチした。メルセデス・ベンツのコンパクトブランドである「smart」の兄弟車であり、RR(リヤエンジン・リヤドライブ)を採用するスモールカー。
ライバルはフィアット500やフォルクスワーゲンup! などの欧州Aセグメントだけでなく、171万円~という価格設定で日本では軽自動車やコンパクトカーからの買い替えも多いそうだ。
小さくても4人が乗れる実用車
いまや傘立てまで用意される新型スズキ・ワゴンRのように、至れり尽くせりの日本車と比べると、使い勝手など細かな突っ込み所は満載だ。また、全長3620×全幅1650×全高1545mmというコンパクトなサイズだから居住性や積載性も「必要最低限は揃っています」という設計になっている。
それでも、ロングドライブでなければ大人が4人座れるキャビンと手荷物が積める荷室を備えているから独身の方やディンクスはもちろん、小さな子どもが1人から2人なら何とか使える実用性は備えている。
最近の軽自動車のように驚くほど広くはないが、新型トゥインゴに乗る度に「足るを知る」という言葉を思い浮かぶ。コンパクトカー作りに長けたフランスのルノーらしい仕上がりだ。
走りも突っ込み所は多くてもとても楽しい。ポップなボディカラーが多く、内装も割り切りを感じさせるが楽しさが詰まっている。
NAエンジン+MT、ターボ+DCTという組み合わせ
71ps/91Nmの1.0L(998cc) NAエンジンには5速MTが組み合わされるが、この「ゼン(MT)」という171万円の仕様の出来がいい。スペックからして想像できるように速くはない。また、MTの操作感もスポーティなものではないが、実用車として納得できる仕上がりで、トルク感があるから扱いやすく、ヒルスタートアシストも標準で用意されているから坂道発進も楽々。久しぶりにMTに乗る方でもMTの楽しさを身構えることなく享受できる。
トランスミッションは5MTのほか、6速デュアルクラッチトランスミッションの「6速EDC」も用意されている。
5速MTの仕上がりも良好そのものだが、トゥインゴの全幅で3ペダルを配置すると足元が少々狭く、3ペダルの感覚も狭めだ。一方の6速EDCは、2ペダルなのでAT限定免許でも運転できる。デュアルクラッチトランスミッションの割に変速ショックが大きく、変速時、とくに1-2速、2-3速などの加速時にアクセルを戻すなどのコツはいるが、MTに乗っていた人ならすぐに慣れるだろう。
6速EDCに組み合わされるのは、0.9L(897)のターボエンジンで、90ps/135Nmというスペック。低速域のトルク感があり、ターボが過給を始めるとキビキビとした加速が可能で、首都高速あたりなら軽量ボディを活かして流れをリードするのも容易だ。NAエンジンよりも速さを実感できるから高速道路も使うのならターボがベターかもしれない。
新型ルノー トゥインゴの乗り味は?
後席の後にすぐに荷室があり、そのフロア下にエンジンが収まるRR(リヤエンジンリヤドライブ)で、リヤバルクヘッドを持たないからエンジン音は容赦なく伝わってくる。それも新型トゥインゴの味といえるし、運転している感を強く抱かせる要素と前向きに捉えたいところ。
また、RRレイアウトでも直進安定性は思いのほか高く、それでいて「ずぼら」な運転をするとフィードバックとしてドライバーに返ってくるのも運転を覚え始めたビギナードライバーに向くかもしれない。
意外なのが乗り心地で、フランスのルノーというステレオタイプなイメージからすると硬めだ。もう少し、「しなやかな足」なのかなと思ったが、キビキビしたハンドリングと硬めの乗り味が新型トゥインゴの特徴のひとつになっている。
171万円~199万円という戦略的な価格設定を掲げているルノー トゥインゴ。初めての愛車として、あるいはいろいろなクルマを乗り継いできた人も満足させる仕上がりなのは間違いない。