予防接種を受けていないと入国できない国も……

注射をする医師

健康で元気に海外旅行を楽しみましょう!

海外旅行が身近になった現在、毎月130万人以上の人が海外へ出かけています。そこで意外に見過ごされがちなのが、感染症に対する予防接種です。

海外には今も、命に関わるような感染症が蔓延している地域が少なくありません。たとえば東南アジアなどの比較的旅行者の多い著名な観光地でも、肝炎などの感染症のリスクが高い地域があるのです。

旅行者にとって必要な予防接種は、旅行先はもちろん滞在期間、滞在先で何をするのかによっても違ってきます。同じ地域でも、ふつうの観光旅行をする場合と、冒険的なアウトドアレジャーをする場合では、ケガや病気のリスクが異なります。たとえば破傷風の予防接種などは、そうした条件で必要性の高さが異なってくるのです。

まずは海外旅行に出かける前に、厚生労働省検疫所の「FORTH」や外務省の「海外安全ホームページ」などで、旅行先の医療や衛生に関する情報を確認し、予防接種の必要性について検討しましょう。

アフリカや南米で必要な「黄熱」の予防接種

海外旅行の際に必要な予防接種には、大きく2つのタイプがあります。1つは、ある特定の病気に対する予防接種を受けていないと、その国や地域に入国できないというもの。もう1つは、旅行者自身が感染症から自分の身を守り、周りへの二次感染を防ぐためのものです。

前者の代表は、「黄熱」に対する予防接種です。黄熱は、主にネッタイシマカという蚊に刺されることでかかる全身性の感染症で、発熱や寒気、頭痛、筋肉痛や吐き気などの症状が出ます。現在、アフリカと南米の44カ国で蔓延しており、2013年にはアフリカで最大6万人が死亡しました。この病気は予防接種を受けていないと、致死率が非常に高くなります。日本を代表する細菌学者の野口英世がこの病気の研究中に罹患し、命を落としたことは有名です。

黄熱に関しては、アフリカや南米など熱帯地域の国々で、入国の際に予防接種証明書の提示を求められることがあります。また黄熱の流行国から他の国へ入国する場合に予防接種証明書の提示が求められたり、乗り継ぎの際に証明書が必要になったり、子どもが現地の学校に入学する時に予防接種証明書を要求されたりする場合があります。

世界に広くみられる「A型肝炎」「破傷風」の予防接種

では、自分の健康を守り、病原体によっては周りの人への二次感染を防ぐために、予防接種が必要な感染症にはどのようなものがあるでしょうか。

たとえばA型肝炎は、アジア・アフリカ・中南米に広く存在する感染症で、食べ物を介して感染し、感染すると、糞便にウイルスが排出されます。重症になると1カ月以上の入院が必要になる場合もあります。途上国に1カ月以上滞在する人で、60歳以下の人は抗体保有率が低いことから接種が勧められています。ワクチンによって予防できます。

世界中の至るところで発症する破傷風は、命に関わる恐ろしい感染症です。この病気は傷口から感染するので、アウトドアレジャーや冒険的な旅行をする人は、ぜひ予防接種を検討してください。なお日本での破傷風ワクチンは、1968年(昭和43年)から始まった DPT混合ワクチンに含まれています。このため12歳の時に定期予防接種を受けていれば、20代前半くらいまでは免疫がありますので、接種の必要はありません。その後は1回の追加接種によって10年間、有効な免疫が得られます。

ほかにも、渡航先や期間、目的、予防接種歴などに応じて予防接種を検討したいものがあります。主にアフリカ・アジア・中南米で流行が認められる狂犬病や、蚊を介して感染する日本脳炎のほか、ポリオやジフテリア、麻疹(はしか)などです。狂犬病は発症すると致死率がほぼ100%という恐ろしい人畜共通感染症で、日本脳炎は主にアジアで毎年約6.8万人が発症し、脳炎患者の致死率は30%ほどと高く、30~50%に神経学的後遺症があります。また、海外で流行している病気や感染症は、その年や時期によって変わることもあるので、渡航先と旅のスタイルが決まったら、最新の情報を確認するようにしましょう。
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