トイレの後に手を洗わない人は15%!?

手洗い

目に見える汚れを落とすだけでは、感染予防効果はありません

毎年流行するノロウイルスによる食中毒。ノロウイルスは口から体内に入って感染し、おう吐、下痢、腹痛などを起こします。多くは軽症で回復しますが、子どもやお年寄りは重症化したり、吐いたものを誤って気道に詰まらせたりして死亡することもあります。ノロウイルスにはワクチンがなく、治療法も点滴などによる対症療法しかありません。そこで予防対策がとても大切になるのです。

ノロウイルスの感染予防でいちばんの対策は、シンプルですが「手洗い」です。2015年10月、消費者庁は家庭での手洗いに関する意識や行動についてのアンケート調査を実施しました。その結果、家庭で食事前に手を洗う人は52.6%にとどまっていることが分かりました。さらに驚くことに、全体の15.4%の人が、トイレの後に手を洗わないことがあるという結果も出たのです。

一方で、人間は10~100個のノロウイルスが体内に入るだけで、感染してしまうことが分かっています。そしてノロウイルスは、感染者の吐瀉物1gあたりに1~10万個、糞便1gあたりには数億個も含まれています。感染者が使ったトイレの中には、どれほど多くのウイルスが存在しているのか……。ですから、トイレの後に手洗いをすることは基本的なエチケットであるだけでなく、ノロウイルスにかからないようにし、感染を広げないためにも非常に大きな意味があるのです。

手洗いは感染症予防の基本

食事の前やトイレの後、外出先から帰ってからなどの手洗いは、ノロウイルスだけでなく風邪やインフルエンザ、水ぼうそうやRSウイルスなど、身近にあるさまざまな感染症に対して、ふだんの生活の中でできる基本的な予防策です。ところが、前述の消費者庁のアンケート調査では、手洗いの目的を感染症予防としている人は50.9%、汚染防止のために行っていると答えた人は41.0%に止まっていました。一方で多くの人が、「汚れを落とす」ことが手洗いの目的だと答えています。

しかし目には見えなくても、手には細菌やウイルスなどの病原微生物が付いている可能性があります。これらが手を介して口や目、鼻などから体内に侵入することで、感染症にかかってしまうのです。手洗いは単に汚れを落とすためではなく、見えない病原菌を洗い流し、自分や周囲への感染を防ぐために行うのだ、という意識をもつことが大切です。

正しい手洗い方法・手順・ポイント

手洗いの効果をしっかり発揮させるためにも、正しい手洗いの方法を知っておきましょう。感染防止を意識した手洗いの方法は医療従事者や飲食店関係者なら知っているでしょうが、それ以外の人たちもぜひ覚えて、日常的に行うようにしましょう。

まず手洗いの前に、時計や指輪は外します。流水で手をよく濡らし、石鹸をつけて手のひらをしっかりとこすります。次に、手の甲を伸ばすようにしてこすり、さらに指先や爪の間を丁寧にこすってください。それから指と指の間を、さらに左右の親指をそれぞれ逆の手で握るようにしてねじり洗います。最後に手首の部分も忘れずに洗ってください。

消費者庁の調査によると、多くの人が、手首や親指の付け根、手の甲などは、手洗いのときにあまり意識していないことも明らかになりました。これらの部分にも病原菌が着いていることが少なくないので、しっかり洗うことを心がけてほしいものです。

こうして石鹸でしっかりこすり洗いしたら、流水で十分に洗い流し、清潔なタオルで水分をよくふき取って乾かしましょう。
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