トヨタの小型SUV「C-HR」が満を持して登場
最近世界規模で小型サイズのSUVが売れている。日本市場を見るとマツダCX-3こそ伸び悩んでいるけれど、ホンダ・ヴェゼルの人気は根強く、モデル末期ながら日産ジュークも順調。意外なことにこのクラス、トヨタのラインナップを持っていなかった。目の前でお客を奪われていた、ということ。そんな状況を打開すべく登場したのがC-HRだ。
プリウス級のプラットフォームを採用しているため、フィットがベースのヴェゼルより少し上級という位置づけ。海外ではBMWのX1やアウディQ3などがライバルとなる。気になる価格は、自動ブレーキやサイド&カーテンエアバッグに代表される安全装備が全て付く『S』で同じ装備内容のプリウスとほぼ同じ264万6千円。
ということでライバルはディーゼルエンジン搭載のCX-3とハイブリッドのヴェゼル、そしてプリウスあたりになるだろう。C-HRの特徴を挙げるなら、デザインと走りの楽しさである。
まずデザインから。トヨタは早い段階からモーターショーにC-HRのコンセプトカーを出展していたが、興味深いことにデザインの評価はイマイチだった。
もう少し素直に表現すると「カッコ悪い!」と評価されていたのである。普通、コンセプトカーはカッコ良いのに、市販モデルになると「話が違うぢゃない!」と劣化する傾向。C-HRの場合、コンセプトカーより市販モデルの方がバランスが良くなった。それでも好き嫌いが分かれるだろうけれど、個性的であることは間違いない。
私からすると「ボディカラーでずいぶんイメージが変わりますね」。イエローやブルー、グリーンなどのC-HRを見ると「いいね!」。ホワイトやグレー、ブラックだと評価低い。日本車には珍しく、ボディカラーで大きくイメージの違うデザインだと思う。インテリアではホールド性の良いシートがセールスポイント。機会あったらぜひ座って欲しい。
開発チームが最も注力した点は「走りの楽しさ」
走りの楽しさはC-HRの開発チームが最も注力した点だという「走りにウルさいユーザー」の多いヨーロッパで売る車種とあって、日本車としては珍しくハンドリングと乗り心地で妥協しなかった。象徴しているのが乗り味に決定的な影響を与えるダンパーに、ベンツやBMWなどと同じ本物の『ザックス』を採用したことである。
ここにきて安価な韓国ザックスのダンパーを使う車種は出てきたものの、ヨーロッパ製となるとホンダ・シビックのタイプRくらい。先日レクサスの開発チームに「ザックスを使ったら乗り心地が良くなるのでは?」と聞いたら「高くて使えないです」。逆に考えればトヨタなのに上質なダンパーを使ったのだから素晴らしい。
乗ると「やっぱりいいですね!」。しっかりした減衰力を出しているのに、乗り心地が上質かつ滑らか。スポーティカーの如くワインディングロードをキビキビ走れ、乗り心地ときたら輸入車のように落ち着いている。ガタガタと安っぽい日本車とひと味違う。百聞は一見にしかずというヤツ。ぜひディーラーでハンドルを握って欲しい。
自動ブレーキはミリ波レーダー+単眼カメラ使うトヨタの上級タイプ。停止車両に対し車速50km/hのノーブレーキ状態で自動停止出来る上、歩行者も検知し自動ブレーキをかけてくれる。上級グレードを選ぶと斜め後方の死角に入っている車両を教えてくれる機能も加わります。御予算あれば上級グレードを選ぶと良い。
パワーユニットはFF車を選ぶとハイブリッド。4WDが必要なら1200ccターボ+CVTという二択になる。言うまでも無く大きく違うのは実用燃費。20km/Lくらい走ってくれるハイブリッド仕様に対し、1200ccターボだと流れの良い道で12~14km/L。街中だと10km/L少々です。自分の使い方に合わせて選べばよかろう。
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