株価が上がると投資を始めたくなるが、実は危ない
株価が上がっています。アメリカの次期大統領が予想に反してトランプ候補に決まったとき、株価は大きく下がり、為替は円高に振れたのですが、その後は大きく逆に動き、国内の株価は日経平均株価で20000円に近づいている状態です(執筆時点)。トランプショックと言われた下落日、このままいけば18000円を割って日経平均株価は17000円に向かうのか、と誰もが脅えたことを思えば、驚くような展開です。
こういう株価水準にある時期、「初めてだけど株価が上がっているから投資してみようかな」という初心者が必ず現れます。もしかしたらあなたもそうかもしれません。
しかし、株価が上がっている時期に始める「投資初体験」ほど危ないことはないのです。むしろ株価が下がっているときのほうがマネーハック的には投資初体験の好機です。
今回も逆転の発想法でお金のことを考えてみます。なぜ株価が上がっているとき、投資をスタートすべきではないのでしょうか。
上がりきった頃にようやくスタートして損を出すというオチ
執筆時点(2016年12月20~25日頃)の相場がそうなのですが一気に上がった株価が横ばいないしやや下がり気味のカーブを描いています。このあとどうなるかは分かりませんが、「株価が上がっているしそろそろやってみようかな」と手を出した初心者が買う頃には株価の上昇は一段落していることが多いものです。こういう投資をよく「高値づかみ」といいます。上がるどころかむしろ、短期的には値下がりすることもあります。調整局面などといい、その後また上がることがあるのですが、初心者ほどびっくりしてちょっと下がると売ってしまいます。その後どれだけ株価が上がったとしても、初心者には損だけが残ります。
そもそも「上がった後」に買うのではなく「上がる前」から買っておく意識が投資においては重要なのですが、これまた初心者であればこそ感覚がつかめず、失敗しがちです。
実は株価が上がり始めてから投資を始める、というのはなかなか難しいものなのです。
むしろ投資初心者は株価が下がっているときのほうが「はじめどき」である
最初に、「むしろ株価が下がっているときこそ投資初体験向き」といいましたが、理由はいくつもあります。ひとまず3つ数えてみますが、理由1・株価が下がっているときのほうが、投資に慎重になれる(株価が上がっている時期は、自分も流れに乗って儲かるだろうと軽く考えて失敗しがち)。金額的にも控えめの投資ができる(自信過剰になっているとつい高額を突っ込んでしまい痛い目にあう)。
理由2・損を出しても、相場が下がっているのだからあまり気にしなくてもいい(株価が上がっているのになぜ自分だけ損を出したのかとくよくよしなくてすむ)。また株価が下がっているときに儲かったほうが自信になる。
理由3・株価が回復するまで売らずにいれば、売買を何度も繰り返さなくても投資経験が高まる(気になって株価情報等はウォッチするため)。何度も売買することは投資のルールでもないし、投資のパフォーマンスを高める保証はないが、素人ほど焦って何度も売買しがちで、これを避けられる。
問題がひとつだけあるとすれば、「株価が下がっているとき、誰も投資を始めたいと思わない」ことです。しかし、逆転の発想で考えれば、そういう時期こそ投資スタートの絶好のチャンスなのです。
でも今やりたい? そういうときは2つの条件を守ろう
それでも「やっぱり今、投資始めたいんだけど」という人はいることでしょう。確かに投資をスタートさせる、ということには勇気と決断が必要で、その覚悟がある人は投資のステージに上ってしまったほうがいいかもしれません。その場合は2つの条件を守ってください。
条件1.少額でスタートすること……スタートしたときの金額が小さいほど、失敗したときのダメージも金額的に小さくてすみます。間違っても100万円の投資などせず、10万円以下、できれば5万円程度で投資デビューをしてください。
条件2.株価が下がってもすぐ売らないこと……20~30%くらい値下がりしたとしても、株価がまた上がるまで売らないくらいの覚悟で投資してください。条件1を守っていれば損失金額はそれほど大きくなりません。もしかしたら株価の回復に何年もかかるかもしれませんが、その経験はきっと貴重な投資実体験となります。
この2つの条件を守るだけで、投資デビューをした後、投資を続けられる可能性はぐっと高まります。
間違っても「高額投資」して「損をしたらすぐ売る」という投資デビューをしないように!