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毎月5万円で1億円は「半分」正しかったがなぜダメか

都内を通勤していた人ならほとんどの人が「毎月5万円で1億円は貯められる」というCMを見たことがあると思います。あやしいなあと思う人も多いと思いますし、業務停止命令が下されています。しかし「半分」は正しいのです。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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毎月5万円で1億円は貯められる?

都内に通勤している人のほとんどが「毎月5万円で1億円は貯められる」というCMを電車内で見たことがあるでしょう。いつかはゆかし、というサービスで、芸能人を使った広告が各所に貼られていました。WEBにもかなり多くの広告が表示されていました。

ところがこのサービスを提供している業者に対し10月11日、2014年4月10日まで6カ月間の業務停止命令が金融庁から出されています。無登録販売、誇大広告、一部顧客への利益提供などが明らかになったためです。

証券取引等監視委員会が同サービスに行った指摘は重大な法令違反であり、提供会社は重い処分を受けました。しかし、どこからが問題で、どこからが嘘ではないか、ということをマネーハックの視点から考えてみたいと思います。というのは「毎月5万円で1億円が嘘だったわけではない」からです。

同社が示している内容のうち、「毎月5万円の積み立て」を「若いうちから行い」、「高利回りの金融商品で資産を増やすこと」ができれば、確かに1億円は貯まります。これは複利の効果が長期間の運用と高利回りにより生じるからです。

エクセルの計算式でいえば、
=FV(<年利>%/12,<積立年数>*12,-<毎月の積立額>,0)
が最終受取額を示しますが、
=FV(6%/12,40*12,-50000,0)
つまり、年利6%、40年、毎月5万円の積み立ての最終受取額は約9957万円になります。「毎月5万円で1億円」は計算上は間違いではなく、確かに嘘ではありません。これは同社がすごいのではなく、そういう条件で運用すればどこでも1億円になる話です。

複利の効果は「長期投資」「高額の初期元本」「高利回り」によって大きく発揮されます。先ほどの計算例では、初期元本はゼロ、毎月5万円を40年積み立てたとしていますが、40年にわたって積み立てた元本は2400万円でしかないのに、その倍以上の運用の利益が積み重なって約9957万円に達します。

例えば、毎月10万円(つまり2倍)を20年(期間は2分の1)で年6%だった場合、積み立てるお金の累計額は同じなのに、最終受取額は大きく変化します。なんと約4620万円まで下がるのです。これは利息が次の利息を生み出す複利の効果を運用で用いることができなかったからです。長期で運用を続けることの重要性は、同社が喧伝するまでもなく当然に重要なことなのです。

もしも利回りが6%の半分の年3%の場合、毎月5万円、40年という他の条件が同一でも9957万円にはなりません。私たちの予想より大きく下がります。計算してみると分かりますが、最終受取額は約4630万円と半分以下になってしまうのです。これも、高い運用益によって得られた収益が次の高い利回りでさらに多額の運用益を積み重ねるという複利の効果によります。こちらもまた、同社のCMにかかわらず投資の常識として知られています。

してみると、「毎月5万円で1億円」がウソではなく、同社が処分を受けたのは他に問題があったということです。CMのどこに問題があったのか、マネーハック的に今回のポイントを整理してみましょう。

→そもそも「1億円」はセールストーク!? 詳しくは次ページ
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